http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/887.html
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ヨーロッパ諸国が作り上げた「近代レジーム」にアジアのなかで先行して入り込んだ日本が尖閣諸島を領有するに至った動きは、けっして胸を張れるものではないが、不法とは言えない。
中国(台湾)の尖閣諸島に対する領有権は、「無主地先占」の論理(国家の支配が及んでいない地域に対し他に先んじて支配の旗を揚げたものが所有)が今なお生きている近代国際法世界では認めることができない。
1949年に建国された中華人民共和国の“落ち度”ではないが、言ってしまえば、中国(清&中華民国)は尖閣諸島についてシクったのである。
尖閣諸島の領有問題については、日清戦争後の下関条約、サンフランシスコ講和条約、日華平和条約(1972年9月失効)、沖縄返還協定、日中平和条約と、何度も“是正”の機会はあったが実を結ぶことはなかった。
日本が領有化する時点でも無人島であった尖閣諸島だが、“大航海時代”に船出したヨーロッパ諸国は、先住者が共同体を築いている“新大陸”の土地を「無主地」として「先占」するかたちで領有地を拡大していった歴史を有している。
欧米諸国は、今なお、そのような経緯による「侵略」を侵略とは認めず、「無主地先占」の法論理で有効であったと主張している。
(ここまで歴史が経過すると、誰に返還するのかという問題もあるが、「侵略」を認めることは歴史的テーマだと考えている)
尖閣諸島に対する中国の領有権を認めることは、欧米諸国が己らの“罪”をも認めることを意味し、とうてい踏み切ることができない話である。
私は反近代主義者だから、「無主地先占」というたわけた価値観や法論理に与しない。
しかし、現実の世界は「近代レジーム」のなかで動いており、レジームが代わらない限り、レジームを支えている価値観や法論理を無視したり否定しても、ただ混乱を招くだけで願うような結果をもたらさない。
だからこそ、この間何度も書いてきたことだが、中国は、まず尖閣諸島に対する日本の施政権(表見的領有権)を認める立場を明確にしなければならない。
尖閣諸島をどう取り扱うかという日中間の交渉は、そこが出発点になる。
本論に戻る。
中国は「棚上げ」を強く主張しているが、72年の「田中―周恩来会談」(日中首脳会談の議題を決める予備会談でしかない)であったとされる尖閣諸島領有権問題の「棚上げ」合意は、“暗黙の了解”(それぞれが勝手に思い込んだレベル)を超えるものではない。
中国共産党の術中にはまったとも言えるが、日本政府は、正式に「棚上げ」合意を認める必要はなく、アジア的阿吽の呼吸で、漁業協定など現実政策に反映させればいいことである。
日中双方が尖閣問題の「棚上げ」を明確な意思として確認しないまま、お互いがなんとなくわかり合って先送りしてきたことこそが尖閣諸島問題の根源である。
今回も、日中両政府のあいだで“暗黙の合意”による「棚上げ」の再確認がすでに行われていると推測しているが、そのような姑息なかたちではなく、問題を表舞台にのせてきっちり議論すべきだと思っている。
そうしなければ、何かことが起きるたびに大きな騒動が湧き起こってしまう火種が残った状態が続く。
※ 参照投稿
「野中氏の「尖閣棚上げ」合意指摘、外相と官房長官が全面否定:当時の外務省橋本中国課長が「尖閣棚上げ」関連の記録削除」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/765.html
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釣魚島問題棚上げの合意を無視していいのか
日本の野中広務元内閣官房長官は訪中時、1972年の日中国交正常化の際に両国首脳が釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題の棚上げで合意していたことを認めた。この発言に日本国内の一部勢力は激しく反応。菅義偉現内閣官房長官は「全く根拠がない」と野中氏を繰り返し批判し、「中国に歓待されて」そのような発言をしたのだと中傷すらした。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究所国際戦略研究部副主任。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
日本側のこうした反応は決して偶然ではない。日本の一部政治屋の最近の言動を見ると、歴史の全面的改ざんという意図はすでに明々白々だ。安倍晋三首相は以前、日本の侵略と植民地支配の歴史にお詫びと反省を表明した「河野談話」と「村山談話」の見直しを企んだうえ、「侵略定義未定論」を打ち出した。橋下徹大阪市長にいたっては荒唐無稽な「慰安婦必要論」をぶち上げた。
米国を含む国際社会の圧力を前に、最近日本政府は歴史事実への挑戦をいくらかトーンダウンさせた。だが根本的に言って、日本は釣魚島問題への認識を含め、その誤った立場を決して変えてはいない。安倍氏は最近米誌フォーリン・アフェアーズのインタビューで、「尖閣諸島の議題棚上げ」に日本が同意したことはないとし、日本側が過去棚上げに同意したとの中国側の主張は全くの嘘だとさえ述べた。菅氏は釣魚島の領有権はポツダム宣言とは無関係だと弁解した。領有権はサンフランシスコ講和条約で確定されたし、ポツダム宣言以前から釣魚島は日本の領土だったというのがその理由だ。日中合意を振り返った野中氏に対する今回の非難も、日本が「中国との間に解決を要する領有権問題は存在せず、棚上げすべき問題も存在しない」と依然言い張っていることを示している。
過ちに過ちを重ねる日本政府に、すでに国内外の有識者からは反発が起きている。日本の鳩山由紀夫元首相は今年1月の訪中時、釣魚島をめぐる領土係争は存在すると表明した。自民党と連立政権を組む公明党の山口那津男代表は訪中前のインタビューに、釣魚島問題は解決が難しい以上「後人の知恵に期待するのが賢明な選択だといえる」と述べた。山口氏の見解は、係争棚上げを支持するものとして広く解釈されている。
野中氏は国内の批判に対して「(日本)政府が係争棚上げの合意を無視したからこそ、今日の対立がもたらされた」と明確に指摘。日中間に合意があったとの発言を撤回するかと繰り返し問い詰める日本メディアにも、日中関係改善に向けた自身の努力に対する「無理な要求」だと拒否したうえ、中国側に利用されたとの見方を否定した。
1972年の中日国交正常化と1978年の平和友好条約締結交渉の過程で、両国の一世代上の指導者は大局的観点から「釣魚島問題は棚上げし、後の解決に委ねる」ことで重要な了解と共通認識に達した。これはその後40年余りの中日関係の発展と東アジア地域の安定・安寧の基礎となった。
百年の積み重ねを一日で破壊する。日本が一方的に釣魚島紛争を引き起こし、歴史問題でマイナスの動きを続けていることで、中日関係の基礎はすでに深刻に損なわれた。自らの行いについて考え直すことを拒絶し、頑として歴史の真相を覆い隠し続けるのなら、中日関係は取り返しのつかない損害をこうむり、日本は国際社会で一層孤立するだけだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年6月7日
http://j.people.com.cn/94474/8276393.html
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