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2013年6月 4日 植草一秀の『知られざる真実』
中日新聞は7月4日公示、7月21日投開票の日程で実施される可能性が高い参院選に向け、全国の有権者約1500人を対象に世論調査を実施した。
調査結果は興味深い有権者の考え方を示している。
世論調査は、調査の方法によって調査結果を操作することができるため、一般に信頼度が極めて低い。
マスメディア全般が権力迎合の姿勢を強めているため、世論調査が世論を調査するためにではなく、世論を誘導、世論を操作するために実施されているケースが多い。
こうしたマスメディアの傾向が顕著になるなかで、中日新聞=東京新聞だけが、異彩を放っている。
原発政策に対しても、脱原発の主張をしっかりと踏まえた紙面構成を実行している。
その意味で、マスメディア世論調査のなかで、唯一と言ってもよい、ある程度の信頼を置けるのが、中日新聞の調査である。
中日新聞調査では、参院選重要争点のうち、とくに、改憲問題と原発問題について詳しい調査が行われた。
改憲問題について、調査が取り上げたのが9条と96条である。
9条についての質問と回答は以下の通り
質問 戦争放棄や戦力を保持しないと定めた憲法9条について、あなたは変える方がいいと思いますか。変えない方がいいと思いますか。
変える方がよい 32.7%
変えない方がよい 57.6%
分からない・無回答 9.7%
96条についての質問と回答は以下の通り。
質問 安倍首相は、国会が改憲を発議する条件を定めた「96条の改正」が必要だと話しています。現在、国会が改憲を提案するには衆院と参院それぞれの「3分の2」以上の賛成が必要です。首相はこれを「過半数」に緩和するべきだと主張しています。あなたは過半数にすることに賛成ですか。反対ですか。
「過半数」への緩和に賛成 38.1%
「過半数」への緩和に反対 54.5%
分からない・無回答 7.4%
原発についての質問と回答は以下の通り。
質問 あなたは現在、停止している原発の再稼働に賛成ですか、反対ですか。
賛成 32.9%
反対 60.5%
分からない・無回答 6.6%
賛成と答えた人に対する、その理由を選択する質問に対する回答では、
原発がないと電力が不足するから 61.1%
原発がないと経済が悪化するから 43.8%
反対と答えた人に対する、その理由を選択する質問に対する回答では、
原発は危険で心配だから 64.6%
使用済み核燃料の処理が困難になるから46.5%
となった。
7月参院選での投票行動に対する質問と回答は以下の通り。
質問 あなたは7月の参院選の比例代表で、どの政党に投票する予定ですか。
民主党 5.6%
自民党 31.3%
公明党 4.0%
みんなの党 3.3%
生活の党 0.2%
共産党 2.4%
社民党 0.4%
みどりの風 −
日本維新の会 2.5%
新党改革 −
減税日本 0
その他の政党 0.2%
決めていない 43.4%
分からない・無回答1.8%
このほかに、TPP、普天間、消費税の問題が重要争点であるが、新聞発表詳報では触れられていない。
ここで扱われている、改憲問題と原発問題について、世論調査結果は、明確な主権者の判断を示している。
憲法96条の改正に、主権者は賛成していない。
また、9条改正にも賛成していない。
他方、原発再稼働にも反対の回答が過半数を超えた。
新聞の世論調査で、しかも、調査対象が1500人だから、とても主権者全体の動向を示すものではない。
しかし、この回答に主権者の意向が投影されていると考えるなら、この調査結果が持つ意味は重大である。
安倍首相は、次の方針を明確にしている。
原発再稼働 2月28日の施政方針演説で明言
普天間 辺野古移設の日米合意を履行する方針
TPP参加 3月15日に交渉参加を表明
消費税大増税 8月GDP統計を見て最終決定
改憲 まず96条を改正して改憲のハードルを下げる
この五つのテーマのすべてが超重量級のテーマである。
日本の諸制度の根幹を変えてしまう威力を持つのがTPP。
国のかたちを変えてしまうのが憲法改正=改悪。
日本を滅亡させかねないのが原発。
である。
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