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2013/7/1 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
還暦を迎えた政治家が現役女子大生に現金を渡し、ラブホで1時間半に2度のセックス――。自民党の佐田玄一郎・衆院議運委員長が先週発売の週刊新潮に〈常習的買春〉を暴かれた。この問題、単なるスキモノの艶聞では済まされない。
買春相手の女子大生は新潮に〈この半年でエッチしたのは20回ほど〉〈(佐田は)毎回、お財布から現金4万円を出した〉と打ち明けている。現金を渡して性行為に及べば、紛れもなく買春。立派な違法行為になる。
議院運営委員長といえば、衆院では議長、副議長に次ぐ地位で、立法府ナンバー3である。行政府でいえば、最重要閣僚みたいなものだ。ちなみに、国会内に専用の個室と公用車が与えられ、将来もらえる勲章の格も違ってくる。
陣笠のチンピラ代議士の火遊びでは済まされないのだが、安倍自民党ときたら、本人に謝罪会見はもちろん、コメントも出させず、国会閉幕や参院選の実質スタートをいいことに、ウヤムヤ決着で済まそうとしている。
さすがに佐田は伊吹衆院議長に議運委員長職を辞任する意向を伝えたらしいが、その程度で済むと思っている感覚が恐ろしい。議員辞職が当然ではないか。
しかも、自民党内で買春疑惑が持ち上がっているのは佐田だけじゃないのだ。西村康稔・内閣府副大臣(50)も週刊文春に〈ベトナム4P買春〉をスッパ抜かれた。
こちらは政権奪取前の昨年7月の話で、経済協力の調査目的でベトナム政府を訪問。その夜、ハノイのカラオケクラブのホステス3人を最高級ホテルのVIPルームに“お持ち帰り”し、600ドル弱を渡してコトに及んだという。かの地でも買春は刑法で禁じられている。違反すると罰金や懲役刑が下される。れっきとした犯罪だ。
西村は元通産省のキャリア官僚で商工族議員。安倍首相と親しく、現政権の発足とともに経済財政や防災などを担当する副大臣に抜擢された。
「現在、ベトナムでは日本の政官業が一体となって原発などのトップセールスを進めています。その状況下で西村副大臣は交渉相手国に決定的な醜聞を握られてしまった。現地での軽はずみな行動が、国益を毀損する可能性を理解していなかったとは言わせない。あまりにも脇が甘すぎます」(官邸事情通)
西村は疑惑を否定しているが、佐田と同じく現地ホステスに〈まるで“キング”のように振る舞っていたわ。そういうプレーを楽しみたかったんじゃない?〉と洗いざらいブチまけられた。まさか、全く火がないところに煙は立つまい。こんな男が09年の自民下野直後の総裁選に立候補して「次世代のエース」ヅラしていたのだから、呆れてしまう。つくづく自民党はロクでもない政党だ。ハレンチ漢の集まりというしかない。
◆異常な女性観が支配するモラル無き政党
佐田と西村の淫行スキャンダルは「このスケベ野郎!」のひと言で片付けられるような問題ではない。なぜなら軽はずみな行動の裏には「カネを払ったんだからいいだろう」「彼女たちも“商売”じゃないか」という感覚が見え隠れするからだ。
「精神的に高ぶっている集団を休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる」「風俗業を否定することは自由意思でその業を選んだ女性に対する逆差別だ」とホザいた、日本維新の会の橋下共同代表と根っこは同じ。女性を「性の道具」としか見ていない、身勝手な思想が透けて見えるのだ。
安倍は橋下の慰安婦発言について、「私、安倍内閣、自民党の立場とはまったく違う」と突き放したが、過去に安倍は橋下もブッたまげるような発言を連発している。97年に行われた「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の勉強会では、「韓国にはキーセンハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっている。ですから、それはとんでもない行為ではなくて、かなり生活の中に溶け込んでいる」なんて言っているのだ。
こうした乱暴な物言いの背景には民族差別と女性蔑視が垣間見える。
そんな歪んだ思想の持ち主である安倍の側近や、お仲間たちが、こぞって淫行にいそしんでいたのは、偶然なのか。安倍政権のメンバーは根本的に女性を蔑視しているのではないか。そんな疑問が湧き上がってくるのである。
元NHK政治部記者で元椙山女学園大教授の川崎泰資氏はこう言った。
「国会議員の買春は言語道断の行為です。それなのに、大手メディアは2人のスキャンダルの中身や本質をてんで追及しないばかりか、ほとんど報じてすらいない。政治家の犯罪行為にお目こぼしを与えるような態度は絶対におかしい。日本のメディアは昔から政治家の下半身ネタに寛容でしたが、その甘い姿勢が政治を腐敗させたのです。こんなハレンチ政治家が政権の中枢を担っていれば、周辺諸国から白い目で見られてしまう。日本政府は買春を容認しており、だから慰安婦問題を正当化しようとする。こんなふうに思われかねません」
それなのに、頬かむりの安倍政権と自民党。これぞ、彼らも同じ穴のムジナの証拠になるのだが、だとしたら、こうした自民党議員のトチ狂った感覚こそ、参院選の争点にすべきだ。「買春は相手も金になるのだから、いいでしょう?」と有権者に問えばいい。
◆率先して議員が女体を求める愚かしさ
安倍は「女性の活力」を成長戦略の柱に据えた。「3年間の育児休業」など一見、女性に優しい政策を打ち出しているが、ホンネは違う。
日本企業の多くは1年の育休ですら取りにくいのが実態だ。そんな中、「3年育休」の制度だけが独り歩きすれば、企業側は女性の採用を躊躇しかねない。和光大教授の竹信三恵子氏は「世界」7月号で〈一連の提言から浮かんでくるのは、やさしい裏声で歌い上げられる新手の「女は家へ帰れ」政策の姿だ〉と書いていたが、その通りだろう。
女性の反発で撤回を余儀なくされた「生命と女性の手帳」からも「オンナは若いうちにサッサと子供を産め」というアナクロニズムがにじんでいた。「女性は産む機械」と大暴言を吐いた厚労大臣もいたが、おそらく、これが自民党の体質ではないか。そもそも女性を見下しているから、所属議員の買春も不問となるのだ。
「女性への蔑視と冷酷さは社会的弱者への無配慮にも通じます。そういう視点で見ると、この政党の正体が見えてきます。弱肉強食の格差社会を是認し、一握りの強者が勝ちさえすればいい。これがアベノミクスの政策で、弱者への配慮、いたわりがないのです」(政治評論家・森田実氏)
だから、彼らは女を金で買って平然としているのである。
こんな腐敗政治が続けば、貧しい女性はますます困窮して這い上がれなくなる。風俗や夜の仕事に就かざるを得ない女性も増えるだろうが、自民党議員にすれば「それも商売だろ?」となる。経済的弱者を根絶するのが政治の役割なのに、自分たちが率先して、弱い立場の女の体をむさぼっているのだから、話にならない。
前出の森田実氏は「持たざる者、恵まれない人々に光を当てるのが、本来の政治家の務め。腐りきった自民党の体質こそ、参院選の第一の争点にすべきです」と言っていたが、本当だ。異常な女性観に支配されたモラル無き政治家を許していいのか。有権者は今度の選挙でキッチリと答えを出すべきだ。
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