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保守愛国的言動を隠れ蓑にしながらリベラル的政策を実行する“反日”安倍首相の言動をとやかく言っても始まらないが、ありきたりの田中均氏のインタビュー記事に噛みつく意図がよくわからない。
転載したものを読めばわかるが、毎日新聞が掲載した田中氏のインタビュー記事は、近隣諸国の人々の感情を代弁するものとは言えても、米国政権もうなずく程度の穏当な内容で首相がことさら文句を付けるほどのものではない。
安倍首相が、わざわざ薬にも毒にもならない一つの新聞記事に噛みつくのも異常だが、田中氏を批判するネタを、記事からではなく過去の話にしているところも異様である。
安倍首相が「彼(田中均氏)に外交を語る資格はありません」と言う理由が、「2002年、北朝鮮から帰国した5人の拉致被害者を再び北朝鮮に帰すよう主張していたこと」というのだから、安倍首相が本気でそう思っているのなら、安倍首相のほうが、外交を差配する資格はない。
安倍首相自身、No.2として02年9月小泉訪朝団に加わっており、5人の拉致被害者を1週間ほどで北朝鮮に戻すという“約束”を知らないはずもない。
少し前にも書いたが、どんなにひどい“悪党”国家を相手にするにしろ、外交交渉は信義がベースである。一つ一つの振る舞いから、相手の信義度を計るのが外交である。信義を破るような対応をすれば、めざす方向で物事の解決はできない。
安倍氏は、日本政府が北朝鮮当局に、帰国した5人以外の8人の政府認定拉致被害者が死んだとする「死亡診断書」を作成するよう要請したことも知っているはずだ。
日本政府は、横田めぐみさんの“遺骨”とやらも、はじめから偽物が来ることを知っていたはずである。だから、ネイチャー誌が「鑑定結果」に疑念を提示しても放置したのであろう。
「もし」や「たら」をあまり言いたくないが、2002年10月に帰国した5人の拉致被害者を“約束”通り北朝鮮に戻していたら、現時点で、もっと多くの拉致被害者が日本に帰ってきた可能性もある。
第1回の小泉訪朝から11年近くが経過してなお拉致問題が膠着している責任のある部分を安倍首相自身が負っているとも言える。
安倍首相がわざわざ田中均氏のインタビュー記事に噛みついたのは、現在進行形の「日朝交渉」でトゲになっている拉致問題をある落とし所で解決するための高等戦術と考えることもできる。
とにかく、北朝鮮もだが、日本政府も、拉致問題で隠してきたことを“清算”する必要があるからである。
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首相 田中元外務審議官を批判
■首相 安倍晋三首相は12日、交流サイトのフェイスブックで、同日付の毎日新聞のインタビューで安倍政権の外交政策などに否定的な見解を示した田中均元外務審議官を「彼に外交を語る資格はありません」と批判した。田中氏が外務省アジア大洋州局長だった2002年、北朝鮮から帰国した5人の拉致被害者を再び北朝鮮に帰すよう主張していたことに触れ「外交官として決定的判断ミス」と指摘した。
[日経新聞6月13日朝刊P.4]
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保守主義と歴史認識:/1 右傾化、日本攻撃の口実に 田中均氏に聞く
毎日新聞 2013年06月12日 東京朝刊
−−諸外国で日本の右傾化に懸念が強まっていると聞きます。
◆外国での国際会議などで、日本が極端な右傾化をしているという声が聞こえる。一方、安倍政権ができ、アベノミクス効果などで日本も政治の停滞を抜け出すのではないかという期待の声もある。しかし、安倍晋三首相の侵略の定義や河野談話、村山談話をそのまま承継するわけではないという発言や、麻生太郎副総理らの靖国参拝、日本維新の会の橋下徹共同代表の従軍慰安婦についての発言などで、いわゆる右傾化が進んでいると思われ出している。
−−日本の右傾化を諸外国が利用している面もあるのでは。
◆中国との尖閣問題、韓国との竹島問題などで、日中、日韓関係が厳しい状況にある中、中韓に日本を攻撃する口実を与えてしまっているという面はあるのだろう。この機会に日本をたたけと。
−−米国はどうですか?
◆米国は中東からアジアへの関心の「リバランス(再均衡)」政策を図っている。中国を大事にする、しないではなく、東アジアを安定的な地域にしないと、米国の経済的、政治的利益が担保できないから、中国と向き合うことが必要だと。しかし、日本が中韓との関係で孤立しているように映っている。それは米国の国益にもそぐわないという認識が強い。中国と建設的に向き合うためにも日本の協力が必要だが、日中が角を突き合わせている状況は具合が悪いとの認識がある。
−−安倍首相は批判が出るとブレーキはかけますね。
◆侵略の定義とか、村山談話、河野談話、憲法96条の改正などで現実的な道をとろうとしていると思う。しかし、あまりそれを繰り返すと、根っこはそういう思いを持っている人だということが定着してしまう。参院選までは抑えるけど、それ以降はまた出てくるのではないかとの印象を生んでいる。それが日本の国益のためにいいかと。
−−飯島勲内閣官房参与が訪朝しました。米韓への事前の説明が不十分だったと指摘されています。
◆私が北朝鮮と交渉した時もそうだが、日本の課題があるから、すべてを他の国に相談してやっていくということではない。拉致問題は極めて重要で、日本が自ら交渉し解決していかなければならない。だが、核、ミサイルの問題は日本だけでは解決できず、関係国との関係を損なわないようにうまくやっていかなければならない。小泉純一郎元首相が常に言っていたように、拉致と核、ミサイルを包括的に解決するのが日本の政策なのだと思う。飯島さんの訪朝がスタンドプレーだとは言わないが、そう見られてはいけない。
−−最近の日本外交は二言目には、中国をけん制するというのが出てきます。
◆ロシアやインド、東南アジアとのパートナーシップを強化すること自体は正しい。だが、それを価値観外交と言えば、中国を疎外する概念になる。価値観外交と掛け声をかけることが正しいとは思わない。中国が将来覇権をとるようなことがないように共にけん制しようというのは、静かにやること。声を大にして「けん制しますよ」というのは外交じゃない。政治家は勇気を持って日中関係はいかに大事かを語らないといけない。
−−課題山積です。
◆日本が自己中心的な、偏狭なナショナリズムによって動く国だというレッテルを貼られかねない状況が出てきている。日本の再生は可能だと思うし、政治の力でそれを実現してほしい。日本に国際社会からこれだけ注目が集まることは、1年前は良くも悪くもなかった。それを無にしないことが大切でしょう。【聞き手・高塚保】
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安倍政権発足後、日本の保守化、右傾化に国内外で警戒感が強まっている。安倍政権はどこに向かおうとしているのか、そして、それは国益に合致しているのか。政治家、有識者に聞いた。=つづく
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■人物略歴
1969年、外務省入省。アジア大洋州局長、外務審議官を歴任。2002年の小泉訪朝に尽力した。現在は日本総合研究所国際戦略研究所理事長。
http://mainichi.jp/select/news/20130612ddm005010116000c.html
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