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2013.06.08 ZAKZAK
【高橋昌之のとっておき】
参院選の日程が事実上決まり、7月4日の公示まで1カ月を切りました。自民党がよほどの失策をしない限り圧勝し、野党各党は惨憺(さんたん)たる結果になりそうな情勢です。
これによって、安倍晋三政権が衆参ねじれ現象を解消して安定政権となり、長らく続いた「決められない政治」から脱却して「決める政治」に転換するなら、歓迎すべきことです。安倍政権はこれまでのところ、基本的に適切な政権運営をしていると思いますし、各種報道機関の世論調査でも、政党支持率は自民党が他党を圧倒していますから、当然のことではあります。
ただ、この状況を招いた原因は野党、中でも民主党、日本維新の会、みんなの党の3野党の失策によるところが大きいと思いますので、今回はその問題について指摘し、野党再編の必要性を訴えたいと思います。
自民党1党だけが強い政治状況には、いくつか問題があります。第1に、安倍首相が大目標に掲げ、国民の7割前後が望む憲法改正、そしてそれを実現するために改正の発議要件を緩和する96条先行改正が、現在の政治情勢では実現できないということです。
96条は憲法改正手続きについて、衆参各院の3分の2以上の賛成で発議され、国民投票にかけることを定めています。衆院では96条改正に慎重な公明党を除いたとしても、自民党と積極的な日本維新の会を足せば3分の2以上の議席を占めていますが、参院では今回の参院選で改正賛成派が90以上の議席を獲得しなければ3分の2には達しません。
これは今回の参院選で自民党が圧勝したとしても、今の野党の枠組みでは超えるのが難しいハードルです。それではせっかく憲法改正論議がようやく盛り上がってきたにもかかわらず、また政治情勢によって実現が遠のいてしまうことになりかねません。
第2に、政権が安定するのはいいことですが、それをチェックしたり、提案したりする「健全な野党」がなければ、政治全体としては好ましい姿とは言えません。自民党が長らく1党で支配した時代にそうだったように、緊張感がなくなれば政権、与党は堕落していく恐れがあります。
また、国民にとっては選挙の際に、選択肢がなくなることになってしまいます。民主党が政権をとりたいがためにやっていたような「何でも反対」の野党はごめんですが、外交・安全保障など国の基本政策では共通の基盤をもちつつ、個別政策では是々非々で与党と対峙(たいじ)し、政権交代可能な政治を実現する野党は必要だと思います。
その2つの観点からいえば、野党が今のままでいいはずはありません。まず、野党第1党の民主党についていえば、政権担当時の迷走が国民の脳裏から消えることは今後もないでしょう。迷走したのは、党が理念、基本政策でまとまっていなかったことが原因ですが、今年2月の綱領策定や憲法改正に関する論議で明らかになったように、その根本的な問題は全く解決されていません。
私はもはや、民主党が民主党という名前と枠組みのままで党勢を回復することは不可能だと思っていますし、同党の所属議員の多くもそう感じているのではないでしょうか。それであればこの際、参院選で惨敗した後は、潔く解党して理念と基本政策に基づいて保守系、革新系に分党し、それぞれが信ずる道を行くべきだと思います。
次に日本維新の会は、橋下徹共同代表(大阪市長)の慰安婦問題をめぐる発言で、支持率が急落しました。私は橋下氏が言おうとした趣旨について理解できる部分もかなりあり、その是非は議論が分かれるところですが、多くの政治家がタブーとしてきたこの問題で、本音での議論が行われるようになったことは意義があったと思います。
ただ、橋下氏はもうテレビのコメンテーターではなく、政治家とくに多くの国会議員を抱える政党の代表なのですから、最初の発言の仕方やタイミングは、国政という舞台で大目標をいかに実現するかという観点からは、まだ政治家として未成熟だと言わざるをえません。
しかし、維新への支持は、その歯にきぬ着せない橋下氏の個人的人気によるところが大きいのは間違いありません。橋下氏は参院選の結果によっては共同代表を辞任することも示唆していますが、現状から言えば橋下氏がリーダーではない維新に魅力を感じることはできませんから、参院選の結果はどうあれ、橋下氏はその重みを受け止めたうえで続投すべきだと思います。逆に同党の所属議員で橋下氏の理念、政策、個性についていけない議員がいるとすれば、離党すればいいだけの話だと思います。
昨年末の衆院選で初当選した維新の議員の中には、理念も政策も国政を担う責任感も希薄な議員が少なくないのも実情です。維新が一過性のブーム政党で終わるかどうかは、現在の支持率急落という厳しい状況下で、所属議員全員が研鑽(けんさん)を積んで政党として成熟化できるかどうかにかかっていると言っていいでしょう。
問題はみんなの党です。橋下氏の慰安婦問題に関する発言に批判が集まったら、すぐに選挙協力や政策の協議を一方的に解消してしまいました。それまでは「維新とは政策が一緒」と言って、みんなの党の方がすり寄っていたことを考えると、手のひらを返したかのような対応です。
橋下氏の発言後、みんなの党は橋下氏に真意を聞くことさえありませんでした。しかし、橋下氏が発言したような考え方を持っていたことは、容易に分かっていたことではないでしょうか。それにもかかわらず、今回の対応になったことを考えると、みんなの党が維新と選挙協力の協議をしてきたのは、理念や政策で一致していたからではなく、単に選挙で勝ちたいがための野合でしかなかったということでしょう。
それならばむしろ、両党の選挙協力は解消されて良かったと思います。ただ、結果として両党は選挙区で票を食い合うことになりますから、自民党はより有利な戦いになります。わずかながら漁夫の利を得られるかもしれない民主党もほくそ笑んでいるそうですが、低レベルのせこい話です。
もともと、みんなの党には理念や基本政策を示した綱領がありません。「アジェンダ」という形で個別の政策を提示しているだけです。その政策も行革や道州制など統治機構改革、首相公選制、一院制など国民に一見、うけそうなものが目立ちます。基本的な国家観や外交・安全保障の基本的な考え方、それこそ歴史観は全く見えてきません。
みんなの党が国民をリードするのではなくて、へつらうような政治をするのなら、党名は「みんなの党」ではなくて「衆愚(ポピュリズム)の党」に変えたらどうでしょうか。あるいは党内も渡辺喜美代表と江田憲司幹事長が対立してばかりですから、「喜美の党」と「憲司の党」にわかれたらどうでしょうか。
このように、民主、維新、みんなの3野党は本来、国政で重要な位置を占めているにもかかわらず、党内に問題を抱え、その役割を果たしていません。それを国民がどう見ているかは、参院選での惨敗という形になって表れることでしょう。
3党の所属議員は、それを真摯(しんし)に受け止めるべきです。私は今の3党それぞれの枠組みでは、もはや国民の期待には応えられないと考えています。ただ、3党にはいい素質をもった議員も多くいますから、もったいない話です。したがって、参院選後は民主党は分党し、維新、みんなの党の志を同じくする議員も含めて一緒になって、「保守」を基盤とした健全で政権交代可能な野党に再編すべきだと思います。
「万年野党の方がきれい事を言えるし、気楽でいい」という議員もいるでしょうが、そんな議員はすぐに辞職してください。そうではなく、国のことを真剣に考え、国会議員として国民の負託に応える意志のある3党の議員には、決起してもらいたいと思います。
その時期は参院選直後でなければなりません。解散のある衆院選はいつ行われるかわからないからです。このままでは国民が望もうが望まなかろうが、次期衆院選も同じく自民党の独り勝ちになるでしょう。国民の期待に応え、選択肢を与える野党を作るために、野党再編は待ったなしなのです。
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