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2013年6月 2日 神州の泉
極めて興味深いニュースが5月30日に出てきた。中国商務省が米国主導の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の可能性について検討する方針を明らかにしたのである。
同省報道官は「中国は、慎重な研究と平等・相互利益の原則に基づき、TPPの利点や問題点および参加の可能性について分析する」「交渉に関し、TPP参加国と情報や資料を交換していくことも望んでいる」とコメントしたほか、政府各省庁や業界からTPPについて意見を求めていることも明らかにした。
今月7日からの習近平国家主席・オバマ米大統領の首脳会談を目前にしたリップサービスだとの見解もあるが、商務省が「参加の利点とデメリット、可能性を分析する」と発言していることは驚くべきことだ。
中国がTPP参加に意欲を見せているという話を冷静に考えてみよう。まず、TPPという枠組み自体が壮大なペテンであることを思えば、米国グローバル資本と大差ない狡猾さを有した中国共産党が、このTPPの本質的なペテン性を見抜いていないはずがない。
TPPが米系グローバル資本の壮大なペテン憲章であることをよくよく分かっている中国共産党が、自国の企業群を不利に導くTPPに参加意欲を持つことは理論的に有り得ない話である。
とくに米国多国籍企業群が本領とするISDS条項(投資家対国家間の紛争解決条項Investor State Dispute Settlement)、つまり多国間における企業と政府との賠償を求める紛争の方法を定めたこの圧倒的で超国家的なコーポラティズム条項は、共産主義を求心力とする国是に従う特異な資本主義国家である中国にとっては、最も受け入れがたいことは誰しも認めるところである。
これを理解していて、中国がアメリカ主導のTPPに参加を検討するという話は、米中間にある種の相互受益の展望が成り立ったものと見なすしかない。それが何であるかは推測と予断に任せるしかないが、もしかしたら米中双方ともに効果的な対日収奪の分け前ができあがっているのかもしれない。
この推測を裏付ける一つの材料として、中国が世界最大の米国債保有国家であり、軍事力を背景にその米国債をその気になれば売ることができるという圧倒的な事実がある。この部分は日本が置かれている属国の立場とは全く違い、米国に対し対等な交渉力を有しているわけである。
世界の米国債保有者の中で、中国は1兆2200億ドルの保有額でトップを維持している。今年第1四半期(1〜3月)における中国の外貨準備残高は3兆4400億ドルと、昨年末より約1300億ドル増え、昨年1年分の外貨準備の伸びに相当したらしい。それで推計すれば、中国の外貨準備のうち、米国債は3分の1以上を占めるそうである。
リーマンショック以降、ジリ貧化している米国が中国の米国債カードに頭が上がらない事実は大きい。この力関係を背景にして、中国は米国グローバル資本に対し、ISDS条項に関して何らかの手打ちを行った可能性が高い。中国企業に対するISDS条項適用の差別待遇化(優遇)の合意があったものと推測できる。
当然ながら、不可逆のラチェット規定についても、米国グローバル資本は中国に対して一定の条件でゆるめた可能性は高い。つまり中国だけ特別待遇でTPPに参加できる暗黙の合意ができたのではないだろうか。少なくとも、中国が参加意思を表明するというリップサービスだけでも、日本がTPPに本格参加する追い風にはなるのである。
米中は睨み合っているように見えるが、双方の対日政策で共同の受益が見込めるときは、プラグマティックに手を打つのである。今回の報道は以上のように考えないと理解不能なものがある。TPPが中国包囲網や牽制効果を持つなどと言っていた有識者たちは今頃青ざめているだろう。
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