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2013/6/18 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
英国・北アイルランドで開かれた今年のG8サミット。安倍首相にとっては、6年前のリベンジとなる晴れ舞台だ。
それだけに安倍のハイテンションだったこと。サミット直前に現地で報道陣に囲まれると、「(アベノミクスで)しっかり日本の経済を成長させ、世界経済に貢献していく意思を示したい」とブチ上げた。
その直前に立ち寄ったポーランドでは同行記者団との懇談が開かれたが、秋の臨時国会を成長戦略実行国会にするとして、「産業競争力強化法」の成立や「設備投資減税」の前倒しに並々ならぬ意欲を示した。
さっそく、マーケットからは「税制調査会を通さずに、『減税をする』なんて勝手に決めることができるのでしょうか」(東海東京証券チーフエコノミスト・斎藤満氏)なんて声が上がっていたが、安倍の虚勢はますます、ボルテージを上げている。
こうやって口先だけでも新しい経済政策をアピールしなければ、株価も景気も息切れしてしまうからだ。
成長戦略も空振りに終わり、株価がドンドン急落し、何かをぶち上げなければ、市場は持たない。そこで、投資減税を持ち出したのだが、いくら、秋の臨時国会で成立させても「税制の実行は来年4月だから、急ぐ意味はない」(財務省関係者)。
しかし、今、それを言うしかない。そこまで安倍は追い詰められているということだ。
株価を人為的に吊り上げてきたアベノミクスの限界、ハリボテ数字を並べた成長戦略の「底の浅さ」がバレバレのいま、次から次へと口からデマカセを言い続けるしかないのである。
◆黒田は市場大混乱の責任を取れ!
こうなると、日銀・黒田総裁の「異次元緩和」とは何だったのか。効果と成果、負の側面をきちんと検証する必要がある。
何しろ、安倍がやったことは異例ずくめの横暴だからだ。政権復帰前の野党時代から「もっと金融緩和しろ!」と、日銀の白川前総裁を批判してきた安倍は、金融緩和を選挙前から大々的に煽(あお)り、首相になると、元財務官の黒田にクビをすげ替えた。それも、本来、白川は4月8日まで任期があったのに、任期前の3月19日に辞任させるという荒業を使った。
中央銀行の独立性なんて屁の河童で、国会での数を背景にドーカツ人事を断行、金融緩和を迫った結果、市場の期待はパンパンに膨らみ、4月4日、黒田はマーケットの意表をつくような「バズーカ砲」を撃つしかなくなった。
それから、たった2カ月で効果は消えてなくなり、市場は大混乱に陥っているのだから、世話はない。「責任を取れ」という話だ。
「日銀の白川前総裁は退任会見で、リフレ派の“インフレ期待に働き掛ける”政策の危険性を指摘していましたが、早くも白川さんが言った通りの懸念が出てしまった。今月、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁も、『ECBは市場のボラティリティー(変動性)を高めるようなことは一切行っていない。他の中央銀行と同じことをやっていると思うなら、私はその見方に同意しない』と言いました。これはFRBと日銀の金融緩和策に対する痛烈な皮肉です」(東短リサーチのチーフエコノミスト・加藤出氏)
言うまでもなく、黒田のやっていることは金融政策の王道から外れた禁じ手だ。黒田は「米国もやっている」と言うだろうが、欧州はそれを批判し、その米国は出口戦略を模索し始めている。さあ、残ったのは黒田日銀だけだ。どうする、どうなる??
といって、選挙前の今、引き締めに転じて、これ以上、株を暴落させるわけにはいかないから、当面、危険な緩和を続けるしかない。専門家は「アベクロは国を破滅させるつもりか」とカンカンだ。
◆「確信犯」でマネーゲームの鉄火場にしたのか
日銀券をジャブジャブにして、それを投機マネーに回して、株価を吊り上げている黒田は、日本市場をマネーゲームの鉄火場にした。翻弄される個人投資家はたまったもんじゃないが、こうなると、黒田は何モノなのか、と問いたくなる。
中央銀行の役割とは、過熱した市場を冷やす火消し役なのである。ところが、黒田は逆に火を付けて回っている。なぜ、日銀総裁が危険なバクチを打ち続けるのか。どこの回し者なのか、と思ってしまう。
大体、「リフレ政策」は経済学の世界では“傍流”だ。多くの専門家が「過去の遺物」とみている。それを安倍が表舞台に引き上げ、黒田は考えられない規模で、それを実行に移した。前出の加藤出氏はこう言った。
「黒田総裁は、頭の3分の2で、『金融緩和を進めて日銀がカネを出せばインフレになるはずだ』と考えた。残り3分の1に、『ただし、やってみなければ分からない』という気持ちがあったと思いますね。今までの日銀に対する不満が高まっていて、不確実性はありながらも壮大な実験に突き進んでいったのでしょう」
つまり、バクチだったということだ。だとすれば、それだけで日銀総裁の資格なし。とっとと退場してもらいたい。
もうひとつ、黒田確信犯説もある。ビジネス・ブレークスルー大教授の田代秀敏氏はこう言った。
「日銀は大胆な金融緩和で国債を買い占め、金融機関の運用資金を株式と企業融資に振り向けることを画策しました。ところが思惑通りにはいかず、株式市場も国債市場も大混乱になった。いま国債を手放した金融機関は、外国債を買っています。そうした動きは今や、メガバンクや地銀上位行だけでなく、地銀下位行にも広がっています。財務官僚が一目置く黒田さんですから、この帰結は見えていたと思います。黒田さんは今年3月の参院財政金融委員会で、『現状のままでは国債は暴落する』と指摘しています。しかし、暴落した時に日本の金融機関が外国債を持っていれば、猛烈な円安の結果、外国債が増価し、日本再生の資金となる。そういうシナリオじゃないですか。そうでも考えないと、いま黒田さんがやっていることは理解できません」
◆無能政権がトンチンカン政策を続ける不幸
インフレになれば、国の借金も実質的に目減りする。金融危機は困るが、その前に銀行のマネーを外国債にシフトさせておけば問題ない。そういう魂胆である。財務官僚だけに、こんな企みも「あり」だろうが、安倍は果たして、そこまで理解しているのか。つまり、分かって使っているのか、分かっていないのか。
おそらく、分かっていないから恐ろしい。リフレ派に踊らされ、過去の金融緩和がうまくいかなかったのは「量」の問題だと吹き込まれ、それを妄信したのだろう。首相に期待され、黒田もバクチを打たざるを得なくなった。こうやって、ドンドンぬかるみにはまっていく構図は、戦前みたいだ。
経済オンチの安倍は成長戦略にしても、一部のIT経営者の利益にしかならない「薬のネット販売」を目玉に据えた。おそらく、誰かに吹き込まれたのだろうが、誰が売ろうが、日本人が1年間に使う薬の量は変わらないのだから、これが成長戦略になるわけがない。
無能政権がトンチンカンな政策を続ければ、景気回復なんて夢のまた夢。失われた20年がさらに続き、一部のグローバル企業だけが儲かり、格差はドンドン拡大していく。庶民の生活は地獄になる。
それなのに大新聞はいまだに安倍政権をヨイショし続けているのだから呆れてしまう。今月12日には、赤坂の高級中華料理店で各社の論説委員が安倍を囲んでいた。どういう神経なのか。
アベノミクスの化けの皮は完全に剥がれている以上、首相の誘いなんか断って、アベノミクス批判に転じなければダメだ。傷口が広がれば、いよいよ、日本売りが現実になっていく。
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