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2013年6月 6日 植草一秀の『知られざる真実』
「アベノミクス」と盛んにもてはやされている安倍政権の経済政策だが、その内容は陳腐なものだ。
第一の矢が金融緩和、第二の矢が財政出動、第三の矢が成長戦略、だとされているが、これは、経済政策の基本三政策そのものである。
政府が経済政策を実行する際に、検討する三つのテーマが、財政政策、金融政策、成長政策で、目新しいものではまったくない。
それにもかかわらず、「アベノミクス」ともてはやされているのは、安倍政権の存在そのものが、日本の既得権益にとって好ましいものであるからだ。
マスメディアの論評姿勢は、政権の存在が既得権益にとって好ましいものであるのかどうかを示すバロメーターである。
小泉政権は最悪の経済政策によって最悪の実績を示したが、メディアは一貫してこの政権をもてはやした。
その理由は、小泉政権が既得権益の利益を追求する存在であったからだ。
小泉政権発足直後の2年間、株価は半値に暴落し、日本経済は最悪の状況に陥った。
このときも「成長戦略」、「改革」がもてはやされ、多くのエコノミストが小泉政権の改革政策を褒めたたえ、大半のマスメディアが小泉政権を絶賛した。
しかし、結果は惨憺たるものであった。
2009年9月に発足した鳩山由紀夫政権は、記録的に高い内閣支持率に祝福されて発足した政権だったが、マスメディアは、政権発足の瞬間から、この政権を総攻撃し続けた。
その理由は、単純明快だ。
鳩山政権は主権者の利益を追求する政権であり、日本の既得権益が、その既得権益を破壊されることを極度に警戒したためである。
日本のマスメディアの大半は、既得権益の広報部隊、既得権益の手先でしかない。
だから、このような不適正な報道が繰り広げられるのである。
日本の株価は昨年11月14日の8664円から本年5月22日の15627円まで上昇したが、6月6日には12904円に反落した。
円ドルレートは、11月13日の1ドル79.37円から5月22日の1ドル103.73円に下落したが、6月5日には1ドル99.06円にまで反発した。
株価は6963円上昇したが、2723円反落した。上昇分の39%が下落してしまった。
したがって、アベノミクス報道も、絶賛5に対して、批判2の比率で行われないとおかしいが、株高をはやし立てた報道機関が株価急落を大きくは取り上げない。
象徴的であるのは、6月5日に安倍晋三氏が成長戦略第三弾の講演を行った直後に、日経平均株価が700円も急落したことだ。6月6日まで含めると、あっという間に900円も下落した。
アベノミクスは、ただの鉄でできた政策でしかないが、これを「金」だの「銀」だのと、メディアがはやし立ててきた。そのメッキが早くも剥がれ始めている。
2001年4月に小泉政権が発足したときも、世間では「改革」が日本経済を復活させると絶賛し続けたが、現実は正反対のものになった。
このとき絶賛していた顔ぶれと、いま、安倍政権を絶賛している顔ぶれが、かなり重なっている。
小泉政権を絶賛した人々は、その実績ですでに完全に見通し能力の欠如が明らかになっているのに、いまだに、大手を振って跳梁跋扈している。
このあたりに、日本の情報空間の未成熟さがよく示されている。
安倍政権は「成長」の旗を掲げるが、もっと大事な旗が完全に欠落している。
それは「分配」という旗だ。
政府が経済政策において意識すべき二つのテーマは「成長」と「分配」である。
成長は全体量に関する尺度であるのに対し、分配は個別量の尺度である。
安倍首相は6月五日に発表した成長戦略で、10年後の一人当たり国民所得を150万円増加させる目標を掲げた。
これを聞いた国民は、自分の年間所得が150万円増えることが約束されたと勘違いする。
これも、TPP同様のトリックの一種だ。
「アベノトリック」と呼ぶべきもの。
あるいは、「アベノ詐欺」と言ってもよい。
いまの日本で焦点を置くべきテーマは、「成長」ではなく「分配」である。
アベノミクスには「分配」に関する視点が存在しない。
「分配」は弱者の視点に立ったテーマであるのに対し、「成長」は強者の視点に立ったテーマである。
アベノミクスの最大の特徴であり、最大の欠陥は、「強者の視点」だけが存在して、「弱者の視点」が存在しないことだ。
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