http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/765.html
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昨年9月の野田内閣による「尖閣諸島国有化」表明から果てしなく続いている尖閣諸島をめぐる日中間の係争は、終局に入ったように思える。
安倍氏が恥ずかしながら再び内閣総理大臣に就いた最大のワケが、日中間の関係改善であり、日朝間の国交正常化にあるのだから、“右派”に悟られないように注意をしながら、その目標に向けしっかり歩み続けるのは当然である。
尖閣諸島の領有権をめぐる日中間の紛争では、1972年に訪中した田中角栄首相が首脳会談で「棚上げ」に同意したか否かということが問題になっている。
外交は信義をベースとしているので、意にそぐわないことでも、いったん約束したら、それを守るという姿勢が必要となる。
北朝鮮の拉致問題にしても、02年9月の小泉訪朝=日朝首脳会談で日朝が“解決”したことを確認し、拉致被害者5名の帰国も“一時的な措置”であると合意(約束)しながら、拉致被害者5名を日本に留め置き、拉致問題を入り口論にして国交正常化交渉を進めなかった日本政府に外交“慣例”上の問題点があることは、北朝鮮をどんなに悪逆非道な国家だと思っていても、忘れてはならない。
(日朝平壌宣言第3項:「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した」:「両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致する」の“懸案事項”のなかに拉致問題も含まれるという主張もあるが、“懸案事項”は、全体の文脈に照らすと、ミサイル・核・米朝関係・南北関係を指している)
端的に言えば、小泉首相及び外務省は、拉致問題に関する国民世論の動向を見誤ったのである。
拉致被害者5名を一時的に帰国させたことを成果とし、国交正常化を急ぎ達成し、日朝間の“自由往来”が可能になることで、他の拉致被害者やその家族の帰国も大きく前進すると踏んだのであろう。
本論に戻る。
尖閣諸島の領有権をめぐる「棚上げ」論は、日中首脳会談ではないが、首脳会談の議題を擦り合わせる段階でお互いが「棚上げ」にしたと思う経緯があったことは事実であろう。
末尾に転載した当時の外務相橋本中国課長が「棚上げ」合意の記録を削除したという田原氏の説明も、削除が好ましいこととは言えないが、“事務レベル”に相当する話であり、「棚上げ以前(未議題化)」の合意だから、正確性を欠くものである。
このような意味で、72年の「田中―周恩来合意」は、02年の日朝首脳会談ほど外交的に重い“約束”とは言えない。
逆に、「棚上げ」になるにしろ、「対立」として持ち越されるにしろ、議題として取り上げてきちんと処理せず、なあなあで済ましてしまったツケが、現在の日中対立状況を生み出しているのである。
今回訪中した野中氏が、田中元首相の言として、「(日中)双方が棚上げし、そのまま波静かにやっていこうという話」を聞いたことを中国側に伝えたことに対し、岸田外務相や菅官房長官がすかさず反論し、「中国側との間で尖閣諸島について棚上げや現状維持を合意した事実はない」と断言し全面否定した。
野中氏と説明と日本政府の主張は、別に食い違っているわけではなく、受け取られ方が違う表現をしているだけである。
野中氏は、首脳会談の議題を擦り合わせる段階で田中元首相と周恩来元首相が尖閣諸島問題は議題にしないと合意したことを、「棚上げ」と解釈し、日本政府は、首脳会談の議題にならなかったのだから、「中国側との間で尖閣諸島について棚上げや現状維持を合意した事実はない」と説明している。
日本政府は、尖閣諸島について、日中間が議題にしなかった経緯を語ることなく、「棚上げや現状維持を合意した事実はない」と主張することで、“愛国保守”からの攻撃を避けているのである。
実質的「棚上げ」が、日中の明確な意思に基づくのではなく、なあなあの腹芸もしくは曖昧なかたちで続いていることが問題と考えている。
今回の騒動を機に、できるだけ両国民の理解を得られる(反発が少ない)表現で、お互いの主張を留意し合うかたちの「棚上げ」を日中首脳会談できちんと確認して貰いたいと思っている。
そのベースは、「中国李首相の妄言:戦後国際政治のなかで“ロンダリング”され日本領として確立している尖閣諸島」( http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/400.html )で説明したように、中国が日本の施政権(表見的領有権)を認める一方、日本は、中国が潜在的領有権を主張していることを承知していると認めることである。
※ 関連投稿
「尖閣領有問題で見せる日中の“絶妙”なやり取り:礼を失する発言の一方で、日本の主張をわざわざ補強して報じる中国」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/615.html
「中国「争いは棚上げすべき」 アジア安全保障会議:戚副総参謀長が語った尖閣諸島をめぐる“サイン”」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/692.html
「軍副総参謀長「釣魚島問題は後の世代に解決を委ねる」:アジア安保会議:小野寺防衛相「日本はこの海域の現状を維持」」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/736.html
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田中元首相から尖閣棚上げ合意聞いた 野中氏、中国側に
朝日新聞デジタル 6月4日(火)5時23分配信
【北京=林望】野中広務元官房長官は3日、1972年9月の日中国交正常化直後に田中角栄首相(当時)から、尖閣諸島の領有権について日中双方が棚上げを確認したと直接聞いたことを明らかにした。野中氏は同日、北京で中国共産党の序列5位の劉雲山・党政治局常務委員と会談した際にその内容を伝えた。
野中氏が会談後の記者会見で明らかにした。野中氏によると、「(日中)双方が棚上げし、そのまま波静かにやっていこうという話だった」という。尖閣諸島の領有権問題について、中国は「棚上げ合意」があったとしているが、日本政府は認めていない。
野中氏は「当時のことを知る生き証人として、明らかにしたいという思いがあった。私としてはなすべきことをしたという思いだ」と述べた。
朝日新聞社
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130604-00000006-asahi-pol
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野中氏の「尖閣棚上げ」合意指摘、外相と官房長官が全面否定
2013.6.4 11:47 [領土・領有権]
訪中した野中広務元官房長官が日中国交正常化時に「尖閣問題に関する棚上げ合意があった」と指摘したことについて、岸田文雄外相は4日午前の記者会見で「わが国の外交記録を見る限り、そういった事実はない」と述べ、否定した。
同時に「尖閣諸島は歴史的にも国際法的にも日本固有の領土だ。棚上げすべき領土問題は存在しないというのが、わが国の立場だ」と強調した。
また、菅義偉官房長官も記者会見で「中国側との間で尖閣諸島について棚上げや現状維持を合意した事実はない」と断言し、全面否定した。そのうえで「政府として一個人の発言にいちいちコメントすることは差し控えたい」とも述べた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130604/plc13060411480011-n1.htm
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ゲキビズ田原通信
中国海軍のレーダー照射事件、一触即発まできた「日中こじれ」の要因とは?
2013-02-12 14:40
いよいよ、というべきか。尖閣諸島周辺がきな臭くなってきた。
2月5日、中国海軍の艦船が、海上自衛隊の護衛艦に対して射撃管制用のレーダーを照射したと日本政府は発表したのだ。
射撃管制用のレーダー照射をするということは、「これからミサイルなどを発射するぞ」ということを意味する。つまり、明らかな挑発的行為だ。
当然、日本政府は中国に対して抗議をし、説明を求めた。
ところが、中国外務省は、「詳細は分からない」と答えている。
だが、恐らくこれはウソだろう。
その前日の4日に『朝日新聞』は、たいへん刺激的な記事を1面トップに載せている。
「尖閣、党新組織が手綱」という見出しだ。
内容は、尖閣諸島付近で中国海軍や空軍の日本への挑発行為が常態化しているのは、決して末端の勝手な行為ではないということである。
中国共産党のトップが承知して、こうした行為をさせていると言っているのだ。
いま中国では、国民の間に不満が溜まりに溜まっている。
その「ガス抜き」のために、反日感情を煽っている。国民の不満の矛先をすり替えているのだ。
けれども、今回の問題はそのレベルを完全に超えていると言わざるを得ない。
まさに「一触即発」の状態、と言っていいだろう。
なぜ、尖閣問題がこれほどこじれたのか。野田内閣の性急な国有化にその原因があることは言うまでもない。
昨年9月8日のAPEC首脳会議の際、野田佳彦・前首相は胡錦濤主席に、尖閣国有化問題への理解を求めた。
もちろん、中国側がそんなことを認めるわけがない。それは野田前首相も織り込み済みのことだっただろう。
ところが、である。
野田前首相はなんとその翌日に国有化を決定、3日後の11日には購入してしまったのだ。
中国は面子(メンツ)を重んじる国だ。その中国のトップの面子を野田前首相は潰すことになった。なぜ、そのようなことになったのだろうか。
さらにもうひとつ、尖閣問題をこじれさせている要因がある。
横浜市立大学名誉教授の矢吹晋さんが著書『尖閣問題の核心』で、たいへんなことを書いている。
当時首相だった周恩来さんと田中角栄さんの会談についてだ。
現在の日本政府は、この会談の際、「周恩来は尖閣問題を棚上げにしようとしたが、田中首相はこのとき同意していない」という見解である。
ところが、矢吹さんは、当時の外務省の橋本恕・中国課長が記録を削除したと述べているのだ。
では、実際のやりとりはどうだったのか。
2000年に発刊された『去華就実 聞き書き大平正芳』のなかの「橋本恕の2000年4月4日 清水幹夫への証言」で、次のように描かれている。
「周首相は『これ(尖閣問題)を言い出したら、双方とも言うことがいっぱいあって、
首脳会談はとてもじゃないが終わりませんよ。だから今回はこれは触れないでおきましょう』と言ったので、田中首相の方も『それはそうだ、じゃ、これは別の機会に』、ということで交渉はすべて終わったのです」
しかし、このやりとりは、橋本氏が公式文書から削除したのだから、記録には残っていない。当然、政府は現在のような見解をとるほかないのだ。
そして、中国側から見れば「日本がウソをついている」となる。
矢吹さんが言うとおりなら、問題のスタートからこじれるに決まっているだろう。
しかし、なぜ一官僚にすぎない橋本氏がこんなことをしたのか。
思うに、戦後の日本では「戦争」はあり得ないものだった。
だから、外交の失敗が行き着く先が「戦争」だという危機感を失ってしまったのだ。
危機感がないから、安易に「これは同意しなかったことにしておこう」と文書から削除してしまったのだろう。
結果、現在の非常に危ない状態を招いてしまったと言えよう。
政治にもっとも必要なものは「危機意識」だと僕は考えている。
つねに政治家は最悪を想定し、危機に備えなければならない。
とくに国家間の諍いは、戦争につながりかねないのだ。
安倍首相には、充分な危機感を持って、しかも慎重に、あくまでも慎重に対応してほしいと僕は思う。先の日中戦争は、たった一発の銃声から始まった。
そしてその一発がどんな悲劇をもたらしたのかを、僕たちは忘れてはならない。
http://ch.nicovideo.jp/gendai/blomaga/ar109981
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