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2013年6月17日 神州の泉
『独りファシズム』の主宰者さんである響堂雪乃氏は、極めて明確に「市場原理主義は障害物を破壊する」という、新自由主義政策必携の原則を指摘する。新自由主義が障害物を矯激に排除するという原則は小泉政権以降に起きた政治現象を解釈する上で非常に重要である。
新古典派経済、新自由主義、フリードマン主義、グローバリズム、グローバリゼーション、シカゴ・ボーイズの経済思想、ワシントン・コンセンサスによる経済思想、多国籍企業の経済論理など、呼び方はいろいろあるが、市場原理至上主義は1970年代の南米チリから始まった。
Photo 中山智香子氏の「経済ジェノサイド」(平凡社新書)を参照すると、1973年9月11日、アメリカ発の市場原理至上主義による経済政策はチリで、血生臭い軍事クーデターを契機に発現している。この日、アウグスト・ピノチェトは陸海軍、海兵隊、警察軍を掌握した直後に大統領府を襲撃し、サルバドール・アジェンデ大統領は死亡した。
アジェンデの死は自殺か他殺かで見解が分かれたが、後に自殺と判明する。しかし、この事件は織田信長の本能寺の変と同じ構図なので、ピノチェトがアジェンデ大統領を殺害したと捉えてもいいと思う。
このクーデターに米国CIAが関与したことは常識的な見方となっている。武力クーデターで政権を転覆させた翌日から行われた経済政策が、シカゴ・ボーイズたちが企画した新自由主義政策だった。これは世界初のショック・ドクトリンと言われている。
このとき、殺されたのはアジェンデだけではない。壮絶な拷問、拉致、虐殺が行われている。大学はすべて軍隊が掌握し、入り口では見せしめのために6人が殺されていた。
独りファシズムさんが言うとおり、1970年代にラテン・アメリカ諸国で発足した軍事政権は、ほぼ例外なく多国籍企業の傀儡であり、政権転覆(ショック・ドクトリン)後に市場原理至上主義経済で統一するために、反乱分子、すなわち旧体制思想や新自由主義に反対する者たちを血生臭い手法で制圧している。
クーデター後のチリやアルゼンチンなどで行われた数万人もの一般市民に対する拉致監禁、拷問、処刑などは酸鼻(さんび)を極めている。ここで行われた国策は、実質的なファシズムであり、国家と大企業が連携しつつ、労働者から自由を奪ってフリードマン主義経済を機能させる、言わば協同主義国家(コーポラティズム国家)の編成であった。
それに比べれば日本の小泉政権下で発生した米国由来の新自由主義革命は、小泉・竹中構造改革という名前と、小泉純一郎氏の劇場型パフォーマンスで国民を幻惑し、国民に実態を知られないように偽装されたまま経済体制の転換を粛々と行なっている。
独りファシズムさんも記していたが、チリのアジェンデ政権で駐米大使を務めた、経済学者のオルランド・レテリエルは、チリの圧政型政権から脱出したが、滞在先の米国で車両を爆破されて殺害された。彼がミルトン・フリードマンを批判する論稿を「ネーション」誌に載せてから一か月も経っていなかった。
日本の場合は、憲法の拘束もあって、政権が軍事力(自衛隊)を市民弾圧に使うことはできなかったが、警察・検察権力、及び裁判所は数例の国策捜査、国策裁判を実行して、フリードマン主義政策に反対する有識者に濡れ衣を着せている。
ある国の中央政府が、内政干渉によって徹底的なフリードマン主義に汚染された場合、そこには必ず苛烈極まる言論統制がセットになって内国民を弾圧してくる。これを効果的に行うには軍事力を内国民に向けて、血の粛清を行う手法が一番手っ取り早い。
南米諸国はCIAのてこ入れで、そういう血生ぐさいジェノサイド(集団殺戮)が軒並みに起きている。日本の場合は、石井紘基(いしい こうき)議員を除けば、血の粛清こそなかったが、植草一秀氏の例のように国策捜査を何名かの有識者に向けている。
独りファシズムさんが指摘したように、南米諸国と日本の決定的な違いは、軍政圧迫がある国とない国の違いである。その意味で小泉政権はソフトランディングのショックドクトリンを起こしている。
ところが、亀井静香氏ら、米国の思惑通りの“完全なる”郵政民営化を阻止した正義の抵抗勢力の働きで、効率的なフリードマン政策が機能しない状況が続いた。これに業を煮やしたアメリカ・コーポラティズムの中枢は、日本にTPPと言論統制国家の樹立を強いた上で、思う存分収奪をするしかないと判断した。
シロアリ退治なき消費税増税法案を強行して信用失墜に陥り、レームダック状態になった野田佳彦政権は、アメリカCSISに課された言論統制国家の樹立とTPP参加決行の能力がないとみられ、やむなくそれらの任務を安倍政権に移行させる計画を実行した。
この背景から今次安倍政権は、前政権で玄葉光一郎氏らが実行しようとしていた完全なる言論統制体制の構築を実行する任務を背負わされている。この文脈から、安倍政権は言論弾圧法案を次々に作成し、やがては米国の代理戦争をやるために憲法改正を狙っている。
安倍政権の九条改正の本音は、日本の自衛隊をアメリカの傀儡軍隊とし、フリードマン主義に抵抗する内国民を、ピノチェト軍政のように軍事弾圧することにある。もう一つは中国と戦争できる準備を整えておくためである。
このような背景があるから、参院選で自民党が圧勝すればこの国は即デストピアに変貌する。
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