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http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/06/post-1de1.html
2013年6月 8日 神州の泉
安倍首相の打ち出す政策はことごとく巨大な倒錯(とうさく)の上で起きている。倒錯とは「逆さまにすること」「本能や、感情などが、本来のものと正反対の形をとって現れること」を言う。
たとえば百歩譲ったとして、日本版NSC創設や憲法改正を正当な政策として捉えたとしても、すでにTPPの交渉参加を国として表明し、本格参加にレールを敷いてしまった安倍首相の思考回路は根本的に矛盾している。
思考回路がおかしいというなら、それは一個人の問題であって、その間違った考え方は低レベルの状態で変更可能だが、個をはるかに超えた一国の宰相ともなると、国家運営の力学から国家国民の命運を作用する大問題である。
その意味で安倍首相自身のダブルバインド(心理的な二重拘束)を決して看過することはできない。もっと正確に言うなら、安倍首相自身が確信犯的に大衆に対してダブルバインドに陥るような手法を取っているとも言える。
ダブルバインドという言葉は『WJFプロジェクト』さんの記事で初めて知った。彼によればダブルバインドとは、二重拘束を意味し俗的には心理的な“板ばさみ”のことである。2013年3月 1日 (金)のWJFプロジェクトさんの記事、『「彼ら」の洗脳手法(1): ダブルバインド(二重拘束)』から説明を引用する。
http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-d74d.html
『矛盾する二つのメッセージを同時に提示し、かつ、その矛盾から逃れられない状況を作り、相手の心を縛るというもので、カルト宗教の洗脳でもよく使われる方法です。ずっと、安倍晋三や、チャンネル桜、西田昌司氏、三橋貴明氏らに共通して、私はある強い違和感を感じてきました。」それは彼らは、矛盾したことを同時に語るという共通点です。』
安倍首相の頭が混乱していないという前提で言うなら、安倍首相が国民に対して“ダブルバインド洗脳”を仕掛けているという説明は至極単純にできる。
まず、日本版NSC(国家安全保障会議)であるが、この関連法案は6月7日に閣議決定されている。この新設組織の目的は、外交や安全保障に関する情報収集や分析の態勢を強化するとともに、首相が少人数の関係閣僚と機動的な議論、迅速な意思決定を行うことを目指した組織機構の創設になる。
これからの日本外交・安全保障政策の司令塔となり得る重要なセクションになるというのは全くその通りであり、戦後占領体制終結後61年間これが創設されなかったことの方が異常である。
国家諜報機関というものは、国民と国家の安全を守るためにどの国でも必要なものだが、その話は国家の自主権が確立されている国、つまり国際社会でまともに独立している国でのみ有用である。
然らば、わが国のように敗戦後から絶え間なく米軍に占領されたまま、表面上はYP体制(ヤルタ・ポツダム体制)において、独立国家という擬制(ぎせい)を強いられている国においては、国家の諜報的な防衛機関、国家安全保障局の属性が、国家国民のためではなく、宗主国の安全や経済便益に向けられることは火を見るより明らかであろう。
その意味においては、以前の記事で少し触れたように、日本版NSCの創設目的が国家国民を守るためではなく、国民から“米官業利権複合体”を守るためであることは、もはや論理的な必然であろう。
次に、安倍首相が進めている憲法改正であるが、現行日本国憲法は、占領下、マッカーサー総司令官がホイットニー民生局長に命令し、GHQの手で憲法草案が創られたのである。したがって、この憲法は樹立精神が戦勝国基盤に拠っていて国家の正統性が皆無である。
誤解のないように言っておくが、神州の泉は改憲派でも護憲派でもない。正確には「廃憲派」である。戦勝国アメリカに都合の良い民主主義憲法ではなく、自国民が自国民の考えで樹立した大日本帝国憲法に一旦回帰し、それから時代に合わせて改憲するという基本である。
ただし、これは国民の覚醒的な合意によって国論を形成する必要があるから、いまはまだ時期尚早である。その大事なプロセスを経ないで96条改正に踏み込むとは暴挙以外の何ものでもないだろう。
戦勝国付与の憲法を改憲したら、それは占領憲法を受け入れたことになり、日本国の自主独立はますます遠くなる。憲法は樹立時から日本人の意志や国柄が反映しなければ悪法である。その意味で、今の段階では暫定的、過渡的に護憲派の改正反対と利害が一致する。
安倍首相は戦後レジームからの脱却の頂点として憲法改正を謳っているが、それならば、戦後レジームの最大の骨格である米国主導体制、米国占領体制からの脱却を同時に指向しなければ理屈が合わない。戦後レジーム体制とは対米隷属体制そのものである。
ところが、民主党によって失われた日米の信頼関係を回復するという名目で、この戦後レジーム体制を強化しながら、自主独立の憲法改正を謳う矛盾を安倍晋三氏は一度足りとも説明していないのだ。この位相も安倍晋三氏特有のダブルバインドである。
以上のことから、安倍首相が打ち出した日本版NSC創設や憲法改正の理念が、国家・国民を守ることであると言うならば、安倍首相は、命を掛けてTPP(環太平洋経済連携協定)に反対しなければならなかったのだ。
ところが、彼がやったことは、党の公約を破り、国民をペテンにかけてまでTPPに参加交渉を表明したのである。日本国の社会制度やあらゆる文明装置を破壊する条約に参加表明をしながら、国防上の国家安全保障会議NSCの創設や憲法改正の動きはどう考えも国政運営上の大矛盾でしかない。
日本を守ることが目的であるのなら、TPPに参加するという選択肢は決してありえないことになる。その意味で安倍首相の政策群は、国家防衛という目的意識においても最悪のダブルバインドなのである。
案外多くの人が陥っているが、一番危険な考え方は、TPPは確かによくないが、安倍首相は深謀遠慮でTPPに参加表明をしたのだろうから、あとできっと上手くいくように取り計らってくれるだろうと思い込んでいることである。
このような“忖度(そんたく)”こそが危険なのである。安倍首相がTPPに参加表明をした時点で、彼自身と彼の打ち出す政策群を全否定することがまともな判断というものだ。
安倍首相をナショナリスト、つまり民族主義者、国粋主義者、国家主義者であると思い込んでいる人が多いが、日本の経済や国柄を解体させようとする人物がどうしてナショナリストであろうか。正確には彼はトレイター( traitor 売国奴)なのである。
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