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社説 日本とTPP 米中の間に埋没するな
2013年6月14日
米中首脳会談で中国の習近平国家主席が米主導の環太平洋連携協定(TPP)に関心を示した。中国抜きの貿易ルールづくりに対する強い牽制(けんせい)でもある。日本は米中のはざまに埋もれてはならない。
習氏は会談でTPP交渉に関する情報を中国に提供する枠組みを築くよう求め、オバマ米大統領もこれを受け入れた。日本をはじめ交渉参加国が相次いでいることで、アジア太平洋の自由貿易圏構想から除外されることに危機感を強めたようだ。
シンガポールを中心とする四カ国が二〇〇六年に発効させたTPPは、米国やカナダ、ベトナムなどが新たに加わり、現在、十一カ国で交渉が進められている。
TPPは例外なき関税撤廃など参加のハードルが高いが、中国はサンチェス米商務次官の「自由化義務を果たすなら中国の参加も歓迎」との誘いに、政府系の外交研究機関が「中国が参加しないとTPPは成り立たない」「米国の招きに応じ、調整しながら進むべきだ」などとすぐさま呼応した。
首脳会談を目前にした五月のことであり、習氏の要請はその延長線上にあるとみるべきだ。
オバマ政権は二〇〇九年の発足時、中国との協調を重視する米中二極体制(G2)を進めるとみられていたが、翌一〇年に南シナ海の領土問題を「核心的利益」と示唆した中国高官の発言などを機にG2政策を大きく後退させた。
習氏の発言はその修復を意図しているようにも見えるが、中国は一方で米国が介在しない日中韓自由貿易協定や、東南アジア諸国連合に日中韓とインドなどを加えた十六カ国による東アジア地域包括的経済連携に重きを置き始めた。「非TPP」という対抗手段だ。
アジア太平洋を二十一世紀経済の中心と位置づける米国と中国との権益争いであり、日本としては米中角逐によるアジア太平洋の分断を避けつつ、TPPと東アジアを融合する新秩序づくりの時代に入ったと受けとめるべきだろう。
中国のTPP参加は現時点では不透明だが、交渉に加われば模倣品などを防ぐ知的財産権の保護ルールや、政府の補助金で国際競争力を高めている国営企業問題などをめぐって米国との確執が避けられない。
大国の衝突回避のため、日本には段階的自由化を提案したり、米国が求める高いハードルに戸惑う途上国に耳を傾ける役割がある。日本の存在感を高めるためにも周到な備えを安倍政権に求めたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013061402000136.html
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