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2013/6/24 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
◆これが参院選の前哨戦とは笑わせる
きのう(23日)、投開票された都議会議員選挙は自公が過半数(64議席)を大きく上回る82議席を獲得し、圧勝した。
安倍首相は「半年間の政権の実績について一定の評価をいただいた」と大威張りだったが、ちょっと待って欲しい。これは国政の信任選挙だったのか? 確かに安倍首相ら自民党の幹部たちは地方選挙なのに狂ったように街頭演説に出て、「アベノミクスの成果」を強調。都議選を「政権信任」選挙に仕立て上げて、参院選への弾みにしようとシャカリキだった。
しかし、都民の意識はどうだったか。安倍政権の信任投票なんて気持ちはこれっぽっちもなかったのではないか。その証拠に投票率の低いこと。前回より10・99ポイントも減らして、43・5%だ。
◆オール与党化加速 都民は生活苦に喘ぐことに
6割の有権者が棄権した選挙なんて、「無効じゃねえか!」と言いたくなるが、それはともかく、少なくとも、こんな投票率の地方選挙で、「アベノミクスは信任された」なんて言われちゃ、かなわない。これが都民の正直な気持ちだろう。
自民党幹部は「これで参院選に向けて弾みがついた」と浮かれていたが、これもおかしい。地方選挙がなぜ、参院選の前哨戦になるのか。だったら、経済、内政、外交と国政全般を争点にしたのか。もちろん、そういうことはないわけで、安倍政権と大メディアが結託し、勝手に都議選=参院選の前哨戦という“レッテル貼り”をしただけだ。
政治評論家の野上忠興氏はこう言った。
「今度の都議選は最後まで争点がなんだかわからなかった。安倍首相は盛んに経済政策の成果を強調していましたが、都議会とは関係ないし、アベノミクスの恩恵なんて、一部の大企業だけでしょう。多くの有権者は『オレには関係ねえや』と感じていたと思いますよ。それなのに、メディアも一緒になって、参院選の前哨戦なんて煽(あお)るものだから、ますますシラけた。この結果で『安倍政権信任』なんて報道をされると、もっとシラける。有権者は政治に関心を失い、政治はさらに劣化していくと思います」
日大教授の岩井奉信氏も「無党派層が投票に行かず、単なる政党支持率の世論調査のような選挙だった」と切り捨てていたが、本当だ。
大体、地方の首長選で自民党系の候補は負け続けている。そういうときは「参院選の前哨戦」とは言わないくせに、勝った時だけ「前哨戦」なんて、虫がよすぎるというものだ。
◆低投票率は有権者の議会否定、自公政治否認だ
それにしても、この投票率の低さはヒドすぎる。1997年に40・8%というのがあったが、前回2009年は54・49%、2001年は50・08%、1989年は58・74%。衆議院選は、ほとんどいつも6割以上の投票率があるし、ドッチラケだった猪瀬の都知事選だって、62・6%だ。これらと比べると、今度の投票率、43・5%は低すぎる。天気も良かったのに、異様な結果だ。
自民党の石破幹事長は「投票に行かなくても自民党が勝つのかなと思ったのかもしれない」なんて、我田引水の分析をしていたが、冗談じゃない。投票に行かなかった人は「入れたい候補者がいなかった」のだ。
つまり、「自民は嫌いだが、野党もだらしないし、どうでもいいや」という心理である。もっと言うと、都議会なんて、共産党以外はオール与党化している。どこの政党に入れたって、最後は猪瀬と「なあなあ」になる。バカバカしいったらありゃしない。これが有権者の心理だ。だからこそ、共産党だけが8→17と議席を増やしたのである。
棄権した6割は反自公、反都議会。自民党の支持者なんて3割程度で、反自民は倍以上。これが今度の選挙結果とみるべきだ。
「前回の都議選は民主党の政権交代への期待もあって、投票率は55%に迫った。今度も自民党政権になって、何かが変わる、やってくれそうだ、という期待があれば、もっと投票率は上がったはずです。それがこの程度だったということはやっぱり、政治にシラけているんですよ。おそらく、投票に行ったのは本当の政治好きか、宗教関係者、組合員などの利害関係者じゃないですか」(野上忠興氏=前出)
もうひとつ、都議会を自公が牛耳ればトクする利権関係者がせっせと投票所に足を運んだのだろう。
低投票率バンバンザイの自民党は59人が全員当選。公明党も学会票で23人が全員当選。惨敗民主は今後、野党にもなりきれず、自公の補完勢力に堕していく。投票所に行った有権者の方がむなしくなる結果である。
◆惨敗した海江田・民主党は完全消滅へ
43議席から15議席へと、再び大惨敗を喫し、ついに都議会第4勢力に転落した民主党は今後、どうなるのか。
東京1区の海江田代表は新宿、港、千代田が地盤だが、3つの区で民主党は1人も当選できなかった。複数区の港、新宿は自民が2人当選、前回勝った1人区の千代田は自民候補に奪回された。菅元首相の地元、小金井市では秘書が立ったがこちらも落として、自民が議席を取った。
ここまで負けると、もう壊滅へまっしぐらだろう。細野幹事長は「現実を受け止め、参院選に向けて立て直すにはどうしたらいいのかを党全体で考えなければいけない」とか言っていたが、その参院選まであと1カ月もない。立て直す前に消滅だ。
「民主党は前回、躍進したときの公約を今回は全部、引っ込めてしまった。築地市場の移転問題や石原都政がつくった新銀行東京の追及などです。都議会がオール与党化したツケで、争点化を避けた。いつまで与党の思い出に浸っているのでしょうか。今度の結果が参院選の前哨戦になるとは思いませんが、こんな中途半端な政党ではどうしようもありません」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
どうせ第1党になれないのだから、徹底的に猪瀬批判のゲリラ戦法でもやればよかったのだ。与党にも野党にもなれない政党は消えるのみだ。
◆安倍政権は支持されていない
「全員当選」の張り紙が掲げられた自民党本部。「当確」が報じられるたびに歓声が上がり、お祭りムード一色だった。党幹部は「アベノミクスが争点になった」「大変な支持をいただいた」と胸を張ったが、果たして本当にそうか。
都政に詳しいジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「投票率が40%そこそこでは、自民党や公明党のように、古くからの組織がしっかりしている政党が勝つのはある意味、当然です。今回の都議選を取材していて感じたのは、従来の自民党支持者がフル回転していたということ。4年前の惨敗がトラウマになっているのでしょう。逆に言えば、ガチガチの支持者が確実に投票所に足を運んだというだけで、新しく自民党支持者が増えたわけではありません」
都議選は1人区が7選挙区、2人区が16、3人以上の複数区が19ある。野党が割れていれば、勝てる選挙区も取りこぼしてしまう。
目黒(定数3)なんて、民主、みんな、維新、みどり、共産とみーんな立って、結果は「自自公」で議席独占だからヒドイものだ。世田谷区(定数8)も民主が2人、維新も2人を立てたが全員落選。自民3議席、公明が2議席という結果だった。民主、みんな、維新が票を食い合い、自滅しているのだ。
NHKの出口調査では、安倍政権の経済政策を「評価しない」と答えた人の30%が共産党の候補に投票したと答えている。それで共産党は議席を倍にした。残りの70%は割れて議席に結びつかなかった。野党が「反自公」で共闘していれば、まったく違う結果になっていたはずだ。
◆日本政治のガン橋下・石原・猪瀬と維新の行方
日本維新の会は都議選に34人を擁立したが2議席と惨敗し、告示前の3議席も下回った。
維新の山田宏衆院議員は、テレビ出演で「橋下共同代表の慰安婦発言と、それをめぐるマスコミの“誤報”が支持低迷につながった」と分析していたが、もちろん、それだけじゃない。
「22日には、不仲が伝えられてきた橋下氏と石原氏が東京・池袋でそろって街頭演説を行い、有権者の前で握手を交わして関係修復をアピールしました。こんな三文芝居、見せられる方はたまったものじゃないし、それを大ニュースのように報じるマスコミもどうかしています。都議選で負けたことについて、石原氏は『自分は悪くない』と思っているのでしょうが、前知事でもあるのに、地盤の東京で支持を広げられなかった。橋下氏にしても、自ら進退に言及したのだから、負けたら責任を取ってスッパリ辞めればいいのです。もっとも、維新は2人に辞められたら困るから、党内から両代表の責任を問う声なんて上がらない。参院選までナアナアで行くのでしょう」(鈴木哲夫氏=前出)
実際、平沼代表代行は「波風を立てる必要はない」と橋下の引責辞任を否定した。「そのまま継続するわけにはいかない」と進退について話していた橋下本人は、また「誤報」と言い逃れるつもりだろうか。
責任を取らない。他人のせいにする。悪いのは自分だけじゃないと逃げる――。こういうサイテーぶりが、有権者に嫌われたのだ。
「橋下氏の発言がなくても、維新は勝てなかったと思います。選挙戦略も何もなく、橋下人気に乗っかってきただけの党だからです。政党としてのガバナンスもなっていない。それに、西(大阪維新の会)と東(旧太陽の党)の亀裂は深刻で、修復は不可能なところまで来ている。おそらく参院選も惨敗でしょう。そうなると、責任の押し付け合いです。参院選後には分裂か消滅の運命でしょうね」(ジャーナリスト・山田厚俊氏)
独善的な物言いを“面白がる”マスコミが作り上げた虚構の人気に驕(おご)り、勘違いを続けてきたのが橋下と石原である。物珍しさに踊らされた「民意」とやらをカサに着て、傍若無人に振る舞ってきたが、その「民意」にも見放されたらオシマイということだ。
もうひとり、この都議選の結果を見て、つくづく、ガンは猪瀬都知事だ。この低投票率は猪瀬都政へのシラケでもある。五輪招致をめぐる大暴言、ヘタクソな英語やパフォーマンス、次から次へと出てくるスキャンダルに都民はヘキエキしているが、都議会は無力。というか、いつの間にかオール与党と化し、知事とツルんで腐敗する。
日本の政治を劣化させている連中が表舞台から消えない限り、都民はドッチラケだ。
◆不景気は続きカネだけ取られ、税金ドロボーの政治屋だけがノウノウとする
有権者にソッポを向かれ、投票所にさえ足を運ばせることができない連中でも、待遇は抜群にいい。不景気続きで四苦八苦の庶民とは暮らしぶりが全然違う。都議会議員がフトコロに入れるカネ=税金は耳を疑いたくなるほど高い。
議員報酬は月額102万円。これとは別に期末手当が438万円あり、年収は1700万円近くとベラボーだ。
手にするのはこれだけではない。政務活動費の名目で年間720万円が支給されるし、議会に出席すると23区の都議で日額1万円、多摩地区は日額1万2000円の「費用弁償」なる交通費まで支払われる。都議会は年間80〜90日程度開かれる。すべてに顔を出せば、100万円近くになる計算だ。電車で移動する議員は丸儲けである。
それやこれやで、ざっと2500万円。それでも立派な仕事をしているのならまだしも、この4年間に都議会で成立した議員提案の政策条例は、たったの1本である。
多くの都民は都議の顔を知らないだろう。何をやっているかも分からない。それをいいことに連中は好き勝手をやっているのだ。都民は完全にナメられている。
政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「都議会議員ほどボロい商売はありません。地域に密着したさまざまな問題や苦情への対応は区や市がやっているため、仕事らしい仕事がないのです。どこに何をつくるといった話ばかりになる。都税の使い道を決めていると言えば聞こえはいいが、実際は利権漁りをやっているわけです。それにしては報酬が高すぎる。国会議員のように全国を回ることもないのだから、政務活動費は必要ありません。そもそも127人というのも多すぎます。東京全域の大選挙区制にして定数は50。報酬は議会開催時に日当で支払う。そんな仕組みに変えるべきです」
都議のセンセイたちは海外視察も大好きだ。この4年間に民自で3度ずつ、合計3400万円の費用を掛けて、欧州やアジア、南米に出掛けている。これから4年間、都民の税金はまた政治屋たちに食い物にされるわけだ。
◆悪辣都政とアベノミクスで都民生活は過酷になるぞ
現状でも、都議会はオール与党化している。今年度の予算案も、反対は共産党だけ。第1党の民主以下、自民も公明もみんな賛成した。そんなぬるま湯都政で東京オリンピック招致や築地市場移転が進められてきたのである。
猪瀬知事は、ロシアでの招致プレゼンテーションで「カネは銀行にある」と下手クソな英語で言っていた。確かにそうだ。都は2回の招致に225億円もの予算を計上している。たかだか2週間程度のバカ騒ぎをやるために、湯水のごとく巨額の税金をつぎ込んだのだ。こんな無駄遣いに歯止めがかからないのも、都議会が正常に機能していないから。そのうえ今回は自公が圧倒的な過半数を獲得したのだ。もう絶望的である。マトモな都民が望まないようなことが、どんどん実行されてしまう。
政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「まっとうな都民は、ブラジルやトルコでデモに参加している人たちと同じような心境でしょう。もっと地に足のついた税金の使い方をすべきだ、と。待機児童や雇用、増え続ける高齢者、社会インフラの老朽化など、やるべきことはたくさんあります。小さな子供を持つ親は放射能への不安も抱えている。だれもが安心して暮らせるための街づくりは急務。ただでさえ都民の暮らしは逼迫しています。アベノミクスによる円安でガソリン代や食料品が急騰、電気やガス代も値上がりする。その一方で給料は増えず、景気も横這いを続けています。これ以上の無駄遣いが許されるような状況ではありません」
それでも都議はやるべきことをやらず、勝った自民党はアベノミクスが支持されたとバブル政策を継続する。安倍本人も「半年間の実績に一定の評価を得た」としたり顔だ。
かくして都民生活は、ますます過酷になっていくのだ。
◆各党の獲得議席数
[獲得][議席数][現議席][増減]
自民党 59 39 +20
公明党 23 23 ±0
共産党 17 8 +9
民主党 15 43 -28
みんな 7 1 +6
ネット 3 2 +1
維 新 2 3 -1
生 活 0 0 ±0
社民党 0 0 ±0
みどり 0 0 ±0
諸派・無所属 1 6 -5
計 127 125(欠員2)
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