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2013/6/21 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
一事が万事、クスリをインターネットで販売したら地方の薬屋が潰れて楽天だけが儲かることになるそうだ
作家の適菜収氏が週刊文春最新号のコラム「今週のバカ」で、楽天の三木谷浩史会長兼社長を取り上げていた。
〈口を開けば「グローバル化」「構造改革」「規制緩和」という人たちが一昔前にいた。その困った残党の1人〉と切り捨てた適菜氏は三木谷を〈グローバル資本主義という幻想から世界が目を覚ましつつある今、時代錯誤の中年〉と断じ、こう書いている。
〈(産業競争力会議で)人材派遣会社の取締役会長でもある竹中が「解雇自由化」を唱えるのもわかりやすすぎるが、三木谷はさらに露骨〉〈市販薬のネット販売解禁のどこが「成長戦略」なのか?〉〈結局、「これからは国際化だあ」とクダ巻いている中小企業の社長と同じなんだよね〉
実に痛快、正鵠をズバリのコラムだったが、そんな「三木谷の犬に成り下がった」(自民党の橋本岳衆院議員)のが、安倍首相である。
「こんな規制緩和ができないようなら(民間議員を)辞める」
産業競争力会議で「市販薬のネット販売解禁」を強く求めた三木谷に、こうすごまれると、議長の安倍はあっさり白旗。全面解禁に踏み切った。その理由も「三木谷氏に辞任されると、海外の投資家から〈日本は規制緩和に消極的〉と見なされ、株価への悪影響が出るため」(官邸事情通)ともっぱらだ。
市販薬のネット解禁には「安全対策の議論は置き去り」「楽天の子会社は薬のネット販売大手。三木谷氏の我田引水だ」との批判が渦巻いているが、安倍は国民の健康・安全より株価優先。株高こそ高支持率の原動力という発想なのだろうが、適菜氏が言うように「市販薬のネット販売解禁」で経済が発展するわけがない。
慶大教授の金子勝氏(経済学)は本紙コラムで、〈ネット販売が解禁されたからといってクスリの服用が2倍、3倍に増えるわけではない。地方の薬屋さんの雇用が失われる代わりに、楽天の三木谷浩史会長が儲かるだけ〉と喝破していたが、その通りだ。
アベノミクスの成長戦略は一事が万事、この調子。企業経営者のお手盛り金儲け策の集大成である。
◆労働者だけが泣きを見るエセ成長戦略
産業競争力会議のメンバーには、武田薬品工業の長谷川閑史社長やコマツの坂根正弘会長、東レの榊原定征会長など大企業の経営者がズラリと並ぶ。連携する規制改革会議の議長は住友商事の岡素之相談役で、ほかにも三木谷の盟友で、フューチャーアーキテクトの金丸恭文会長兼社長や、ぐるなびの滝久雄会長など新興企業のトップが委員に選ばれている。
「問題は労働者の代弁者がひとりも入っていないということです。だから、成長戦略は設備投資減税や規制緩和などの大企業優遇策ばかりが並ぶのです。今でも大企業には資金がたっぷりと余っているじゃありませんか。デフレや国際競争を理由にため込んだ内部留保は、260兆円にも上ります。それを社員に還元しないばかりか、限定正社員という名で、よりクビの切りやすい労働制度を導入しようとしているのが、アベノミクスの成長戦略です。今後は解雇の金銭解決ルールなどを再び俎上に載せ、大企業に都合のいい雇用制度の完成を目指していくでしょう。大企業のエゴがむき出しです」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)
この調子では、この先、労働者は泣かされるばかりだ。つまり、個人消費は上がらない。内需に火が付かなければ、成長戦略もクソもない。
これじゃあ、厚遇を受ける大企業の内部留保がますます増え、喜ぶのは株主だけだ。多少は株価を押し上げるだろうが、それまでの話。アベノミクスの効果なんて、タカが知れており、それで景気が上向くなんて絶対あり得ないのである。
◆歪んだ国粋主義者と政商がつるむ邪な政権
こうなると、素朴な疑問が湧いてくる。いったい安倍は誰のために政治をやっているのか。少なくとも多くの国民のための政治でないことだけは確かだ。
安倍はG8で東欧歴訪中にもフェイスブックを更新し、安倍の元外交官・田中均氏への“言論弾圧”を批判した民主党の細野幹事長を攻撃した。そんなことばかりやっているのだ、この男は。帰国すると、すかさず都議選の応援に駆けずり回り、自己PR。そりゃ、選挙も大事だが、安倍の場合、人気取りのパフォーマンスの度が過ぎる。
かと思うと、今や自民党内は、甘利経済再生相が漏らした「参院選後に内閣改造・党役員人事を断行する」という観測で騒然だ。安倍本人は否定したが、恐らく“火のないところに煙は立たず”だ。そうやって、党内の求心力を高めるのに必死なのだろう。安倍にとって何が大事なのかが、よく分かる。
常に目先のこと、自分の評判、権力保持だけに汲々とし、腰を据えて国家運営や政権ビジョンを考えている様子が見えない。考えていれば、あんな中身スカスカの成長戦略は出てこない。要するにナーンにも考えちゃいないのだ。
評論家の佐高信氏はこう言った。
「誰のための政治って、安倍首相の場合、そんな高尚なものじゃありません。慶大の竹中平蔵教授や楽天の三木谷会長に、首相が踊らされているのです。三木谷氏の一言で、無意味な薬のネット解禁が盛り込まれたのがいい例です。もうひとつ、高市政調会長の『原発事故で死傷者は出ていない』『だから原発再稼働』という暴言が批判され、安倍首相も注意したと報じられていますが、高市氏は安倍首相の代弁者なんですよ。これぞ安倍首相の本音で、だから原発を再稼働させるのです。誰のための政治であるかは歴然です」
新興の政商や財界のための政治。彼らに重宝がられて、浮かれている単細胞。それが安倍の正体だ。
◆あらゆる識者が憂う危なすぎる本性
前出の小林弥六氏は「安倍政権の本質は、たった1%の富裕層のための政治です」と切り捨てた。
「成長戦略の美名の下、ホンの一握りの大企業を優遇し、さらなる成長を促す一方で、弱い企業は切り捨てる。TPPや民間企業の参入で零細農家の仕事を奪って、解雇ルール見直しで労働者の権利をないがしろにする。いずれも農地解放や労働改革など戦後の民主化政策を否定する内容です。行き着く先は、巨大財閥や特権階級が我が物顔で振る舞った戦前回帰型の格差社会の再来です。安倍首相の〈戦後レジームからの脱却〉によって、99%の労働者は塗炭の苦しみを味わうハメになるのです」
心理学者の矢幡洋氏は「逃げ回る政治」と評した。
「安倍首相にとって、6年前にストレス性の病気で、政権を放り出した過去は拭い去れない屈辱です。二度とあんなミジメな思いはしたくない。だから、その原因をつくったストレスから極力、逃げようとする。わざと日程を目いっぱい入れ、考える時間すらなくしてしまうのも、ストレス回避術のひとつです。就任以来、安倍首相がほぼ休みなく東奔西走しているのは、ストレスフルな本来の役目に正面から向き合っていない証拠です」
二度と同じ失敗はしたくない。それがすべての行動原理になる政治だ。これも困ったものである。政治評論家の森田実氏は「参院選に勝ってしまえば、安倍首相にとって、この国は俺のモノ。連合国の“押しつけ憲法”なんて吹っ飛ばせ、中韓両国をギャフンと言わせてやる。安倍政治はそんな幼稚な野望と歪んだヒロイズムに支配されている」と言っていた。
安倍の右翼的な野心の総仕上げが、9条改正とこの国の軍国化だ。自分の手で祖父・岸信介が成し遂げられなかった悲願を成就させる。そんな狙いもあるのだろう。いずれにしたって、そこに「国民」は出てこない。従って、この政権で国民が豊かになることはないのである。
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