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2013年06月30日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆「安重根って、だれ? 何者?」と聞かれて、その正体を即答できる日本人は、ほとんどいない。何しろ、小中高学校では、「近現代史」をまともに教えていないのが実情だからだ。高校、大学入試にあまり出題されないので、知識としてもネグレクトされているので、知名度は、極めて低い。
正解は、「初代韓国統監を務めた伊藤博文元首相をハルビン駅暗殺した朝鮮半島出身の抗日運動家」だ。初代韓国統監を務めていた伊藤博文(暗殺当時枢密院議長)が1909年10月26日、満州・朝鮮問題に関してロシア蔵相ウラジーミル・ココツェフと会談するためハルビン(哈爾浜)に赴き、午前9時、哈爾浜駅に到着し、車内でココツェフの挨拶を受けた後、駅ホームでロシア兵の閲兵を受けていたとき、群衆を装って近づいた安重根が、ピストルを発射、銃弾3発が命中した伊藤博文は、約30分後に死亡した。安重根は1910年2月14日、旅順の関東都督府地方法院で死刑判決を受け、3月26日、死刑が執行された。安重根処刑後、8月29日、日韓併合により大韓帝国は消滅している。
伊藤博文は、吉田松陰の弟子で幕末、長崎に商館を構えていたスコットランド系ユダヤ人、トーマス・グラバーに手引きされて英国に留学したいわゆる「長州ファイブ」の1人であり、明治の元勲として尊敬され、また初代内閣総理大臣なので超有名であるから、入試に出る。
だから、中国を訪問中の韓国の朴槿恵大統領が、習近平国家主席夫妻と昼食をとりながら会談した際、「初代韓国統監を務めた伊藤博文元首相を暗殺した朝鮮半島出身の抗日運動家、安重根の記念碑を、暗殺現場の中国黒竜江省ハルビン駅に設置するための協力を要請した」と報道されても、日本国民のほとんどは、無関心、無関係なニュースとして、聞き逃している。従って、残念ながら、朴槿恵大統領は、何を意図しているのかすら興味がない。
◆それよりも、朝鮮民族が、文明開化に遅れ、民族内で争いばかりしてまとまらず、ロシアが南下政策に従い、満州から朝鮮半島に向けて、侵略の牙をむいて迫っているのに対して、民族防衛戦争を組織することもできない「後進性」と「劣等性」が際立っていた歴史のみが、印象的であった。
そうしたなかで、米国セオドア・ルーズベルト大統領、タフト国務長官(初代フィリピン総督)の下、朝鮮の李完用(韓国では、売国奴)がワシントンに赴き、「日韓併合条約」に調印し、締結したという「正しい歴史的事実」が、韓国の歴史書にもはっきり記述されている。朴槿恵大統領が、世界に向かって力説すべきは、朝鮮民族のこの情けない「正しい歴史認識」である。「安重根は、韓中両国民にとって尊敬すべき歴史的人物だ」と習近平国家主席に強調したというけれど、おそらくは、中国にとって、安重根は英雄でも何でもないので、共感を得ることはなかったのではなかろうか。
◆それにしても、韓国民は、「慰安婦の像」にしても、「安重根の像」にしても、ネガティブな歴史にまつわる銅像をつくるのが、よほど好きらしい。
だが、不思議なのは、朴槿恵大統領の父・朴正煕元大統領(日本名は高木正雄)は、貧しい家庭に生まれ、1932年 大邱師範学校70人中69位で卒業、満州国軍軍官学校予科を首席卒業、日本陸軍士官学校に編入(57期相当)、日本陸軍士官学校3位卒業し、後に大統領に就任。「貧しい家庭から学校に行けたのは、日本のお陰だ」と感謝していたという。
朴槿恵大統領は、その父を尊敬していながら、いまは、「反日的な国民世論」を極度に恐れて、「真逆な政治姿勢」を演じざるを得ない立場にある。
本来、朴槿恵大統領が恨んでいるのは、日韓併合を行わせた米国であり、父母を暗殺した米CIAであるはずなのに、弱小国の大統領としては、軍事的超大国の米国にその恨みと怒りを向けることはできない。日本に恨みと怒りを向けることにより、自らをカムフラージュしている。悲しい立場にあるのだ。
自らをカムフラージュするということで言えば、中国共産党1党独裁北京政府の江沢民元国家主席は、江蘇省揚州市に生まれたが、実父・江世俊は、日本軍占領下の江蘇省で日本の特務機関に協力をしていたので、「漢奸」と言われた。このため、江沢民は「「漢奸の息子」という出自を隠すためか、中国共産党の幹部であった叔父・江世侯(上青、1939年に日中戦争に地元匪賊に殺害)の養子と称していた。
そのうえ、江沢民は、対日政策において、一貫して反日・強硬路線を採った。人民の政治への不満から目を逸らせる目的で、極端な愛国主義教育(反日教育)を推進した。これは、冷静な目で見れば、「自己保身」の表れであった。それに日本が、「サンドバック」として利用されたとも言える。
朴槿恵大統領の父・朴正煕元大統領は親日的だった。日韓基本条約の締結を行い、「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長へと結びつけ、この経済成長により韓国を最貧国グループから抜け出させた。父のその偉業が、いまや政権維持に都合悪くなっているのだ。それでも、若かりしときより親交のある天皇皇后両陛下に謁見したい気持ちだけは、捨てることはできない。天皇皇后両陛下は、朴槿恵大統領の大出世を非常に喜んでおられると聞く。
【参考引用】産経新聞msn産経ニュースが6月28日午後9時49分、「韓国大統領 伊藤博文暗殺の安重根の記念碑設置への協力を要請 「尊敬すべき人物」」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「【北京=川越一】中国を訪問中の韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は28日、北京の釣魚台迎賓館で習近平国家主席夫妻と昼食をとりながら会談した際、初代韓国統監を務めた伊藤博文元首相を暗殺した朝鮮半島出身の抗日運動家、安重根(アン・ジュングン)の記念碑を、暗殺現場の中国黒竜江省ハルビン駅に設置するための協力を要請した。韓国大統領府が明らかにした。朴氏は安重根について、『韓中両国民にとって尊敬すべき歴史的人物だ』と述べた。習氏は『前日(27日)の首脳会談は成果に富み、双方は多くの共通認識に達した』と強調。安重根に関する朴氏の主張に同意したかは不明だが、『関係部署に(記念碑設置を)検討するよう指示する』と答えたという。暗殺事件の発生から100年に当たった2009年、韓国では安重根を『世界的な英雄』と宣伝する動きが起きた。その3年前の06年には、韓国人企業家らが同駅近くの広場に安重根の銅像を設置。10日後、中国当局に撤去されたことがある。当時は韓国の民間組織による活動に限定されていた上、中国側も一貫して慎重な姿勢を保っていた。それが今回、首脳同士の会談の中で言及された。中国政府関係者も『胡錦濤政権は中国国内の民間の反日活動を抑えてきた。習近平政権はむしろあおっている』と、政府の姿勢の変化を危惧している。両首脳は首脳会談後に発表した共同声明で、歴史問題に絡む国家間の対立と不信の激化に憂慮を示す形で日本を牽制(けんせい)した。中国の最高指導者が2日続けて“首脳会談”を行うのは、異例の歓待といえる。習氏と朴氏が、対日強硬姿勢を通じて結束を深めた可能性も否定できない。朴氏は28日、李克強首相らとも会談した」
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