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http://gendai.net/news/view/108435
2013年07月01日 日刊ゲンダイ
国交省が6月末で自動車の「ご当地ナンバー」の新候補募集を締め切った。世界遺産の「平泉」など、少なくとも10地域から申請があったが、注目されるのは「世田谷ナンバー」の行方だろう。
自動車のナンバープレートは、管轄地域の運輸支局名が記されているのが一般的だが、06年から一部の地域で「ご当地ナンバー」が導入された。現在は「湘南」や「富士山」など19のナンバーがあり、世田谷区も名乗りを上げた。
世田谷区は現在、「品川ナンバー」。区が実施したアンケートでは「世田谷ナンバー」の導入に8割近くの区民が賛成したというが、それにしても、なぜ世田谷区民はこれほどナンバーに執着するのか?
「都の調査によると、他府県から23区へ転入する人のうち、11%が世田谷区を選んでいます。10%を超えているのは世田谷区だけ。要するに、23区のなかで断トツに“田舎モン率”が高い。転入割合が最も高いのは広島で12%、次いで徳島、香川、兵庫の順で11%です。ご当地ナンバー賛成者は『世田谷ブランド』に愛着や憧れがあるのだろうが、発想は地方都市でみられる『おらが村』の考えと同じ。昔から住んでいる住民は、品川ナンバーでも困っていない。実際、世田谷ナンバーに反対する動きも出ています」(世田谷区民)
田舎の人にとって、世田谷は特別なのかも。
◇
「世田谷ナンバー」地元で異論 プライバシー面「不安」
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9180.html
6月27日 東京新聞「こちら特報部」
世田谷ナンバー導入に反対論が出ている。地域振興などを目的とした自動車のご当地ナンバーに反対の声が上がるのは珍しいという。高級住宅地が集まる東京・世田谷なら、世田谷ナンバーはイメージは良さそうなものだが、ためらう事情はどこにあるのか、探った。 (荒井六貴、中山洋子)
「世田谷ナンバーで、自分が世田谷に住んでいることをわざわざ示す必要があるのか。地域振興というのであれば、ほかにやるべきことがあるだろう」−。俳優でカーマニアとしても有名な岩城滉一さん(62)は世田谷ナンバー導入の動きをこう批判する。
岩城さんは「世田谷ナンバー新設を反対する会」の賛同者の一人。賛同者には岩城さんのほか、俳優の船越英一郎さん、木の実ナナさん、作家の江國香織さんも加わっている。反対論は予想外に広がっている。
高級住宅地、有名人、裕福などのイメージで「世田谷」の東京でのブランド力は強い。現在、世田谷区は品川ナンバーの対象エリアになっているが、イメージの良さはむしろ、品川より上との見方もある。
しかも、世田谷ナンバーとなれば、世田谷区民は自分が住んでいるわけでもない「品川」ではなく、「世田谷」のナンバーを付けることができる。住民には歓迎されると思いきや、反対論が消えない理由はどこにあるのか。
同会代表で飲食店経営の高木徹さん(46)は「世田谷は住みやすくて好きだが、ナンバーを変える必要があるのか」と指摘する。高木さんには導入に向けた区側の動きが性急で「知らないところで決まっている」ように見えた。「自分は車好きだが、五月まで世田谷ナンバーの話を知らなかった」という。
高木さんが反対する理由には「世田谷ナンバー」が気に入らないということもあるが、それ以上に長年慣れ親しんだ「品川ナンバー」を離れることへの寂しさがある。
「品川ナンバー」の歴史は五十年を超える。戦後は都道府県別だったが、一九六二(昭和三十七)年に登場し、当時は「品」で表記。六四年に「品川」になった。国土交通省によると都道府県以外の地名を使った最も古いナンバーの一つだという。
車は自分の考えやライフスタイルを演出する小道具という面は確かにあり、「自分の車には世田谷ナンバーは似合わない」(高木さん)、「愛車はずっと品川ナンバーだった」(岩城さん)など、このナンバーに強い思い入れを持つ層があることは間違いない。
反対論のもう一つの理由は「世田谷ナンバー」が導入されると、自分が世田谷に住んでいることが分かってしまうという不安がある。
現在、「品川ナンバー」が割り振られている地域は、世田谷区のほか、千代田、中央、港、品川、目黒、大田、渋谷の七区と島しょ部。「品川ナンバー」であれば、この地域のどこかには住んでいるが、世田谷区だとは特定できない。
しかし、区の名前とナンバーが同じになると、世田谷に住んでいますと言っているのと同じで、プライバシーの観点や防犯上、問題ではないかというわけだ。高木さんは「品川、世田谷のナンバーの選択制にすべきだ」と訴える。
もともとナンバーの地名は、所管する運輸支局などの名称や所在地を指しているが、二〇〇六年に観光振興などのために導入されたのがご当地ナンバーだ。
神奈川県平塚市などで一九九四年から使われる「湘南」は、湘南自動車検査登録事務所の新設で登場したナンバーだが、ご当地ナンバーは事務所の新設とは関係なく、地域が希望する地域名を付けることができる。
第一弾の募集では二十地域から国交省に対し、応募があり、千葉県の「成田」や「柏」、静岡県の「伊豆」など十九の新ナンバーが順次導入された。山梨と静岡両県にまたがる初の「富士山」も〇八年十一月から交付されている。
この際、落選したのは、登録台数十万台以上の要件を満たせなかった鹿児島県の「奄美ナンバー」のみ。原則として「複数の市町村の集合」とされたが、実際には一市単独の「仙台」や「堺」も認められた。
そのため、二月から募集が始まった第二弾では「世田谷」や「杉並」など市、区の単独申請も増えている。二十六日までに六件が応募し、二十八日の締め切りまでに「川口」や「越谷」などさらに三件も加わる見通しだ。
ご当地ナンバーに対して、税金を投じる一方で、どれだけの経済効果、地域振興につながるのか分からないとの反対論がないわけではないが、「世田谷ナンバー」のような現在のナンバーを使いたいという反対運動は珍しいという。
高崎経済大学の味水(みすい)佑毅准教授(交通経済学)は「ご当地ナンバーの導入は地域でも温度差が出る。観光や商工団体は期待が高まるが、冷めた目で見る住民もいる。ただ、世田谷のようなケースは聞いたことがない」と指摘する。
確かに「世田谷」と同じ時期に申請している隣の「杉並」では、反対論をほとんど聞かない。「杉並」の場合は、現在の「練馬」からの分離となる。杉並区の担当者によると「もっと別のことに税金を使うべきだとの意見はあるが、杉並ナンバーを付けたくないとの意見は現在のところ聞かない」と説明する。意見が分かれる「世田谷」と違い、「杉並」の場合は、素直に自分の住む地名の「独立」を歓迎しているようだ。
一方、区、東京商工会議所世田谷支部などの経済団体でつくる「世田谷ナンバーを実現する会」は反対論をどう見ているか。世田谷区は「区の知名度向上のため、地元と連携し実現を目指してきた。多数が『世田谷』を望んでいる」(商業課)と戸惑いを隠さない。
東京商工会議所世田谷支部の栗山幸夫事務局長は「ナンバーによって区民のコミュニティー意識も高まる。孤独死の予防などにもつながる。世田谷ナンバーも定着すれば、理解されていくだろう」とそのメリットを強調する。
反対論に対しては「地方出身の区民の中には品川ナンバーが都会的に映るのかもしれない」と分析し、「そもそも、世田谷なのに品川ナンバーという方が違和感がある」と反論した。
国交省では二十八日の締め切り後、有識者審査会による導入効果、必要性、住民の意思などに対する判断を踏まえ、八月ごろに「当落」を決定する。ここで認められれば、一四年度に導入される。反対論がある「世田谷ナンバー」はどうなるか分からないが、過去の例では落ちる方がまれ。
国交省自動車情報課の担当者は「区や都が住民にニーズがあると判断して要望しているはずなので、それを前提に可否は決まることになる」と述べた。
<デスクメモ> 高速道路で後ろから迫ってくる車のナンバーが関西方面だとなんとなく道を譲ってしまうようなことがある。こちらの勝手な思い込みにすぎないし、失礼な話だが、ナンバーにはそんな力がある。世田谷ナンバー。品のいい老夫婦を思い描く。品川ナンバーよりは優しくしてあげたくなる気が…。 (栗)
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