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2013-06-13 07:02:37 生き生き箕面通信
朝日新聞の本日6月13日朝刊の紙面に、3人の顔写真が並んでいました。鳩山由紀夫、孫崎亨、植草一秀さんの3人です。4面下段の書籍広告で、鼎談した内容をまとめ、「『対米従属』という宿痾(しゅくあ)」という書籍名で出版したのです。
講演会で全国を飛び回っている孫崎さんは、会場の聴衆にこんな風に問いかけるそうです。
「私は、最近、講演する時、聴衆のみなさんに次のような質問をしているんです。
「みなさんが、鳩山さんを攻撃するのは結構です。鳩山首相の時に、もっと別の政治的選択があったではないかとおっしゃるのも結構です。でも、次のことを考えてみてください。メディアが中心になって、わずか9か月で鳩山さんを引きずり降ろしてしまいましたが、もし、鳩山政権というものが続いていたら、消費増税があったでしょうか?尖閣問題が起きたでしょうか?オスプレイは配備されたでしょうか?原発の再稼働はあったでしょうか?」と。
もちろん、鳩山政権が続いていれば、あるいは鳩山さんに続く人たちが鳩山さんと同じ考え方で政策を進めていたなら、消費増税はないし、TPPにも参加していないでしょう。東アジア共同体を模索していたわけですから尖閣問題も起きなかったに違いないし、原発再稼働もなかったでしょう。
どの政策についても、いま安倍政権が進めているようにはならなかったはずです。そして、これらの政策について、多くの国民はどちらを選択しよとしていたのでしょうか?鳩山政権を総括する時、このことを考えなくてはいけないのではないでしょうかと、こう申し上げているわけです。」
以上は、植草一秀さんのブログ「知られざる真実」からの引用です。植草さんも、こう語っています。
「世間一般は、鳩山政権に対して、ネガティブな反応を示す。しかし、よく考えていただきたい。その反応は、本当に自分の目でものごとを見て、そして、自分の頭で考えた結果として示されているものであるのだろうか。
そうではなく、マスメディアが、そのように言い続けていることを、知らぬ間に自分の意見としてしまっているだけなのではないのかと。
突き詰めて考えると、この国がいま直面している危機の背景にあるものは、メディアによる情報操作であるところの『メディア・コントロール』と、メディアの情報のウソをどのように見抜くかという『メディア・リテラシー』の問題に帰着するのではないかと思う。
国民が目を醒まし、その、醒めた目で現実を直視し、自分の頭で考えて結論を出す、という作業を徹底して行うことによって、日本の活路が開かれるのではないかと思われるのである。
逆に言えば、日本の国民が本当の意味で「覚醒」し、そのうえで行動を示さない限り、日本を本当の意味で変えてゆくことは難しいのかも知れない。
しかし、だからといって絶望する必要はない。昨年12月の総選挙における比例代表選挙で、自民党が獲得した票は、全有権者のわずかに16%に過ぎなかった。たった16%の得票で、衆院480の定数のなかの294議席を占拠したのである。この議席数で、安倍晋三自民党は、天下を制覇してしまっているのだ。
民意を代表する政治としては、いささか不当な感が強いが、逆に考えれば、ここから一つの活路が見えてくる。これを『逆転の発想』と呼ぶ。つまり、全有権者の2割が覚醒し、結束すれば、政権を奪取することが可能に
なるのだ。
マスメディアが情報空間を支配し、情報操作を強めるなかで、2割の国民が覚醒し、しかも結束することは容易なことではない。しかし、不可能とも言えない。
これをやり遂げるしかないだろう。では、それをいつやるか。今でしょ!ということになる。
「『対米従属』という宿痾」では、私たちが、いま、考えなければならない問題が縦横無尽に論じられている。安倍政権をどう評価するのか。アベノミクスの本質が何であり、そのゆくえに待ち構えるものは何か。鳩山政権の真実。鳩山政権を崩壊に導いた、真の戦犯は誰だったのか。
さらに、2010年9月14日のあの疑惑の民主党代表選の真実とは。この代表戦は菅直人氏と小沢一郎氏との一騎打ちになった。この選挙の真の勝者は誰だったのか。そして、尖閣、竹島、北方領土という、日本が抱える三つの国境問題。
「戦後史の正体」の核心である「日米関係」の深層。
さらに、極解された鳩山元首相によるイラン訪問と中国訪問。
私たちは、マスメディアが伝えない真実の情報を知り、そのうえで、自分の頭でものを考えなければならないのである。
私は、『「対米従属」という宿痾』のあとがきに次のように記述した。
「2009年8月の総選挙で鳩山民主党は歴史的な勝利を収め、日本の歴史上初めて、民衆の民衆による民衆のための政権が樹立された。無血の平成維新の名にふさわしい新しい政権が誕生した。この政権が基盤を強化し、2010年の衆院選で勝利を重ねれば、日本に新しい時代が到来していたはずである。
しかし、主権者政権の前途は甘いものではなかった。日本の政治を支配し続けてきた既得権益である米官業のトライアングル、そして、その手先を含む米官業政電のペンタゴンは、事態の転覆に向けて猛烈な巻き返し工作に打って出た。このことを私は『日本の独立−主権者国民と「米・官・業・政・電利権複合体」の死闘−』に記述した。現に、既得権益は民主党の小沢‐鳩山ラインが主導する主権者政権を転覆するために、文字通り、目的のためには手段を選ばぬ猛攻撃を繰り返したのである。
その結果、鳩山政権は政権発足後、わずか9ヵ月足らずの短期間で幕を閉じた。そして、この期に乗じて菅直人氏が事実上のクーデター政権を樹立した。さらに後継の野田佳彦政権もその流れを引き継いだ。
鳩山民主党が提示した主権者との契約であるマニフェストは片端から踏みにじられ、民主党政権失敗のイメージだけが明確に確立されることになった。否定されるべきは菅・野田民主党政権であり、2009年の鳩山民主党政権ではない。
もちろん、鳩山政権が普天間移設問題の処理を結果として誤ったとの批判を免れることはできない。しかし、すべてを米国の言いなりに動くという被占領国日本のくびきを解き、アジアの一独立国日本としての矜持を持ち、尊厳ある国家としての日本を確立しようとした鳩山政権の基本姿勢は正当に評価されるべきものである。」
さらに次のように記述した。
「米官業トライアングルの既得権益は、日本の立場を堂々と主張する重要人物を警戒し続けてきた。孫崎亨氏は、『戦後史の正体』(創元社)のなかで、GHQによる占領時代に終戦処理費[米軍駐留費]の二割削減に尽力した石橋湛山蔵相が米国から警戒され、1947年の衆院選挙での当選直後に公職追放された事実を指摘される。GHQ=米国は現在に至るまでの戦後史の68年において、一貫して日本の立場を堂々と主張する人物が、国民的人気を集め、脱米・自主独立のシンボルとなることを恐れてきた。
これは、近年の日本で人物破壊工作に見舞われた人物たちと、完全に共通する図式なのである。小沢一郎民主党元代表が世界的にも類例を見ない苛烈さで人物破壊工作を受け続けてきたことも、そして、鳩山由紀夫元首相が不当な誹謗中傷の攻撃を受け続けていることも、この文脈の上で理解することが必要である。
主権者のための政治がいま、既得権益の政治に完全に引き戻されつつある。そして何より、米国が支配する日本、米国に支配される日本の様相がより鮮明になりつつある。「日本の独立」が遠い彼方に消えかけているのが現状であると言わざるを得ない」
「日米関係が日本にとってもっとも重要な二国間関係のひとつであることを否定する考えは毛頭ない。また、日本が独立国として自国の安全保障を確保するために、明確な意志と行動をとる必要があることも当然のことである。しかし、このことは、日本が自主性も独立性も捨てて、すべてを米国の言うままに行動すべきだということを意味しない。米国への隷従というくびきを解き放つべきであるのかどうか。熟慮が必要であると思う。」
鳩山元首相は、本書の「まえがき」に次のように記された。
「戦争に負けたにも関わらず、アメリカのお陰で、すぐに経済大国への道を歩むことが出来たために、卑屈なまでの劣等感から、アメリカへの従属心が生まれました。一方ではその反作用の形で、中国、韓国、などのアジア諸国に対する優越感を生み、過去の歴史に関するこじつけや粉飾が行なわれたのだと思います。この鬱屈した感情が、アメリカを含む既得権社会を形成してきたのです。
私は安倍政権であろうとなかろうと、どんな政権であろうと、「日本は戦争に負けた」という厳粛な事実をしっかり受け止めて、その上で、すべての国に対して劣等意識も優越意識も持たず、友愛精神に基づいて、尊厳のある独立国を創り上げていく努力をしていただきたいと強く願います。そして、既得権益に群がる集団のみではなく、すべての国民に対して公正な利益が享受される友愛社会を創り上げていただきたいと祈る気持ちです。
既得権との戦いに勝てなかったことは残念ですし、申し訳ありません。でも、その戦いに勝てなければ、既得権社会に埋没するしかないと諦めてはならないと思います。そのために鼎談を行いました。「なぜ出来なかったか」から、「ではどうすればよいのか」を学んでいただきたいのです。その先に、独立国・日本の垣間が見えてくると信じて」
長々と引用しましたが、大事な視点だと思いましたので、考えていただきたいのです。敗戦から70年近く、この日本という国は、安全保障問題をはじめ、教育制度、パン食などの食生活など大事な問題はほとんどアメリカの強いコントロール下で歴史を刻んできました。そして、自立よりも逆に従属の色彩を濃くしてきました。いまや、政権ばかりでなく、主要官僚、検察、最高裁、経済界、マスメディアなどがアメリカさまの顔色をうかがい、ご意向を忖度してことを運んでいます。
こんな国を子々孫々へ受け継いでもいいものでしょうか。菅あるいは野田などというアメリカの力を借りて政権を奪取した簒(さん)奪政権ではなく、正当な民主党政権を継承できていれば……。正当民主党を継承するのは「生活の党」なのですが、正当に評価されないように操作される時代に、私たちは生きています。
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