57. JohnMung 2013年6月28日 09:27:20
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”電気代が上がって物価上昇!? アベノミクスはどこへ向かうのか” AllAbout nesdig 近藤駿介 http://newsdig.jp/w/31823 「見識ある皆さんは、日々の金融的な現象にすぎず、重要なことは実体経済が好転しているかどうかであるとお考えのことだろう」 内閣府経済社会総合研究所(ESRI)が都内で開いたESRI国際コンファレンス「日本経済の再生に向けて:グローバル経済における政策の役割」のレセプションでの挨拶で、安倍総理は乱高下している株式市場についてこのように述べた。数か月前に「私の発言によって円安となり株高になった」と「金融的な現象」を自らの手柄のように語った安倍総理も、何時の間にか「見識ある政治家」に進化していたようである。 報道によると、コンファレンスに参加した世界的に著名な経済学者達は、概ねアベノミクスに対して高い評価を与えているようである。「世界的に著名な経済学者」を招待したのが主催者の内閣府であるから、アベノミクスへの賛辞が並ぶことは想像できたこと。国内から招かれた「世界的に著名な経済学者」は、竹中平蔵、伊藤元重、岩田一政、伊藤隆敏等々、相も変わらない顔ぶれ。 「生産性を抜本的に向上させるためには、古い設備を廃棄し、思い切った『新陳代謝』を進めていくことが必要です」(5月17日「(日本アカデメイア)成長戦略第2弾スピーチ」)と主張する安倍政権が、成長戦略を何年も同じ顔ぶれの「著名な経済学者」に委ねる姿は何とも皮肉な光景。 スピーチの中で、デフレからの脱却に向け「政策責任者である私がリスクを恐れず果敢に行動しなければならない」とも強調した安倍総理。「デフレからの脱却」の進捗状況を図る消費者物価指数が31日発表された。 全国消費者物価指数はマイナス幅が前月より0.1%縮小したものの前年同月比で0.4%下落と、6カ月連続の下落となった。ただ、先行指標となる東京都区部の5月中間速報は「生鮮食品を除く総合指数」が09年3月以来4年2カ月ぶりにプラス圏に浮上し、一見「デフレからの脱却」への兆しが見え始めたような結果となった。 しかし、東京都の消費者物価指数を押し上げた費目は「光熱・水道」。「光熱・水道」を押し上げた主役は「電気代 13.7%」で、これだけで総合指数を0.4%押し上げている。その結果、「光熱・水道」は前年同月比で7.6%の上昇と、先月の同5.3%上昇からさらに加速、消費者物価指数を0.48%押し上げた。 すなわち前年同月比で上昇したのは「生鮮食品を除く総合指数」だけであり、「総合指数」は前年同月比0.2%の下落、「食品・エネルギーを除く総合指数」は0.3%下落となっており、「デフレからの脱却」に向けて着実に歩を進めているとは言えない状況にある。 問題は、「電気代」の上昇による「光熱・水道」が消費者物価を押し上げる姿が、アベノミクスが目指す「デフレからの脱却」から乖離したものではないのかという点。アベノミクス下で実施されている日銀の「異次元の金融緩和」は、「期待に働きかける」ことによって「デフレからの脱却」を目指す政策である。 しかし、「電気代」の上昇期待が強まったからといって蓄電しておくことも、「電気代」が上がる前に前倒しで生産して在庫として抱えることも、非現実的である。「電気代」以外が下落している段階での在庫の積み増しは、損失を生み出すものでしかないのだから。 現時点での物価状況は、アベノミクスの目標からずれ、「悪い物価上昇」の気配を見せ始めている。日本が「デフレからの脱却」を果たすために、「大胆な金融緩和」や「機動的な財政政策」、「成長戦略」が必要なことは確かである。しかし、「2%の物価目標を掲げた『異次元の金融緩和』」には再考の余地がある。 デフレからの脱却に向け「政策責任者である私がリスクを恐れず果敢に行動しなければならない」とも強調した安倍総理。「悪い物価上昇」の気配が強まって来ていることを無視して、盲目的に「リスクを恐れず果敢に行動」し続けてしまえば、日本経済はアベノミクスが想定している「デフレからの脱却」とは全く異なったところに辿り着いてしまう可能性がある。 内閣府が招待した「世界的に著名な経済学者」には、アベノミクスに対する賛辞を並べるだけでなく、日本が「悪い物価上昇」を避けて、アベノミクスが目指す「デフレからの脱却」というゴールに到達するための正しい道筋についても考えてもらいたいものである。「日々の金融的現象」ではない物価動向は、「見識ある」「世界的に著名な経済学者」達に議論してもらうに相応しいテーマのはずなのだから。
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