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2013年06月20日 世相を斬る あいば達也
今夜は多忙につき、山田厚史氏のコラムを掲載しておきます。彼はニュートラルなジャーナリストの地位を堅持している数少ない人です。長谷川幸洋氏のように、アメリカナイゼーションに魂を売り払わないのが良いですね。
山田氏が言うように≪国家から生まれ、国家を超える多国籍企業や金融資本。テロもヤクザも諜報機関にも国境はない。管理能力を失った国家。国民国家の時代は終わろうとしているのか。≫ 今、日本と云う国はまさにタックスヘイブンで肥え、身動きできないほどファットになったにも関わらず、まだまだ食べ尽くしていない、と不幸せで富裕な日本市場にTPPを通して襲いかかろうとしているのだが、襲われる側が、ヨロシクと云うのだから、呆れてものが言えない。
≪「政府宣伝広報」が目立つG8サミット報道 最重要は税逃れ&タックスヘイブン規制だった
メディアが自国の課題を中心に報道するのは、どの国にもあることだ。だが、その取り上げ方が国民をミスリードするなら報道の名に値しない。北アイルランド・ロックアーンで開かれた先進国首脳会談(G8サミット)を報じた日本のメディア、とりわけテレビに、「アベノミクスへの評価」を針小棒大に伝える「政府宣伝広報」が目立った。G8が直面する課題から国民の目をそらすことに一役買ったことにはならないか。
■的外れの日本メディアの報道
G8が直面する課題とは、先進国はどこも財政が悪化し、景気対策と財政規律がせめぎ合って政府は有効な手だてが打てないこと。背景には「税金逃れ」に走る巨大企業や富裕層がいて、税収不足の解消を庶民への増税に頼り、納税者の悲鳴が政治をますます不安定にする、という悪循環がある。
富裕層と多国籍企業が税金の逃避先として利用しているタックスヘイブンを無視できなくなった。「強者による税逃れへの対策」。これが今回、首脳会談の中心議題だが、日本の多くのメディアは「アベノミクスは支持されたか」という的外れの話題に焦点を当てた。
その典型が記者会見の映像だ。
「アベノミクスに強い期待と高い評価が寄せられました」
用意された原稿に沿って声を張り上げる安倍首相の表情が繰り返し放映された。国内ではメッキが剥がれた、と言われるアベノミクスも、サミットでは評判が良かったのか、と視聴者は受け取るだろう。発言を客観的に伝えた、のかもしれないが、このシーンが今回のG8サミットを象徴しているのだろうか。
新聞報道によると、イタリアのレッタ首相が「経済再建の参考にしたい。イタリアで講演をお願いしたい」と言ったという。こういうのを社交辞令という。当たり障りない発言でその場の空気をなごませるのはよくあることで、「高い評価、強い期待」というのは我田引水である。
■首脳間で火花が散ったシリア問題
耳を傾けるべきは「財政赤字にどう取り組むのか」「金融緩和の出口をどうするのか」と問いただしたドイツのメルケル首相の言葉だ。突出した財政赤字を抱えながら、「機動的な財政出動」を掲げる日本。「財政は大丈夫か」という懸念は各国の共通認識だが、どの国も財政赤字を抱え、他国を非難しにくい。
率直に語れるのはドイツぐらいである。金融緩和も同じ。米国では緩和にブレーキが掛かるという観測が広がるたびに株価が下落する。「そんな米国のまねをしていていいのか」、と正論を言えるのは緩和マネーに頼らず好況を保つドイツぐらいである。
サミットは首脳にとっては社交の場である。議題は役所レベルで詰め、シナリオに沿って演ずるのが首脳の仕事だ。次に会うとき「やあやあ」と打ち解けた雰囲気で首脳外交に臨むには、顔を合わせる機会は多い方がいい。
今回、シリア問題が注目されたのは、首脳間で火花が散ったからだ。ロシアのプーチン大統領が、アサド政権への武器輸出を「道徳的にも許される」と居直った。シリアを裏で応援するロシアを呼んだからには、予定調和でことが運ぶとは、議長国の英国も思ってはいなかっただろう。招かれた場でプーチンは空気を読むことは一切せず、自国の強硬姿勢を表明した。 「ロンドンで警察官を殺害するような者たちに武器が渡っていいのか」。プーチンは反政府勢力に武器供与を表明した米国を暗に非難した。首脳会談の醍醐味は、ピーンと緊張が走る研ぎすまされた発言にある。お世辞でしかない「結果が出るといいですね」のような言葉を成果にしているようでは、国際社会で 名誉ある地位を築くことはできないだろう。
■税金逃れは最大の背信
さて、本題のタックスヘイブンである。ここは「市場経済が作り出した闇」である。「金融資本主義の自画像」と言ってもいい。 税金で成り立つ国民国家にとって、税金逃れは最大の背信である。「国家転覆罪」のようなものだ。世界で名だたる企業や、人もうらやむ大金持ちが利用しているからタチが悪い。 共同声明では「多国籍企業が世界のどこで利益を生み、税を支払っているか、税務当局へ報告するための共通のひな型づくりに取り組む」と書き込まれた。
タックスヘイブンは「税金天国」と誤訳されることもあるが、ヘイブンとは「疎開地」「逃げ場」を意味する言葉だ。有名なのはカリブ海のケイマン諸島や、英国沖合のジャージー島などで、法人税が掛からず、金銭取引への監視が緩く、「金融特区」のような地域のことだ。孤島ばかりではない。スイスやアイルランドなどれっきとした国家も、法人税を安くすることでカネを呼び込み、事実上のタックスヘイブンになっている。
■「闇の金融特区」の黒幕は金融紳士たち
ビジネスがボーダレスになり、金融取引も通信回線で行われる昨今、実際の営業活動、決済、納税を異なった国でできる。儲けたカネをタックスヘイブンに集め、税金を逃れるのが企業の節税対策となった。
サミットの直前、英国議会でグーグルの納税が問題になった。バナー広告を集める営業はロンドンが拠点なのに、納税は英国でなされていない。国家歳入の流出だ、と槍玉に挙がった。同じことがアマゾンやスターバックスでも問題になっている。グーグルやアマゾンのようなIT企業だけでない。より深刻なのは、ヘッジファンドなど金融ビジネスがタックスヘイブンを隠れ家にしていることだ。
当局の規制を嫌う投機資金が監視の効かない場所に逃げ込み、利益を隠して税金を免れ、ため込んだカネ投じて市場で大暴れする。リーマンショックの一因は、タックスヘイブンを利用した金融資本の暴走だった。
暴走した金融の後始末には公的資金が投入された。納税から逃げた輩の不始末を納税者が担うというとんでもないことが起きている。国家の側はどこも財政難に喘いでいる。
この問題は経済協力開発機構(OECD)で議論されてきたが、問題の深刻さは共有されても対策は進んでいない。英国と米国が慎重だからである。 タックスヘイブンを作り出したのはアングロサクソンを中核とする金融資本である。弁護士・会計士などを含めた立派な紳士たちが「闇の金融特区」の黒幕である。
金融の他に強い産業のない英国、政権とウォール街の一体を意味するワシントンコンセンサスがまかり通っていた米国。国家を裏切って利益を稼ぎ、国家と手を握る「越後屋・お代官様関係」が、タックスヘイブンに国際的規制を、という正論を抑えてきた。
■ 「英国が本気にやると思いますか?」
リーマンショックでタックスヘイブンの罪が露になる一方、深刻な財政難によって徴税強化は避けて通れない。G8の重い腰があがったが、この問題を議題に取り上げたのは英国である。ケイマンもジャージーも英領である。緩い規制でカネを集める仕組みは、英国の同意なしにできることではない。
「タックスヘイブンの背後には英国の情報機関MI6がいるように思われる」。財務省OBで国際租税課長を務めた志賀桜氏は、近著『タックス・ヘイブン』(岩波新書)でそう述べている。
諜報活動に必要な資金を流すには、表に出ない金融ルートが必要だった。その仕組みが肥大化して国際的な闇システムが出来上がったという見立てだ。 豊富な国際経験で培った志賀の指摘にはうなずけるところが多い。事実、テロ資金の送金も、犯罪がらみのマネーロンダリングもタックスヘイブンが利用され る。
多国籍企業、大金持ち、投機筋、ヤクザ、テロ集団、諜報機関。庶民と縁遠い面々が跋扈し、国家を超越する「自由特区」を、G8は退治できるだろうか。
「英国が議長国で本気にやると思いますか?」
政府関係者は吐き捨てるようにそういった。G8は「税務当局が共通したひな型づくりに取り組む」ことで合意した。一歩前進とも見えるが、ひな型をめぐって延々と時間が空費される、という見方もある。そうしている間に、国家の空洞化は、ますます進むだろう。国家から生まれ、国家を超える多国籍企業や金融資本。テロもヤクザも諜報機関にも国境はない。管理能力を失った国家。国民国家の時代は終わろうとしているのか。≫(DIAMOND ONLINE:国際・山田厚史の“世界かわら版”)
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