http://www.asyura2.com/13/senkyo149/msg/882.html
Tweet |
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9169.html
2013/6/27 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
アベノミクスと浮かれて株価が大荒れ乱高下しているが国民の実感はどうなのか
「日本を取り戻す」「強い経済を取り戻す」――そう訴えて安倍首相が再登板してから、きのう(26日)で丸半年。この間、安倍がシャカリキになったのは「市場の期待感」に火を付けることだ。黒田日銀とタッグを組み、異次元の金融緩和をゴリ押し。その結果、株価上昇と円高修正という一定の効果を呼び起こした。
きのうの会見でも安倍は「この半年で経済指標はことごとく改善した」「世の中を覆っていた暗く重い空気は一変した」と成果を強調。「確実に景気は回復している」と大威張りだったが、果たして本当に景気は良くなっているのか。
巷の光景は今も半年前と何ひとつ変わっちゃいないのだ。ランチ時には、安値を競う牛丼屋や立ち食いそば屋にサラリー族が群がっているし、深夜の繁華街は客待ちタクシーが長蛇の列だ。少なくとも、現時点ではアベノミクスの成果は、ちっとも庶民に回ってきちゃいないのだ。
そんな国民の本当の景気実感を如実に表していたのが、朝日新聞(26日付)の郵送世論調査だ。今の景気を「とても良い」と感じている人は、たった1%。「悪い」という人は「やや」と「とても」を合わせて71%に上る。安倍政権の経済政策で暮らし向きがどうなりましたか、という設問も「変わらない」が86%と圧倒的多数を占め、「良くなった」(3%)よりも「悪くなった」(8%)の方が多かった。
いくら安倍が「空気が一変した」と胸を張っても、庶民の大半は「どこの国の話?」とクビをかしげているのである。
◆広がる格差に鬱屈した日々
つまり、景気回復ムードなんて、安倍と大メディアがタッグを組んでつくり上げた幻想ではないか。テレビをつければ、ワイドショーが株やマンションの特集を組んで、アベノミクスに悪乗りしている。中でも鼻白んだのが、日経MJが先日発表した今年上半期のヒット商品番付だ。東の横綱は株高で潤った富裕層が買い求めた「高級時計・宝飾品」、西の横綱は金利の急上昇で注目された「住宅ローン」ときた。
一体、どれだけの人が「大ヒット」の高額商品を手に入れたのか。一部の金持ちの消費を「横綱」にしないで欲しい。
「この半年間、雇用も給与も設備投資も安倍首相が勝ち誇るほど増えてはいません。円安で輸出企業が持ち直したといっても、それを上回る円安・輸入額の増加に相殺され、貿易赤字は常態化しています。景気回復ムードに実体が少しも追いついていないのです。結局、潤った人は投資にカネを回す余裕のあるホンの一握りの富裕層だけ。庶民の暮らしは逆に輸入物価高で青息吐息です」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
アベノミクスで得をしたのは富める者だけだ。多くの庶民は、ますます広がる経済格差に鬱屈した日々を過ごしている。「空気が一変した」なんて、「口からでまかせを言うな!」である。
◆行き着く先は妬み渦巻く殺伐とした社会
ここ半年間で、庶民もアベノミクスの正体、本質が分かってきたのではないか。
要するに「何となく景気が回復しそうだ」というフワッとした期待、雰囲気を醸し出しているだけなのだ。
ま、株価は幻想でも何でも「期待」で上がるから、一時的に景気回復ムードになっただけのことだ。その証拠にもう、幻想のバケの皮が剥がれている。
必死で飾り立てた平均株価は一時1万5000円を上回ったが、アッという間に1万3000円台に。政権発足当時は1万230円だったから、元の木阿弥同然だ。この間、市場は乱高下し、大荒れ相場の結果、東京市場は完全に世界のバクチ場、外資の食い物になってしまった。
それなのに、当事者たちは反省ゼロで、逆に成果に胸を張る。先日、日銀の岩田規久男副総裁が就任後初めて、日経新聞のインタビューに登場したが、その言い草は噴飯モノだった。
〈市場は次第に落ち着いていく〉〈株高で消費が増え円安で輸出も伸びていく。今は市場の好影響が実体経済に波及し始めている段階〉といった調子で、根拠なき楽観論を振りまいたのだ。これにはさすがに安倍応援団の日経も〈移り気な期待頼みには限界がある〉とやんわり批判したほどだ。
「しょせん、アベノミクスには理屈も何も存在しないのです。いつもリフレ派の主張は『景気回復への期待が、そのうち現実に変わる』の一点張り。岩田氏の言う『株高が実体経済に波及する』なんて、希望的観測に過ぎません。大事なのは、いかに『期待』を『実体』に変えるのか。そこが問われているからこそ、成長戦略が大事だったのに、中身はスカスカ。もちろん、財政出動にも限界があります。つまり、アベノミクスは手詰まり。むしろ出口戦略のないまま、異次元緩和を推し進めれば国債暴落危機を招きかねません。今の株安は市場の警告と受け止めるべきなのに、よくぞ『次第に落ち着く』と楽観できるものです」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
これが識者の見方なのだ。
いまや、アベノミクスは完全にエンジンを失っている。財政も成長戦略も手詰まりだからだ。辛うじて、フワッとした期待感で漂っているだけ。早晩、必ず失速する。
そのことは、みんなが薄々、気づき始めているのである。だから、消費には本格的に火は付かないし、経営者も工場を増やそうとしない。安倍が設備投資減税を持ち出したところで、需要がなければ画餅である。
高級品が売れているなんて、テレビの中のおとぎ話だ。メディアのバカ騒ぎを見ていると、つくづくオメデタイと言うしかない。
◆国民が豊かになる見込みは極めて薄い
問題は、こうして長引くデフレ不況が人心を極度に荒廃させる懸念が本当に高まっていることだ。最近は「昼から酒を飲むな」と注意されただけで上司を刺したり、ささいな痴話喧嘩が元で刃傷沙汰に発展する事件が後を絶たない。
こうした傾向は今後も確実にエスカレートする。なぜなら、この先も国民の暮らしが豊かになる見込みが薄いからだ。
筑波大名誉教授の小林弥六氏はこう言った。
「安倍政権は成長戦略の取りまとめを、時代遅れの新自由主義者の残党に任せています。だから、成長戦略の根幹は自由競争に規制緩和、雇用流動化という名の弱者切り捨てばかりなのです。雇用法制は限定正社員制度を一里塚に派遣拡大、クビ切り自由化でサラリーマンの奴隷化が進む。当然のように賃下げ圧力は強まり、社会保障もどんどん削られていく。加えて輸入インフレと消費増税が国民生活に重くのしかかるのです。労働者の収入が増えなければ、景気回復は夢のまた夢。行き着く先は格差の著しい拡大と、中間層の貧困化です。いずれ庶民同士が小さなパイを奪い合う殺伐とした社会となり、今以上に嫉みや妬みが渦巻く荒れた世の中となりかねません」
きのうの会見で、安倍は「私たちの政策は間違っていない、この道しかない、そう確信しています」と言い切った。改めて、この政権は引きずり降ろすしかない。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。