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2013年07月05日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆チュニジアで起きたジャスミン革命(2010年から2011年にかけての民主化運動)の影響を受けたエジプトでも、ムバラク政権を崩壊に追い込む革命が発生した。その後、初の自由選挙で選ばれたモルシ大統領が7月3日夜、軍事クーデターにより就任わずか1年で政権の座を追われ、身柄を拘束された。エジプトの民主化は、あっという間に崩壊したのである。最悪の場合、内乱〜内戦に発展する。
その翌日の7月4日、日本では、参院議員選挙が公示された。17日の運動期間を経て、21日投開票される。民主政権が一夜にして軍部のクーデターで転覆され、暫定的とはいえ、軍事政権が誕生したエジプトと比べて、民主主義の成熟度の違いを改めて認識させられる。
だが、日本の方が、民主主義の成熟度が高いことを自慢してはいられない。それは、社会状況によっては、軍部がその気になれば、いつでも民主政権を武力によって、簡単にねじり倒すことは可能であるという「見本」をエジプトが見せつけてくれているからである。
◆民主主義というのは、「法の支配」の下での「法的適正手続」によって成り立っている。だが、この「法的適正手続」を無視して、政権転覆という「結果」を出すのが、軍事クーデターである。実に短絡的な手法なのだ。とにかく、「結果」を求めて、成果を競い合う現代日本人向きであるとも言える。この意味で、日本でも自衛隊による「クーデター」が絶対の起こらないと思い込むのは、早計だ。民主主義というものが、極めて脆いということをエジプトに見せつけられた以上、日本も安閑とはしていられない。油断は禁物である。
今回の参院議員選挙を見ていると、安倍晋三首相は、6年前の第1次安倍内閣のとき、参院議員選挙に大敗し、「衆参ねじれ現象」により「何も決められない政治」を招いた責任を感じて、今回は何としても、この「衆参ねじれ現象」を解消したいと必死になっている。そればかりではない、憲法改正についても、発議要件である「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」を「2分の1以上」、すなわち「過半数」にしようと第96条の改正に、丸で命を賭けているかのような「狂気」を漂わせている。おまけに、安倍晋三首相は、兄貴分である小泉純一郎元首相が持論として提唱してきた「国会の1院制度」に魅力を感じている。これは、現在の「衆参2院制度」を廃止して「衆院1院制度」に改めるという考え方だ。安倍晋三首相と仲の良い日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)も、同じ考えである。
◆「衆参ねじれ現象」を解消、第96条の改正、「衆院1院制度」に共通するキーワードは、「スピード」と「結果」である。つまり、「法的適正手続」が煩わしいのだ。アベノミクスの結果をスピーディに出したいのに、時間がかかりすぎるという苛立ちすら感じる。だから、原発再稼働、海外への原発セールスと、何から何まで、どんどん決めて、結果を出したいという焦りにもなって表れている。だが、「スピード」と「結果」を求める政治は「暴走の危険」をはらんでいる。
とくに安倍晋三首相は、祖父・岸信介元首相が悲願としていた「憲法改正→国防軍=皇軍創設」が実現した暁に、何が待っているかを思いめぐらす必要がある。
国防軍は、いまの自衛隊とは全く違う。大日本帝国陸海軍の再建を夢見てきた自衛隊は、「軍隊=軍人」としてのアイデンティティと誇りを回復して、「本領」を発揮して、いざとなれば、「クーデター」を起こしかねない組織となり得るのである。いまでも、自衛隊のなかでは、「クーデター」の誘惑に駆られている幹部が存在していることを忘れてはならない。
明治維新が、「宮廷クーデター」と言われた。青年将校が起こした「2.26事件」は、昭和維新を名乗り、失敗に終わった「クーデター」であった。平成維新を標榜する「クーデター」が起きないという保証はない。
それ以上に、参院議院をないがしろにすると、日本の政治的安定の根本基盤となっている「天皇制」を破壊してしまう危険さえある。民主主義というのは、「過激で急激な変革」を求めていない。従って、安倍晋三首相が訴えている「衆参ねじれ現象」を解消、第96条の改正、「衆院1院制度」によって「スピード」と「結果」だけを求めてはいけないのである。「衆参ねじれ現象」にしても、国民有権者が選んだ意思の表れであり、決して、ないがしろにすべきものではない。それ故に、「民主主義は、時間がかかるものだ」という言葉をじっくり噛みしめるべきなのである。
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