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http://mainichi.jp/opinion/news/20130619k0000e070232000c.html
毎日新聞 2013年06月19日 13時32分
安倍晋三首相が自身のフェイスブックで、かつて小泉訪朝(2002年)を主導した田中均元外務審議官を「彼に外交を語る資格はありません」などと名指しで批判した一件について書く。結論を記せば、やはり田中氏への個人攻撃と言われても仕方がない内容で、最高権力者の発言として一線を越えていると私は思う。
発端は毎日新聞が12日付朝刊で掲載した田中氏のインタビューだ。そこで田中氏は「国際会議などで、日本が極端な右傾化をしているという声が聞こえる」などと語った。これに対し首相は、官房副長官だった11年前、拉致被害者5人を北朝鮮に返すべきだとする田中氏の主張を自らが覆したと説明し、「あの時、田中氏の判断が通っていたら5人の被害者や子供たちはいまだに北朝鮮に閉じ込められていた」と切り返した。
過去の経緯を丁寧に語ってもらうのは結構だ。だが、首相は5人を返さなかった判断について「毎日新聞や一部マスコミからも批判的に報道された」とも言う。そうだったろうか。当時は「安倍副長官」の「毅然(きぜん)とした態度」が圧倒的な国民支持を集めていたし、正面から批判するような報道はなかったと記憶する。
逆に田中氏は「売国奴」と呼ばれ、自宅に爆発物も仕掛けられた。それを時の東京都知事、石原慎太郎氏が「当たり前の話だ」と言ってのけたのも忘れない。敵か味方か単純に決めつけ、攻撃的な言葉があふれる風潮は強まる一方だ。権力者の一言は過激な行動をあおる危険さえある。
5人を返さなかった判断は間違っていなかったと私も思っている。ただし、その後、拉致問題の交渉はほとんど途絶え、長い時間が経過しているのも事実だ。だから首相は飯島勲内閣官房参与の訪朝を大きな手がかりにしたいと考えているはずだ。
今回、田中氏が「飯島さんの訪朝がスタンドプレーだとは言わないが、そう見られてはいけない」と語った点も首相のしゃくに障ったのだろう。でも、政治は結果がすべてだ。拉致問題が解決したら私はもろ手を挙げて称賛するし、おそらくすべての国民がそうなることを期待して今、静かに見守っているのだと思う。
批判や異論を許容できず、意に沿わない人をただ攻撃するだけでは、首相として、いささか器が小さ過ぎるのではないか。(論説委員)
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