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2013年6月13日 植草一秀の『知られざる真実』
著書の紹介が重なって恐縮だが、7月初旬に
『アベノリスク』(講談社)
と題する新著を上梓する。
書き下ろしの緊急出版である。
「アベノミクス」が絶賛されてきたが、「アベノミクス」そのものは、表面上の剥がれやすいメッキである。
すでに、その一部が剥がれ始めて、美しくはない地肌が顔をのぞかせ始めている。
「アベノミクス」のメッキの下から現れる本体、実体、実相が
「アベノリスク」
である。
副題は、
日本を融解=メルトダウンさせる7つの大罪
である。
安倍政権に内包されている7つのリスクを明らかにする。
7つのリスクとは、
インフレ・消費税大増税・TPP・原発・シロアリ増殖・憲法改変・戦争
である。
新約聖書の最後に位置された「ヨハネの黙示録」をご存じだろうか。
『新約聖書』の中で唯一預言書的性格を持つ書である。
第一の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、血のまじった雹(ひょう)と火とがあらわれて、地上に降ってきた。そして、地の三分の一が焼け、木の三分の一が焼け、また、すべての青草も焼けてしまった。
第二の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、火の燃えさかっている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして、海の三分の一は血となり、 海の中の造られた生き物の三分の一は死に、舟の三分の一がこわされてしまった。
第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ・・・
と続く。
『アベノリスク』とは、日本にもたらされる7つの大きな災厄である。
第一のラッパが吹き鳴らされると、日銀の資産を大幅に劣化させてまで誘導される激しいインフレが、政府と企業だけを救い、国民は大いに苦しめられた。
第二のラッパが吹き鳴らされると、大増税が始まり、アベノミクスへの期待効果によって生まれたわずかな株高などは簡単に吹き飛ばされた。
第三のラッパが吹き鳴らされると、TPP加盟によって美しい国土は荒れ地と化し、米国市場原理主義の猛威が日本社会を荒廃させた。
第四のラッパが吹き鳴らされると、活断層の上の原発がいつのまにか続々と再稼働し始め、人々は原発事故の悪夢に怯える日々を過ごした。
第五のラッパが吹き鳴らされると、血税を食い荒らすシロアリ官僚がますます増殖し、再び増額された巨大公共事業・役人利権予算に群がった。
第六のラッパが吹き鳴らされると、権 力の横暴を防ぎ止める役割を担っていたはずの憲法が、国家権力によって次々と都合よく改悪され、国民主権や基本的人権がないがしろにされた。
第七のラッパが吹き鳴らされると、憲法改悪によって戦争への道が切り開かれ、集団的自衛権の名のもとに日本が報復攻撃の対象とされ、・・・・・・・
これが近未来の日本の姿となってしまうかも知れない。
昨年12月の総選挙により、衆議院は安倍晋三氏が率いる自民党とその補完勢力によって占拠され、2009年の政権交代の方向が完全に転覆されつつある。
そして、7月21日には、参院選が実施される見通しである。
この参院選で、安倍晋三自民党とその補完勢力が、参議院をも選挙する事態が発生するなら、日本は根底から作り変えられることになるだろう。
それは地獄への道であるかも知れない。
私たちは、安倍政権の本質を正しく見抜き、私たちの進む道を誤らないようにしなければならない。
そのために、本書を書いた。
誰にでも分かる平易な記述を心掛けた。
すべての日本の市民に、現実を正しく知ってほしいとの思いで記述した。
もちろん、賛否両論があるだろう。当然のことだ。
しかし、大事なことは、事実を正しく知り、その上で、自分の頭で考えることだ。
メディアが日本の情報空間を支配し、多数の国民がメディアの誘導に乗せられてしまっている。
問題はそのメディアが、「社会の木鐸」ではなく、「既得権益の広報部隊」であることだ。
したがって、情報誘導の方向は、主権者の幸福を目指す向きにはない。
既得権益にとって都合のよい方向にしか誘導力は働かない。
このことを強く認識して、マスメディア以外の情報源から、真実の情報を入手し、そのうえで、自分の頭でものごとを考え、そして行動してゆかなければならない。
拙著のあとがきに書いた文章を引用させていただく。
「戦後の日本では、一貫して自民党支配の時代が続きました。その裏側は米国による支配です。日本は敗戦国ですから、米国支配もやむを得ない面があります。
しかし、「一寸の虫にも五分の魂」と言います。戦争に対する責任は明確にしたうえで、新しい日本を創る必要があります。大事なことは、普遍的な価値を追求して、理想の国を作ることです。
平和、人権、国民主権という、日本国憲法が定めた基本原則は、誰が主導したとか、日本語の表現が変だとかいう些末の論議でなく、その内容の価値を軸に評価されるべきものです。
そこには、大多数の日本国民が認める重要な「価値」が存在しています。その価値を損なう企てを私たちは安易に認めるべきではないと思います。
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