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週刊ポスト2013年7月12日号
選挙は連戦連勝、参院選も盤石の情勢の中で、皮肉にも巨大与党の抱える矛盾が露呈しつつある。族議員の復活、派閥の巨大化、それはまさに「古い自民党」の復活である。党首たる安倍晋三首相に唯一真っ向から異議を唱えることができるのが、30歳そこそこの2回生議員、小泉進次郎・青年局長だけというのが、この党の隠しきれない危うさを物語っている。
安倍氏と進次郎氏──かたや戦後2人目の首相返り咲きを果たした“大宰相”であり、かたや元首相の息子で人気者とはいえ、まだ当選2回で大臣はおろか政務官も経験していない“若造”である。政治家としての格には雲泥の差があるはずだが、安倍首相にとって進次郎氏は“党内で最も煙たい存在”らしい。
あの直言がそれほど効いたのである。発端は安倍首相の個人攻撃だった。かつて小泉電撃訪朝の根回しを行なった田中均・元外務審議官が5月の飯島勲内閣官房参与の訪朝について「スタンドプレーと見られてはいけない」などと論評したことにブチ切れ、フェイスブックで「(彼には)外交を語る資格がない」と批判したことだった。最高権力者の首相が在野の言論人を名指しで批判するのは異例だが、進次郎氏はそんな首相に真っ向から冷や水を浴びせた。
「批判や中傷を受けながら、多くの方に信頼されるのが政治家の道だ。(批判は)政治家の宿命だと思いながら、結果を出すことに専念した方がいい」
“最高権力者の反論はみっともない”という正論で安倍首相の器の小ささを射貫いたのだ。さすがに安倍首相は恥ずかしくなったのか、以来、この問題についてフェイスブックに書き込むことをやめた。しかし、側近たちは収まらない。
「進次郎は総理の恩人である小泉総理の息子なんだから、おとなしくしていれば悪いようにはしない。なぜ、余計なことをいうのか」と、“お灸”を据える機会をうかがっていた。
もっとも、進次郎氏はそれくらいで黙るタイプではなかった。官邸が都議選大勝利に沸いた6月23日、安倍首相は「半年間の政権の実績について一定の評価をいただいた」と自画自賛し、菅義偉・官房長官も「これ以上ない結果となった」と喜んだが、進次郎氏はそこでも、「勝った、勝ったというべきじゃない」とピシャッと言い放ったのだ。
いまや自民党内で安倍首相に正面切ってモノがいえるのはこの2回生議員だけなのである。
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