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毎日新聞 2013年06月08日 02時30分
http://mainichi.jp/select/news/20130608k0000m040110000c.html
◇日弁連「早急に対応を」
新聞の投書欄に載った投稿者の電話番号や住所がインターネット上に無断で掲載され、嫌がらせ電話を受けるケースが出ている。電話番号検索サイトなどで割り出したとみられる。こうした無断転載にプライバシー侵害を認める司法判断もあるが、法的規制は難しくサイト管理者に削除を依頼するしかないのが現状だ。被害者は取材に不安な気持ちを明かし、専門家からは「言論の自由が妨げられかねない事態」との懸念の声が上がっている。
昨春、朝日新聞の投書欄に、従軍慰安婦問題についての投書が掲載された中部地方の男性は取材に、掲載後間もなくして自宅に無言電話がひっきりなしにかかってきたと話す。「売国奴」とののしられたこともあったという。調べると、掲載翌日、ネット掲示板に投書内容と住所、電話番号が記載され、電話番号検索サイトへ誘導する書き込みがあった。
「おまえの居所は分かっている」。5月中旬、政治関連の意見を載せた関東地方の男性宅には、男の声で脅迫まがいの電話があった。同じように、ネット掲示板に電話番号などが書き込まれ、昼夜を問わず無言や嫌がらせ電話がきた。「ネットに電話番号が出ているとは」と不安がる。
投稿者はNTTの電話帳に登録したことがあったといい、住所・電話番号は、ネット上に公開された検索サイトやNTT電話番号案内で割り出し、書き込まれたとみられる。
電話帳に公開された個人情報のネット無断転載を巡っては、神戸地裁が1999年6月、勤務先電話番号などを書き込まれ、嫌がらせを受けた医師へのプライバシー侵害を認め、掲載者に約20万円の賠償を命じた判決(控訴棄却後に確定)がある。
国民生活センターによると、同様の被害相談は昨春から寄せられ始めた。総務省消費者行政課は「表現の自由を考慮すると、法的規制は難しい」として、サイト管理者に削除を依頼するしかないと説明。これに対し、日本弁護士連合会は「被害は深刻。早急な対応が必要」として、発信者情報の開示要件を緩和するよう総務省に求めている。
朝日新聞広報部は「許し難い行為。確認できれば状況に応じて投稿者に連絡し、削除要請できることを説明する場合もあるが、現在対応を検討中だ」と話している。
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