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2013年06月03日 世相を斬る あいば達也
小沢一郎は政治家ゆえに、筆者の如く遠慮会釈なく、真実はおくびにも出さないのだろうが、いろんな角度から小沢の考えを察すると、米国との距離を限りなく拡げたい意志は明確だ。中央集権から地域主権へと云う、統治システムのパラダイムシフトは、我が国の富の拡大が限界に来ているのを知っているからなに相違ない。つまり、日本独自の政策で、これ以上の経済成長を望むのは無理であると知っている。既得権益層の人間どもは、だからこそTPPや原発輸出で世界に打って出るのだ、というだろうが、そこに落とし穴がある。自国市場では糞詰まったから、他国で稼ごうなんてのは甘い。他国も多かれ少なかれ糞詰まっているのだ。早い話、世界中が糞詰まっているのである。
生活の党が参議院選公約の原案をまとめたようだが、権力統治システムのパラダイムシフトには触れていない。単にNHKの報道の漏れかどうか判らないが、小沢の政治的コアは、対米従属からの脱却と中央集権体制の解体である。小沢の考えの多くは、この二つの基本的考えに基づき発せられている。小沢は「国民の生活が第一」と云う言葉でぼかしているが。以下はNHKが報じる生活の党の公約原案である。
≪生活 参院選公約の原案まとめる
生活の党は、夏の参議院選挙の公約の原案を取りまとめ、「格差を広げる経済政策から『生活が第一』に改める」として、消費税率の引き上げを凍結し、子ども1人当たり、中学校卒業まで年間31万2000円の手当を支給するなどとしています。
公約の原案では、安倍政権の経済政策について「虚構で、格差を広げており、大多数の国民の暮らしを実際に豊かにする『生活が第一』の経済政策に改める」としたうえで、消費税率の引き上げを凍結するとともに、子ども1人当たり、中学校卒業まで年間31万2000円の手当を支給するとしています。
また、憲法については、国会が憲法改正を発議する要件を定めた96条や9条を堅持する一方、国連のPKO=平和維持活動に自衛隊が参加する根拠を規定するとしています。
さらに、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に反対するとともに、原発の再稼働や新増設を認めず、2022年までに廃止するとしています。
このほか、沖縄のアメリカ軍普天間基地の国外や県外への移設を検討することや、歴史認識や領土問題について、中国や韓国との間で官民の専門家が日常的に協議する、常設の国際会議を設置することなどが盛り込まれています。 生活の党は、近く、公約を正式に発表することにしています。≫(NHK)
おそらく、中央集権から地域主権へと云う、統治システムのパラダイムシフトは、一朝一夕で実施出来るものではないし、霞が関の総攻撃を一手に引き受けるわけにもいかず、選挙公約とはせず、衣の下の鎧と云うことだろう。しかし、現実には、その部分に手を突っ込まないと、財源が赤字国債となる。またまた、マスメディアの総攻撃を受けそうでもある。しかし、安倍政権が、あれだけのバラマキを国債で賄った以上、今後の財政再建は念仏さえ唱えておけば良いモラトリアム扱いの感がある。世界経済が、国家財政云々の流行に縛られ、経済沈滞を招いた愚を、再燃させる気はない筈である。
問題なのは、直近の参議院選で、安倍自民の大勝をどうやって防ぐかと云うこと。そして、日米構造協議と包括的自由貿易協定が同時並行的に進んでいるTPP交渉参加と日米二国間協議をどうするかと云う問題である。多分、両方とも大勢を変えさせるほどの変化は期待できない。ただ、小泉以来の浮足立った政治家による政治が続いているだけに、小沢一郎のような大人な政治の姿を見てみたい衝動が生まれても不思議ではない状況だ。幾分、橋下の自滅やアベノミクス株価暴落などで、メディアが小沢一郎の去就に興味を持ちはじめたようだが、大勢を変えるには至らないだろう。それこそ、3年は掛かるかもしれない。
TPPの参加により、日本の国内市場がどの程度痛めつけられるか判らないが、深く外資の市場参入が進まない事を祈るしかない。小沢一郎の胆力を持ってすれば、TPP協定破棄も可能なわけで、入ったら出られない論に拘泥する必要もないだろう。現に、2012年12月には、国民がTPPや改憲や財政バラマキを嗜好する安倍自民を選択したのだから、選択ミスの痛み程度は味わって貰う義務がある。小泉竹中構造改革で、あれだけ痛い目をした国民が、その総仕上げに奔走する市場原理主義者に政権を委ねたのだから、正直、少しは痛い目に合うのも良薬だ。安倍自身が市場原理主義者を信奉しているとは思わないが、彼らの尻馬に乗ろうとしたのはたしかだ。
今後の展開だが、参議院選終了後、民主党はカネの分配方法で揉めながらも、分党するに違いない。維新は衰退の一途だろう。石原は体調不良で引退だろうし、維新国会議員も分裂するだろう。調子に乗っていたアベノミクスも、株価の暴落に打つ手もない、馬脚が秋には鮮明になる。悪い事に、国債市場に資金は戻らず、日本国債は価格を下げ、思いもよらない高金利が国民生活を直撃する。当然、厳しい資金繰りで頑張ってきた中小零細製造業の倒産が爆発的に増加するかもしれない。失業率も4%前後から7%前後まで跳ね上がり、安倍晋三はすごすごと退陣する羽目に陥るだろう。次は、多分麻生は無理で石破になる。石破で1年持つかどうかで、早ければ2年後に総選挙もあるだろう。
いずれにせよ、今後5年から10年、日本国民はかなり厳しい生活状態に直面することになるだろう。勿論、人間の幸福度を、その収入や社会保障の充実の度合いでしか感じられない人間である限り、その不満は一生解消する事はない。庶民の一般生活においても、人生哲学が必要な不確実な時代が来ているのだ。大袈裟な言い方を訂正するとすれば、日常の生活モットーをチェンジすれば、特に怖れる事ではない。問題は、如何に正しい選択を真面目にやるかどうかである。国民が賢くなれば、マスメディアも正常な姿になるものだ。これからは、庶民が社会的地位の高い人間どもに範を垂れる時代なのかもしれない。
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