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Melting Pot
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6月11日、山本太郎氏が東京選挙区から無所属で立候補すると表明した。
(東京新聞記事)
これは、実質的な脱原発派候補つぶしではないのか。「脱原発実現をめざし、票の分散を避けるため、脱原発を訴える勢力は徹底的に協力を」と訴えておきながら、言うこととやることが違うのではないか。
「脱原発」という点から、東京選挙区の現状を見てみよう。まず、定数は5である。つまり、脱原発の候補が2人通れば議席占有率としては4割。3人通れば、占有率は6割と、過半数になる。
そこに、現時点で、脱原発を訴えて立候補しているのは誰がいるのか。
まず、現職の大河原雅子議員。参院は1期6年だが、東京都議を3期(補選での当選含む)10年勤めている、なかなかの実績である。
そして、吉良佳子。既にずいぶん前から参院選東京選挙区立候補者として活動している。官邸前の抗議にも足繁く通っている。30歳と若いが、田村智子参院議員の秘書経験があるという。また、都議選で候補者活動も経験している。将来有望、大いに期待したい。
そして最近になって、デザイナーの丸子安子氏が立候補すると発表された。去年東京5区から衆院選に挑戦した人である。
正直に言って、現職では1人しかいない脱原発の枠を、2人、2倍に増やすことだって、そんなに容易なことではない。まして、3人が立候補表明しており、既に共倒れの危機は迫っている。
対立候補を見てみよう。
自民党は、現職である丸川珠代議員に加え、比例現職である武見敬三議員を選挙区に回すと発表、強気の構えである。
公明党の現職は、党代表であり、参院を2期12年、衆院も2期10年と実績のある山口那津男議員が出てくる。
民主党は、大河原議員の他に鈴木寛という現職議員がいる。参議院を2期12年務めている。
川田龍平議員が比例に回るとはいえ、正直いって現職4人(大河原議員含む)はけっこう固い。そこに、自民党は「比例からベテランを回す」という大胆な手法で現職を立候補させる計画なのだ。この盤石の構えに、吉良佳子が挑んでいる、というのが、少し前までの東京選挙区の状況である。
脱原発派としては、「大河原議員を落とさない」ことと「吉良佳子を当選させる=現職の誰か(大河原議員を除く)を落選させる」を両立させることが東京選挙区における最優先事項ではないか。そして、それ以上のことができると考えるのは、昨年総選挙の結果から見て、あまりにも甘すぎる。
しかも、さらにもう一人、丸子安子氏が立候補するというのである。私は既にこの時点で、票の分散による現職圧勝を危惧している。
そこにまだ「脱原発」を訴える候補が出てくるなんていうのは、知名度があるだけに、むしろ厄介なのである。
もし脱原発4人ともが当選するとすれば、少なくとも4人が、現職(のうち大河原氏除く4人)のうち2番目の得票を上回らなければならない。単純な算数だ。そんなことが現状で可能なのか?どう考えても夢を見すぎであろう。小学生レベルの算数ができればわかることだ。
山本氏はそのことをどれだけ認識しているのだろうか?認識していないのなら無知や安易さを批判せねばならぬし、認識しているのなら悪質な脱原発つぶしである。
山本太郎氏は、「自身が議員になる」ことと「脱原発の勢力拡大」と、どちらに重きを置くのだろうか。いや、あるいは(あまり考えたくはないのだが)「脱原発をネタに自分の名を売り込みたい」だけなのだろうか。
太郎氏の主張は、「脱原発」「TPP反対」「憲法改悪反対」など、どこをとっても割と共感はできる。しかし、だからこそ、「どう行動するか」という選択肢がいくつもあるなかで、いちばん「逆効果」になるような行動を選択するのか、理解に苦しむのである。
たとえば、自分が立候補するのではなく、「脱原発候補者応援団長」みたいな役割を引き受けて、街頭演説を盛り上げてまわるという方法がある。
またあるいは、三宅洋平氏のように、緑の党の「推薦候補」として、比例から立候補する手もある。この「推薦候補」というのは緑の党独自のシステムで、党員でない者も比例名簿に載せて候補者とする、というのである。供託金や選挙資金は自分で用意する必要があるが、限られた選挙区で票の奪い合いをするより、全国で無党派層の票掘り起こしができる可能性もあるし、圧倒的に価値がある。
なぜ、「東京選挙区で立候補」なのか。今からでも遅くない。話題作りの時期はとうに過ぎた。実質的な「脱原発の前進」に対して足を引っ張るのであれば、もはや徹底的に闘う相手と見なすほかない。
(追記1)
吉良佳子氏は、既に1年以上前から、東京選挙区での立候補を予定しており、官邸前の抗議行動にもまめに足を運んでいる。
twitterで流れてきた、1年前の官邸前抗議での吉良のスピーチを貼っておく。
http://www.youtube.com/watch?v=KX0igNDFQWw
(追記2)
この記事に関連して「むしろムサシに気をつけろ」と言ってくる人がいたので、検証リンクを貼っておく。
http://blogs.itmedia.co.jp/sakamoto/2013/01/myth-election-93cc.html
機械による処理は候補者の名前ごとに票を分類するだけ。その後2人が別々に票をチェックする(機械では読み取り不能はものも合わせて)。そこに、さらに立会人による監視が入る。
昨年12月の総選挙で、一部の人が大騒ぎした「不正選挙」騒ぎだが、単なる陰謀論に基づくデマと結論づけるほかない。脱原発派の一部でもデマに乗っかってしまえば、「脱原発派なんてこの程度の頭だ」とひとまとめに中傷されかねない。今度の参院選でも同じように騒ぐ層がいるだろうが、その前にデマは潰しておきたいものである。
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