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航空自衛隊練習機に試乗する安倍晋三首相。「731」の番号が韓国で思わぬ非難を呼んだ=5月12日、宮城県東松島市(松本健吾撮影)
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130602/dms1306021643012-n1.htm
2013.06.02 ZAKZAK
【桜井紀雄の劇的半島、熱烈大陸】
安倍晋三首相が試乗した自衛隊練習機の番号「731」は「旧日本軍で生体実験をした731部隊を意識したもの」−。日本人からすれば突拍子もない非難は「日本への原爆投下は神の懲罰だ」との常軌を逸したコラムまで生んだ。これら韓国メディアにあふれる度を超した論調を見ていくと、共通した誤解が根底にあることに気づく。日本に対しては見境なく投げつけられる非難の背景にはいったい何があるのか。
■「右傾化は選挙目当て」?
韓国メディアがそろってやり玉に挙げたのが、安倍首相が被災地の宮城県東松島市の航空自衛隊基地を訪れた際、試乗した曲芸飛行チーム「ブルーインパルス」の練習機の機体番号が「731」だったことだ。
「生体実験をした」として中韓で悪名高い「731部隊」を連想する機体に乗り、「親指まで立てた」と非難の大合唱が巻き起こった。
有力紙の東亜日報は「安倍の計算された“数字政治”だ」と確信犯であることを強調し、「安倍は70%台の高い支持率を基盤に7月の参院選で勝利するために右傾化の火をつけている」と論じた。
別の有力紙、中央日報の日曜版コラムも「731」の機体に試乗したことは偶然ではないとの見方を示し、「日本の右派は敏感な問題を順に取り出し、相手の反発の程度を見ながら『どこまで可能か』探ろうとしている」「7月の参院選で勝って改憲を達成するという戦略的な目標のために戦術は問わない勢いだ」と記した。
そもそも「731部隊」の連想はこじつけ以外の何ものでもないが、この「右傾化は選挙目当てだ」とみる単純化は韓国メディア全体に散見される誤解の最たるものの一つだ。
安倍首相の改憲論など国のあり方を問い直す姿勢は第1次安倍政権のころから一貫したもので、日本では逆に選挙を控え、抑制すらしていると理解されている。それなのに、韓国では単なるポピュリズムにおとしめられている。
■円安で韓国狙い撃ち?
安倍政権は、海外輸出に頼る韓国経済への打撃も顧みずにアベノミクスによる円安攻勢を続けているという論調も少なくない。
中央日報は、別のコラムで「1ドル=100円を上回る円安で周辺国だけが死ぬ思いだ。それでも安倍政権が“近隣窮乏化”という非難にたじろぐ兆しは全くない。アベノミクスをあきらめた瞬間に政権が揺らぐためだ」と指摘する。
その上で「いまは7月の参院選を狙った安倍首相の妄言ばかりに気を取られているときではない。むしろ必死に駆け上がっているアベノミクスがもっと恐ろしい」と結論付けている。
つまり、アベノミクスによる「被害論」と“アベ・バッシング”は互いにリンクしており、いわば円安攻勢の逆恨みから安倍批判に拍車を掛けているとみることができる。
これまでの極端な円高による韓国企業の独り勝ちこそ不健全な状態だったと説明しても「被害妄想」にかられる韓国世論は聞く耳を持ちそうにない。
そんな状況の中、飛び出したのが「原爆投下は神の懲罰」との同紙コラムだ。
コラムは「歴史には代表的な神の懲罰が2つある」とし、1945年の英米軍によるナチス・ドイツへの空爆と広島、長崎への原爆投下を並べた。ドイツへの空爆は「ナチに虐殺されたユダヤ人の復讐(ふくしゅう)」とし、「広島と長崎は日本の軍国主義の犠牲になったアジア人の復讐だった」と記した。
続けて安倍首相が「731部隊」を連想させる機体に乗ったことを挙げ、「その数字にどれだけ多くの血と涙があるのか彼は分からないのか。安倍の言動は人類の理性と良心に対する生体実験だ」と論理を飛躍させ、「安倍はいま幻覚に陥っているようだ。円安による好況と一部極右の熱気に目をふさがれ、自身と日本が進むべき道が見えずにいる」とこき下ろした。
■日本はナチズムなの?
これだけの論理の飛躍を許しているのは、戦前の日本とナチズムを同一視する単純化だ。
ただ、これはこのコラムに限ったことでなく、韓国の論調のほぼ全てに共通するものといっていい。このコラムの筆者は日韓関係に関する冷静な論評で定評があったほどだ。
安倍首相が米誌で、靖国神社参拝は米国の戦没者を慰霊するアーリントン国立墓地を参るのと思いは変わらないと説明したのに対し、別の有力紙、朝鮮日報は社説で「ナチスの戦犯たちに対し、首都の中心部にまつってドイツの首相や閣僚が日本のように参拝したらどうなるだろうか」と疑問を呈し、「A級戦犯をまつる施設の参拝を米国のアーリントン墓地の参拝にたとえるなど詭弁(きべん)以外の何ものでもない」と痛烈に批判した。
同紙の別の日の社説でも「ドイツの指導者は機会あるごとにナチスによる侵略を受けた国々や被害者に謝罪してきた」のに比して「いまの日本の首相や政治家らは過去の犯罪を否定し、日本軍性的奴隷の生存者を冒涜(ぼうとく)する妄言を繰り返している」と非難した。
日本による戦前の朝鮮半島統治が手放しで評価できるというつもりはない。だが、ユダヤ人の抹殺を目指したナチスと、朝鮮半島の住民をも「大日本帝国臣民」にしようとした戦前日本の同化策では“暴力”が向かう方向が180度違う。
韓国では少しでも日本統治に協力した者とその子孫は「親日派」として全否定される。それでは、好むと好まざるとにかかわらず、日本統治という枠組みの中で必死に生活を紡ごうとした祖父や祖母らを否定することになる。「戦前の日本=ナチス」という切り捨ての裏返しとして悲しいほどの自国の近代史に対する断絶がある。
■「知っている」は思い込み
中央日報が掲載した「原爆は神の罰」とのコラムに反論した在韓国日本大使館の道上尚史公使の寄稿文には冒頭、次のように記されている。
《隣国間で感情の摩擦が多い根本原因は「自分は相手をよく知っている」との錯覚にあると思う。これだけ情報の多い時代でも、実は基礎的なことを互いに知らない。断片的な話ならたくさん知っているので、隣国を「よく知っている」と思い込みやすい》
戦後のドイツはナチスとの絶縁を強調し、ドイツ国民もナチスの「被害者」に位置付けた。日本の歴代政権は反省すべきは反省するとしながらも、戦後日本が戦前の日本と「別物だ」とは切り捨てなかった。
反日に傾く韓国を「やっかいな隣国だ」と切り捨てることは簡単だが、基礎的な違いを根気よく説く気力をなくしてはならないと思う。(外信部記者)
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