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2013/6/13 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
「国民総所得を増やして賃金、家計に還元する」「10年後には1人当たりの国民総所得は150万円以上増える」
こんな言い回しで、成長戦略をPRした安倍首相。国民総所得=賃金ではないから、詐欺的なレトリックなのだが、もうひとつ、安倍が成長戦略の目玉に据えているのが「女性の活力」だ。
都内をくまなく回った先週末の街頭演説でも「これから成長していくうえで、一番大きな戦力は女性の力だ」なんて訴えていた。
「3年間の育児休業を取れるようにする」「5年間で待機児童ゼロにする」「女性管理職を登用させる」などを柱にして、女性受けを狙っているのだが、騙されては駄目だ。一見、女性にやさしそうに見える政策の裏に潜む安倍の邪な思惑は、当の女性たちに真っ先に見透かされている。これをズバリ、指摘したのが「世界」7月号に載っている竹信三恵子・和光大教授の論文「安倍政権は裏声で『女は家へ帰れ』と歌う」である。
竹信三恵子氏はこう書いている。
〈「3年育休」の提唱によって、3歳になるまで女性は家庭で「抱っこし放題」が育児のあるべき姿という首相のメッセージはマスメディアを通じて大きくPRされた。戦後の女性の社会進出を阻んできた「3歳児神話(3歳までは母親が育てないと子供がまともに育たないとの説)」が息を吹き返した形だ〉〈「3年育休」は企業の女性採用の抑制策にも転化しかねない。「女性を雇うと3歳まで休ませねばならない」と感じるだけで、企業の担当者は腰が引けるからだ〉〈この仕組みは、女性の自発的な育児退職を促す効果もある〉〈今回の政策は、「男は仕事、女は家庭」という復古主義的なイデオロギーによって、福祉を家庭での無償労働に依存させ続け、(中略)新性別役割分業が推し進められる兆しが見て取れる〉
◆「産めよ、育てよ」のアナクロニズム
この主張がストンと落ちるのは、安倍といえば、ウルトラ保守政治家の代表だからだ。
女性の反発で撤回を余儀なくされた女性手帳は、国家による「女は若いうちに産みましょう」の奨励だった。「美しい国」を政策の第一に掲げ、「君が代を誇らしく合唱しましょう」というのが安倍である。こうした復古主義者には当然、家父長制度へのこだわり、憧憬があると見るべきだ。そんな政権が唱える「3年間育休」を誰が素直に受け取るものか。
経済ジャーナリストの荻原博子氏もこう言った。
「女性たちは1年の育児休暇ですら、満足にとれず、期間を前倒しして職場復帰しています。3年も休んだら浦島太郎になってしまう。とてもじゃないが、復職できませんよ。待機児童解消にしても、保育所に預けるのにはお金がかかる。女性が働ける職場を広げ、待遇を良くしなければ意味がありません」
安倍の「女性活用」政策で、女性が働きやすくなるわけではない。むしろ逆で、職場復帰もままならなくなる。その背景にはウルトラ保守政治家の「女は産めよ、育てよ」というアナクロニズムが見え隠れする。
この男の「甘い言葉」は絶対、信用しちゃいけないのだ。
◆夢物語を語りながら危険な政策に邁進する悪党
怪しい思想や政策を巧妙な言い回しでオブラートで包む。これは危険な政治家の常套手段だが、もちろん、安倍にも当てはまる。
他の成長戦略の説明もインチキ、ゴマカシのオンパレードで、その危険性を隠している。
「3年間で民間投資を70兆円に」「2020年にインフラ輸出を30兆円に」「2020年に対日直接投資残高を35兆円に」「2020年に農林水産物・食品の輸出額1兆円に」と、やたらと数字を並べて、具体的な政策であるかのように装っていたが、すべて、一定の条件、前提に基づいた“推計”にすぎない。「こうなればいいな」という夢物語の類いである。
その一方で、安倍は日銀をドーカツし、「異次元緩和」という際どい“実験”に踏み込んだ。
ここが恐ろしいところだ。
夢物語を語りながら、危うい政策に邁進する。善人のふりをした悪党みたいだ。国家を救うふりをして、ぶっ壊す。
安倍の言動は「救国」を掲げて、日本を無謀な戦争に駆り立てた戦前の政治家に似ている。異次元緩和なんて、それくらい危険で、無謀な試みなのである。
「金融政策を『錬金術』にしてしまったというのが率直な感想です。しかし、そんなものがうまくいくわけがない。当初は円安・株高が進んだものの、副作用で長期金利が上昇し、異次元緩和から2カ月もしない5月23日に株価が暴落、バケの皮が剥がれてしまった。今月の日銀政策決定会合では長期金利を下げる追加策が検討されましたが、そもそも異次元緩和は債券から株へのリスク移動が目的ですから、ある程度、長期金利が上昇するのは当然のこと。日銀は当初の目的すら見失い、右往左往しているように見えます」(東海東京証券チーフエコノミスト・斎藤満氏)
この調子では、今後も市場は外国人投資家のオモチャにされてしまう。市場に翻弄される日銀の信用が失墜すれば、その瞬間に国債暴落、日本売りだ。
赤木昭夫・元慶応大教授は同じく「世界」7月号で、異次元緩和の行き着く先として、終戦直後のハイパーインフレになる恐れを指摘した。本当にそうなるのかどうかはともかく、問題はそうなるかもしれないリスクが顕在化してきたことだ。しかも、そのリスクを招いたのは、リスクを回避しなければいけない立場の、政府・日銀なのである。
国民の生命と財産を危険にさらし、あえて、日中戦争に突き進んだ戦前の政治とどこが違うのか。安倍に聞いてみたいものだ。
◆憲法改正で「ウルトラ保守」回帰の総仕上げ
戦前は近衛文麿が大政翼賛会による巨大与党を出現させ、国会を無力化し、議会政治を亡きものにした。その後、首相になった東条英機が国民生活をドン底に突き落としたのだが、参院選で自民党が大勝したら、似たような政治状況になってしまう。しかも、よりによって、安倍首相なのだから、ますます、危険なにおいがする。
前出の竹信三恵子氏は自民党改憲草案での24条改定が「安倍政策の総仕上げだ」とも書いていた。
〈(自民党の改憲草案では)家庭内の両性の平等を規定した24条に、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」が付け加えられている。「単位」の長としての夫が公式に決定権を持つ不均等な家族が促される。子育てや介護への支援も、まず「家族が助け合う」ことになりかねない〉
いよいよ、安倍自民党の正体が見えてきたのではないか。70年前の敗戦の悪夢がよぎってくる。
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