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2013年06月19日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆またまた、高級官僚の不祥事が発覚した。今度は、官僚中の官僚といわれる超エリート外務官僚だ。人権人道担当大使の上田秀明大使(東大法学部卒、外務省入省、ハーバード大学大学院留学)である。
国連拷問禁止委員会で会議中、出席者から「日本の刑事司法制度は自白に頼りすぎており、中世(the Middle Ages)のようだ」と批判の声が出たのに対して、「日本の人権状況は先進的だ。中世のようではない」と反論したつもりが、なんと「中世(the Middle Ages)」と「中年(middle age)」を間違えてトンチンカンな反発を示し会場からは失笑が漏れてしまった。何に対して笑われたのか気がつかない大使は、即座に怒りを爆発させて、「シャラップ(黙れ!)」と怒鳴り散らしたという。元はといえば、自らの違いが招いた失笑であったにもかかわらず、結局、最後まで勘違いしたままだったようだ。
しかし、外交官が決して口に出してはならない「シャラップ(黙れ!)」とわめいたのは致命的だった。余程プライドを傷つけられたのが、許せなかったのであろう。冷静さを完全に失っていた。
どうもこの上田秀明大使は、常日頃何かと感情を害して、「プッツン」し易い性格の持ち主で外務省内でもよく知られていたという。
◆しかし、超エリートにあり勝ちなのは、自分を冷静に客観視して見ることが不得意だということだ。他人が思っている程は偉くないのに、偉いと思い込んでいる。外交官は日本を代表して海外で活動しているだけに、日本が悪口を言われるのが許せない。
人権問題についても、日本は世界の最先端を走っていると思い込んでいるフシがあり、上田秀明大使も同類だったのではないか。
確かに、日本は韓国や中国のように人権を軽視しているような後進国ではない。
日本国憲法は世界で最も進歩した法典と言われていて、「第3章 基本的人権」の条項も世界最高水準といわれている。ワイマール憲法を継受けしていると評価も高い。
だが、現実は真逆である。世界の人権団体が人権について日本の取り組みを決して高く評価していないことがよく証明している。
アムネスティなどは、「死刑」あるいは「死刑の執行方法」を残虐刑として禁止を勧告しているばかりか、取り調べ段階での「可視化」が後れていることもヤリ玉に上げている。
法務省は「可視化」について検討してきたけれど、「例外扱い」をあまりにも多く認めており、実質的に見て「可視化」の名に値しない制度にしようとし画策している。
英国で製作されているテレビドラマを見ていても、取調べ官は取調室に入室するとき、「●●警視、△△時△△分入室」などとはっきりした言葉を発している。被疑者は、必ず弁護士を横に座らせて、尋問に応じている。日本の場合は、弁護士が取調べ室に入るのは許されていない。それどころか、捜査上の秘密を守るという目的で「接見禁止」が行われている。
さらに、拘置所が不足しているという理由で警察署の留置場が「代用監獄」として使われている。つまり。日本の場合、一旦官憲に逮捕されてしまうと被疑者は基本的人権が基本的に守られていない状況に閉じ込められてしまうのが当たり前になっている。もっと言えば、逮捕令状を発給する裁判官の基本点人権意識が劣化しており、司法警察職員が逮捕令状を請求すると無条件に出しているのが現状だという。基本的人権に十分配慮することなく、バンバン発給しているというから恐ろしい限りだ。昭和40年代〜50年代にかけては、慎重に請求内容をチェックして、場合によっては、逮捕礼状を出さない裁判官が存在していたけれど、今日では、そんな裁判官は皆無に近い。
◆上田秀明大使は、こうした事実が厳然としてあるのをまったく無視している。そして、「日本は人権尊重の国だ」と信じ切っているのであろう。大使がこの程度の認識であるから、日本維新の会の橋下徹代表(大阪市長)が、韓国の「元慰安婦」問題について発言し、国際的な大問題に発展した際に、正しい弁明すらできなかったのである。
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