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2013/6/20 晴耕雨読
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以下、連投。
6月15日、横浜市青葉区で開かれた、政治経済学者の植草一秀氏による講演会「アベノミクスとTPPの真実」の報告ツイートを開始。
講演会の主催は「食政策センター・ビジョン21」。
植草氏:
昨年暮れの衆院選は原発・消費税・TPPを争点化し、国民が判断を下す政策選択選挙、政権選択選挙であるべきだったのに、争点がぼかされた。
国民の関心は「景気・雇用」という報道にはからくりがある。
景気・雇用は消費税問題と表裏一体。
世論調査は「景気・雇用・消費税」を一体で提示すべき。
「景気・雇用」「消費税」とバラして設問すると、どうしても回答は「景気・雇用」に集まる。
結果、「消費税問題は関心が低い」とされてしまった。
世論調査は、質問の設定の仕方でいかようにも結果をコントロールできる。
はじめから答えを決めておき、そこに回答が集中するよう設問を設定できる。
多くの国民は原発をなくすことに賛成。
TPPについても中身をよく知れば「日本は入るべきでない」という考えに至る。
消費税についても、政府の色々なムダを斬らないで税率を上げていくのはおかしい。
これらの政府の約束を全部そっちのけにし、自民は圧勝した。
その流れを汲んで、7月の参院選でも、主要争点を横に置いたまま進もうとする策略が見えてくる。
まさに「地雷装備完了」。
原発、TPP、消費税、基地移転などの懸案事項が動くのは参院選終了後。
これから炸裂する地雷にはあまり触れず、夏の選挙は円安株高のアベノミクス礼賛の流れで乗り切ってしまう狙い。
参院選終了後は、解散がない限り、丸々3年間は選挙が行われないことになる。
衆参両院で政権側が圧倒的多数を占めると、やりたい放題。
日本の国を根本的に書き換えることができてしまう。
安倍政権に関する問題点。
衆院選では全有権者の僅か16%の得票で圧勝。
国民の判断と国会の議席数が食い違っている状況で、国を左右する原発、普天間、消費税、TPPなどの重要政策が決められていくのは問題。
安倍政権の掲げる成長戦略の問題。
「10年後に所得を150万円増やす」との安倍総理の発言はトリック、まやかし。
経済規模を単に人数(人口)で割っているだけ。
全員を150万円増やすということではない。
安倍政権からは、経済全体の成長、パイを大きくすることしか出てこないが、私たち市民、生活者、消費者、主権者という立場で言うと「成長よりも分配」が重要。
パイをどう分かち合うかということのほうが大事。
安倍政権には、「分配」の視点がない。
安倍政権の経済政策の視点は、「大資本がいかに利益を増やすか」に焦点が置かれている。
解雇の自由の拡大、農業分野に株式会社がどんどん参入できるようにする。
さらに、消費税増税の一方で、法人税はさらなる減税を画策。
資本の利益を追求するという傾向が非常に強い。
労働者、生活者、主権者の個々の幸福がないがしろにされているのが非常に大きな問題。
第三極と言われているところは大差ない。
いわば(自民党の)別働隊のようなもの。
「既得権益の側に立つ政治勢力」なのか、「市民・主権者・消費者・労働者・個人の側に立つ政治勢力」なのかを見極める必要がある。
参院選で重要なのは、「自・公・み・維」の方針に反対する勢力、いわば「市民派勢力」が「小異」を乗り越え、大同団結して選挙戦を闘わないと、選挙区では議席が全く獲得できないという事態が懸念される。
これまで、アベノミクスはきれいに見えていたが、メッキが剥がれてきた。
剥がれた後に出てくる本体は「アベノリスク」だ。
国民がアベノミクスを支持してきた要因のひとつは「メディアコントロール」にある。
日本はマスコミの情報を鵜呑みにしやすい国民性。
どのテレビ局からも同じ情報が流されるので、信じてしまいやすい。
情報が本物かニセモノを見極める力、「メディアリテラシー」が、日本には備わっていない。
アベノミクスの狙いは、円安誘導による株価上昇だろう。
「金融緩和をし、日本の金利が下がって円安につながり、円安になれば株価が上がる、株価が上がると、政権の人気が上がる」と考えたのではないか。
アベノミクスで評価を受けている点はただ一つ。
「株価が上がった」ことだけ。
それ以外は何もない。
株価が上がると、マスコミもはやし立てるし、政権にとって都合の良い話になる。
金融緩和をやれば金利が下がるというのがアベノミクスの出発点。
半年間はうまくいったが、実際に金融緩和をしてどうなったか。
金利が上がってしまった。
アベノミクスの良いところはすでに終わってしまった。
日本の金利が上がると円高になりやすい。
1ドル=103円まで行ったのが94円まで円高に。
今までは円安で株高だった。
それが、日本の金利が上がり始めたものだから、円高で株安に流れが変わってしまった。
消費税増税を決めた野田前政権の行動は民主主義を破壊するもの。
シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい。
税と社会保障の一体改革と言いながら、(政権交代もあって)社会保障改革は進展ゼロ。
逆進性の強い消費税への偏重は、負担能力に応じた税負担という原則を破壊するものだ。
増税のタイミングも悪い。
大不況下で巨大増税を強行すれば恐慌に陥る。
小泉政権、橋本政権の大失策を繰り返すのか。
消費税そのものに構造的欠陥がある。
消費税は、本来は消費者が負担するはずのものだが、販売競争や価格競争が厳しい中では、価格発言力の弱い中小零細事業者が自腹を切る形になってしまう。
日本全体の税収は1990年頃には60兆円あったが、2009年には40兆円にまで落ち込んだ。
所得税による税収は、ピークだった1991年の26.7兆円から2009年には13.5兆円にまで下がった。
法人税による税収は、1989年の19兆円がピークだったのが、2009年には6.4兆円にまで下がった。
対するに、消費税による税収は1989年に3.3兆円だったのが、現在は10.4兆円まで拡大した。
この20年間に所得税は半分、法人税は3分の1、消費税は3倍になった。
さらに、消費税を2倍にし、法人税はさらに減税を狙う。
逆進性の強い消費税に過大に依存することは、弱者を潰す「弱肉強食」の促進だ。
TPPは「アメリカの、アメリカによる、アメリカのための」枠組み。
世界の大資本がターゲットを絞ってくるのが、農業、医療、共済。
日本の関税率は世界的に見ても十分に低い。
閉鎖的といわれる筋合いはない。
安倍政権は農業所得倍増を掲げているが、「農家の所得」を倍増すると言っていないところがミソ。
農家が潤うわけではない。
誰が潤うかというと、資本。
しかも、その資本はおそらく外資になる。
外資は、農業生産だけでなく、出荷、流通、加工などを一括して支配してくる。
特に遺伝子組み換え食品のようなものが規制なしに入ってくると、食べ物によって人々が支配されるという事態が起きてしまう。
アメリカのGDPに占める国民の医療費の割合は16%で、日本の2倍。
「医者に行ったら、べらぼうに高い」ということ。
それを日本に当てはめ、経済成長だといわれても、ありがた迷惑以外の何ものでもない。
「医療で成長」などと言っているが、それは医療のGDPを拡大するということ。
一方、アメリカは医療、医療機器、薬品、医療保険で儲けようとしている。
「50、80、喜んで」などと喜んでいられない。
TPPによって、日本の医療費がかさむようにして、(公的)保険でカバーできるものを制限していく。
「超」のつく金持ちが高い費用を払うような民間医療保険に入った人しか、高度な医療が受けられなくなる。
日本の仕組みで優れているのが、国民皆保険であることは間違いない。
日本の良いところは「いつでも・誰でも・どこでも」一定の高度な医療が受けられること。
高額医療も8万円の自己負担で受けられる。
混合診療導入で、保険でカバーできない部分が大きくなり、実費負担が拡大。
月に数十万円以上というような負担も出てくる。
医者もカネになる方にだんだん流れていく。
医療に経済格差がもたらされてしまう。
TPPは共済分野にも圧力。
日本にあるJA共済、コープ共済など、安くて良いサービスを非営利で行う共済保険は、アメリカの大資本が日本でビジネスをする際に邪魔で仕方がない。
これを「なくせ」ということ。
オランダの政治学者ウォルフレン氏は、著書で「人物破壊工作。
政治的な敵対者を社会的に抹殺するという手法が比較的広範に見られる。
典型的事例が小沢一郎氏」と指摘。
私自身も今秋に再審請求を行う方針。
以上で、6月15日に横浜市青葉区で開かれた、政治経済学者の植草一秀氏による講演会「アベノミクスとTPPの真実」の報告ツイートを終了。
アーカイブ→http://t.co/IcAeVMApec
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