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2013年06月15日(土) 歳川 隆雄 現代ビジネス
新聞辞令だが、『朝日新聞』と『読売新聞』の両紙は6月14日付朝刊で、外務省の河相周夫外務事務次官(1975年入省)が退任し、斎木昭隆外務審議官(政務担当・76年)が次期事務次官に就任すると報じた。
発令は、26日の通常国会会期末後になるという。
ここで何を言っても詮無いことだが、筆者は外務省の幹部人事の詳細を承知していた。
が、ソースから固く口止めされていたため書くことができなかった。
それだけではない。実は、当該の河相氏とは11日夜、差しの会食の機会を得て、あらゆるテーマについて長時間話をしているのだ。
斎木事務次官内定以外は、『読売』が、杉山晋輔アジア大洋州局長(77年)が斎木氏の後任外務審議官(政務担当)に就くと報じただけだ。その他の人事の全容を紹介する。
先に政府の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)対策本部首席交渉官に就任している鶴岡公二外務審議官(経済担当・77年)の後任は伊原純一北米局長(79年)。
北米局長には秋葉剛男同局審議官(82年)が昇格する。アジア大洋州局長は石井正文国際法局長(80年)が確定的である。
ここまでの陣立て言及だけでも、新聞では「スクープ」扱いである。
■事務次官退任後の河相氏は、すぐには侍従長にはならない
焦点は、河相氏の処遇である。
次期駐国連大使が有力視されていたが、『産経新聞』(電子版)が14日午前に配信した「宮内庁侍従職侍従長の有力候補」は基本的に間違っていない。
筆者が得ていた人事情報は、川島裕侍従長(元外務事務次官・64年)が高く評価している河相氏を、取り敢えず小田野展丈式部職式部官長(元査察担当特命全権大使・70年)の後任に据えて、しばらく後に自分の後任の侍従長に起用するというものだった。
川島氏夫人が脳溢血で倒れ回復したものの障害が残ったことから、天皇・皇后両陛下も激務の川島侍従長を気遣い、夫人の介護に専念したほうがいいのではないかと考えておられるというのだ。
筆者の宮内庁内ソースは、夫人介護を抱えるが、川島氏は引き続き侍従長に専念する意向だという。
加えて、入省年次からしても河相氏は川島氏より11年も後輩であり、いきなりの「河相侍従長」は、霞が関の自然調和人事に馴染まないという。
ただ、川島外務事務次官時代、河相氏は総合外交政策局総務課長、北米局参事官を歴任、川島氏の信任が厚い。
因みに、河相氏の祖父・故河相達夫もまた外交官出身であり、情報局総裁兼外務次官、終戦連絡中央事務局次長を歴任するなど「家系」的にも宮内庁入りは適任だと見られるだろう。
こうしたドラステッィクな外務省幹部人事と連動するのが、以下の人事である。
竹内行夫最高裁判事(元外務事務次官・67年)の後任に林景一駐英大使(74年)が就任し、駐英大使には梅本和義駐国連次席大使(77年)が転出する。
また、退任が予定される山本庸幸内閣法制局長官(73年旧通産省)の後任に、外務省は省を挙げて小松一郎駐仏大使(72年)を押し込むべくロビイングしている。
省内条約畑の小松氏は国際法の権威であり、安倍晋三首相の外交ブレーンである谷内正太郎内閣官房参与(元外務事務次官・69年)が外務事務次官時代に国際法局長として集団的自衛権行使の「4パターン」を考え出した。
■斎木新体制は安倍政権と表裏一体だ
さて、外務省の斎木新体制はいかなるものになるのか。
斎木次期次官が安倍首相から絶大な信頼を得ているのは周知の通りだ。
安倍首相が自身のフェイスブックで「彼には外交を語る資格がありません」と批判した田中均元外務審議官(69年)のアジア大洋州局長時代の対北朝鮮スタンスについて、やはりアジア大洋州局長を歴任した斎木氏も以前から批判を隠さなかった。
日米同盟重視を前提とした上で対中、対韓関係修復を急がないという安倍首相の立ち位置とも全く一緒である。
これは、谷内氏が事務次官時代に主導した6年余前の「自由と繁栄の弧」構想そのものだ。
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