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2013/6/19 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
G8首脳会議に参加した安倍首相は「日本の経済が復活しているということは、世界経済にとって大変なプラスである、という評価だった」と自画自賛してみせた。メディアも「G8 アベノミクス評価」などと垂れ流しているが、実態はまったく違う。
全体会議や2国間会議では、「大規模な金融緩和によって通貨切り下げ競争に陥る可能性があるのではないか」と日本の円安政策を懸念する意見が相次いだ。首脳宣言でも「中期の財政政策が必要」と釘を刺された。なかでも辛辣だったのはドイツのメルケル首相で、安倍との会談では直接、「デフレ脱却は良いが、財政赤字を抱えていることについては、どういう取り組みをしていくのか」「(金融緩和の)出口戦略はどうするのか」と突っ込まれた。
「要するに、アベノミクスはやんわり、“ダメ出し”されたのです。マスコミが流しているような高評価では決してありません。異次元緩和をしても、経済は良くならない。成長戦略や『骨太の方針』も中身スカスカ。それで、『この先どうするつもりですか?』と突きつけられたのですよ」
◆「金融緩和策の限界」は世界の潮流
米国や英国は、自国のファンドが日本市場でボロ儲けしている手前、露骨なアベノミクス批判を避けたが、実は「金融緩和策の限界」は世界の潮流になりつつある。だから、米FRBも引き締めのタイミングを模索しているわけだし、その臆測が株式市場を混乱させている。
本当に金融緩和が有効な景気対策であるなら景気が上向き、引き締めに転じるのは、「成功」になる。
結局、金融緩和とは根本的な治療薬ではなくて、麻薬、モルヒネの類いだったということだ。
大規模緩和で一時的に市況は良くなるが、効果はすぐに切れ、さらなる刺激を求める。いったん手を出したら最後、依存体質になり、抜け出せなくなる。
しかも、その間に国債をどんどん発行すれば、財政規律に対する不安が急速に膨らんでいく。
金融緩和論者は、緩和で景気が良くなる。税収も上がる。それで財政も健全化する――と、こうしたシナリオを描いていたが、実際はそうならない。だから、金融緩和は危ないのだが、安倍・黒田は信じられない規模の金融緩和に踏み切った。世界中が驚き、おののいたが、そうしたら、案の定、日本の国債市場は大混乱。株価はジェットコースター相場の様相だ。懸念は的中したのである。
それなのに、安倍は「世界経済への貢献」とか言う。虚勢はいい加減にしてほしい。
◆アベノミクスの欺瞞が次々と露呈してきた
安倍にリフレ政策を吹き込んだ内閣官房参与の浜田宏一・エール大名誉教授は、いみじくも、アベノミクスを「実験」と言った。黒田日銀の異次元緩和を評価して、「これほど大規模な実験は世界でも行われていない」と高揚していたが、冗談じゃない。
金融政策は、財政政策と並ぶ国の経済対策の根幹である。それを「実験にする」とは、あまりに乱暴だし、フザケた話だ。
実体経済は、新商品開発の実験とは違う。ひとたび国の金融政策を間違えば取り返しのつかないことになるし、実際そうなりつつある。それが専門家の見方なのだ。
「“実験”などとよくぞ、無責任なことが言えたものです。しかも、その失敗は歴然ではないですか。こうなったら浜田参与も黒田総裁も責任を取って辞職すべきでしょう。早く過ちを認めて軌道修正しないと、日本経済は大変なことになります」(菊池英博氏=前出)
「デフレの正体」の著書で知られる日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏は、「金融緩和の罠」という本の中で、アベノミクスの欺瞞をこう指摘していた。
〈国がどんどん国債を発行し続ければ、いずれ国債の信用が毀損されて金利が上がる。(緩和マネーは)高齢富裕層、銀行、政府のトライアングルで、資産の悪化リスクをはらみながら、ぐるぐる回り続けている〉
〈お金をばらまいても、生産年齢人口が減少する日本では高齢富裕層のところで止まってしまい、消費意欲の強い現役世代には行きわたらない。したがって、需要は回復しない。それどころか国債の信用毀損という余計なリスクまで引き起こしてしまっている〉
BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏も、大規模緩和の副作用について、こう言っている。
〈日銀が金融緩和を続ければ、長期金利上昇と円安進展の負のスパイラルが生じ、最悪の場合には、財政危機、金融システムの動揺、資本逃避が同時に訪れる可能性がある。それは、ちょっとしたきっかけで急激に起こる突然死であると同時に、再び立ち上がることが非常に難しい深刻な危機になる〉
〈財政出動したときには一時的に景気が上向いたように見えても、それは本質的には何の価値も生み出していなくて、将来の所得を前借りしているだけだ〉
大胆な金融緩和と積極的な財政出動。2つともバクチなのだが、それを同時に打とうとしているのがアベノミクスだから恐ろしい。リスクは2乗。そのツケは国民に押し付けられることになる。
◆存在論的にいって不可能な金融緩和策の虚構
大阪大社会研究所教授の小野善康氏は、豊かになり、誰もがとりあえず欲しいものを手に入れた成熟社会の日本では「お金そのものへの欲望」が「消費欲」を上回っていると分析。いくら金融緩和しても無意味だと説いているし、津田塾大国際関係学科准教授の萱野稔人氏も、〈金融緩和は転倒した政策〉と断じている。〈なぜならそれは、お金の価値を裏づけている経済力という土台をそのお金によって強化しようという政策だから〉であり、〈哲学的にいえば、存在論的に不可能〉と喝破した。ちょっと分かりにくいが、「お金の信用」という虚構で成り立っている経済を虚構で強化しようとしても、幻で幻を肥大化させるようなものだということだ。
つまり、金融緩和によって景気が上向くとか、デフレ脱却なんてあり得ない。幻想でしかないのである。
それなのに、「G8でアベノミクスの成果を説明し、評価された」とハシャぐ安倍。この勘違いが恐怖だ。
「G8では米国のオバマ大統領との首脳会談も組まれなかった。『安倍政権で日米関係を修復した』と言い張っていたのに、大嘘だったことが露見しました。安倍首相の極右思想のせいで東アジアとの関係もグシャグシャです。この国を取り巻く環境は、経済も外交もどんどん悪い方向に向かっているように思います」(政治評論家・森田実氏)
これが冷静な専門家の見方であり、さすがに国民も安倍のデタラメに気づきつつある。それが、最近の支持率低下であり、地方選の連敗だ。
アベノミクスの破綻が明らかになった以上、この政権は早々にお引き取りいただくしかない。
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