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2013-06-29 07:05:36 生き生き箕面通信
「巨悪は眠らせない」という有名なフレーズを放った元検事総長・吉永祐介氏の訃報が、昨日6月28日の各紙夕刊で明らかにされました。亡くなったのは6月23日。親族だけで葬儀を済ませてから、同27日に公表されたわけです。
大手紙の昨日の夕刊が吉永氏にたてまつった異称は、「ロッキード事件やリクルート事件などを指揮し、『特捜検察の顔』と呼ばれた」というもので一致していました。あたかも「正義の味方・検察」を一身に体現した「遠山の金さん」のような位置づけでした。
吉永氏に対しては、僕は真逆の評価をします。今日の司法・検察ファッショの起点となった人物とみなしています。
吉永氏は、田中角栄総理(当時)を逮捕して総理大臣の座から引きずり降ろした時の主任検事として、ロッキード事件全体を指揮しました。
この時に使ったのが、「嘱託尋問」という方式でした。この方式は、田中氏が死去したあとになって、最高裁が違法と判断したいわくつきの捜査手段です。
吉永氏をトップとする捜査陣は、アメリカにいるロッキード社のコーチャン氏らを尋問することが欠かせなかったのですが、アメリカにいるコーチャン氏を取り調べることはできず、このため日本の刑事訴訟法では認められていない「嘱託尋問」をアメリカの裁判所に要請、証言を取りました。
これを実行するために、日本の最高裁は、「証言を理由に公訴されることはない」という宣明書をわざわざ出したほどです。最高裁の判例では、「検察官の不起訴(起訴猶予)の約束に基づく供述は証拠能力がない」となっていたにもかかわらずです。それを自ら破って”取り引き”を可能にさせたのです。
つまりこの時点で、田中氏を有罪にするために、検察と最高裁が手を結んだといえます。はじめに「有罪ありき」の捜査を可能にする道を開いた”画期的な”先例をつくったわけです。
事実、田中氏を刑務所に拘束しました。検察を司法は異例の違法な手続きをむりやり押し通して、「時の総理大臣」をお縄にし国民のヤンヤの喝さいを浴びました。
この流れに、当時のマスメディアは一緒になって喝さいするばかりでした。もともと検察の捜査のしりをたたき、総理を追い詰める空気を作るのにやっきになったのがマスメディアでした。
田中金脈事件は、検察、最高裁、マスメディアがあおり、それに洗脳された国民も一体となって、一人の政治家の政治生命を葬った事件と総括できます。「検察・司法ファッショ」はその後もいつでも発動できるうずみ火として、日本社会の中にインプットされたのです。
そして、それは「小沢事件」として、再びかき起こし燃え盛らせて、小沢氏を闇に葬る流れを現出しました。
「巨悪は眠らせない」は、自分たちのいかがわしさを覆い隠す”名言”なのです。吉永氏がどんな気持ちで人生の幕を引いたのか、でき得るならば聞かしていただきたいものです。
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