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2013/6/2 晴耕雨読
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必見 http://bit.ly/18F67x8 130531 小出裕章x小沢一郎 アーカイブ
小出裕章氏の京大原子炉研究所に小沢一郎氏の方から出向いて話を聞くという形で実現した、小出x小沢対談。
せっかくなので時間の許す限りツダってみようと思います。
最初に小出氏を尋ねた経緯と自分の認識を話す小沢氏
小出裕章×小沢一郎 「福島第一原発を抑え込むために」
小沢「福島原発の対応をどうしたらいいか。福島だけではなく日本の将来も危ないような事故に政府の対応は甘すぎる。しかも今や風化しつつある。脱原発はひとつのことだが、福島をどうするかについて伺いたい」
小出「やるべきことは単純。原発が動き、核生成物を作ったそれが事故を起こして外に出た。それでこれ以上出さないように2年も水を入れて冷やしている。今はそれしかできない。しかも4基も一度に壊れてしまうという人類未経験の事態に直面している。どうしたらいいのか私にもわからない」
小出「わからないながらも事故当初から自分で思いついたことは発言してきた。提言は実現していない。汚染水は巨大タンカーに移して漏れないようにして、廃液処理装置のある柏崎刈羽に持って行くようにと言った。柏崎刈羽は当然止まっていて廃液処理装置動くなら処理に余裕があると国会議員に提言した」
小出「何人かの国会議員に話して、やりますと言った人もいたが、実現しないうちに今や30万トンの汚染水が敷地内のタンクに溜められ、それで足りずに貯水プールを作って、そこから汚染水が漏れるという事態になっている。もっともっと早くやらなければいけなかったと思う。」
小出「汚染が地下水に接してしまうと汚染の拡散が防げないので早く原子炉建て屋の付近に遮蔽壁を張り巡らせて炉心の汚染が外に出ないようにと言った。でも政府はいまごろになってこれからやろうと言っている。しかしそれらはまだ些末なこと。溶け落ちた燃料がどこにあるかをまだ知ることができない」
小出「放射能本体は原子炉建て屋の内側にある。それがまだ中にあるのか、床を突き抜けてしまっているのか。それを知らなければならない。いずれなんとかしなければ行けないと言うことは確実だが、それをやることも多分できないと私は思っている。」
小出「政府は、使用済み燃料プールにある分は少しでも安全な所にどかす。そのうえで溶け落ちた燃料をつかみ出してそれも少しでも安全な所にうつすと言っているが、私は使用済み燃料プールのそこにある燃料は必ず移さなければならないと思っている。が、それすら一体何年かかることか。」
小出「4号機でつかみ出し作業が今年の末から始められるかもしれないが1331体も燃料棒が沈んでいる。それを1体も取り落とすことなくきちんと移せるかというと、それも不安。1号機にも2号機にも3号機にも使用済み燃料プールがあって、その中にもある。」
小出「1号機3号機は建屋がぐちゃぐちゃ。プール内にもがれきが。それをつかみ出せるかどうか、私にはわからない。何年かかるか、私も小沢さんも死んでしまっているかもというような時間がかかる。それをどけてから溶け落ちた燃料を取り出すことになると思うがたぶんできないと私は思う」
小出「溶け落ちた燃料が取り出せなければチェルノブイリでやったような石棺を作ることになる。チェルノブイリはひとつで良かったものが、福祉までは三つ、悪くすると4つ要る。チェルノブイリは27年経って石棺はぼろぼろになって作り直している。福島は30年後に3つ、4つ作りなおすことになる。」
小出「30年後に石棺を作り直す頃には私も小沢さんも確実に死んでいる。そういう困難な作業を若い人に引き継ぐということ。だから、やるべきことは分かっているがそれは本当に難しい課題。」
小沢「溶けた燃料が1m数十センチの床をあと20センチのところまで溶かしてしまっていると東電が発表していると、ほんの小さく報道されて、それ以後何も報道されていない。突き抜けてしまったとしてもどの程度の量かもわからない。」
小出「原発の燃料は炉心にある。おおざっぱに言えばひとつの原子炉に100t。それらは2800°を越えないと溶けない瀬戸物に詰めてある。そのウランを詰めた瀬戸物が溶けてしまった。100tものセトものが溶け出した。溶けた先にあった鋼鉄製の原子炉圧力容器は1500°で溶けてしまう。」
小出「福1の沸騰水型原子炉では圧力容器の底から薄い勤続の制御棒が突き出している。2800°が100t落ちてくれば簡単に穴があく。そして放射能を閉じ込める最後の防壁である格納容器に落ちた。東電はそこに1mの厚さのコンクリートの床張りがあると言う。」
小出「でも格納容器の床の1m厚のコンクリートだって2800°をこえたものが落ちてくればどんどん壊れる。東電は1mのうち70cmやられたけどまだあと30cmあると言っている。その報道を聞いたとき、あなたたちは見てきたのかと(笑)。建て屋の中はもとより格納容器の中なんて入れない。小出「格納容器に近づけないうえに、想定外の出来事だったので、測定器の代えさえない。平常運転に使う測定器がいくつかあったが、それも放射線でやられて次々に壊れるという状況だから、本当に今どうなっているかわからない。格納容器の床はすでに抜けてしまっているかもしれない。」
小出「もし、すでに格納容器が破られて溶けた核燃料が地下水に接していれば猛烈な汚染が出てくると思う。格納容器を放射能を閉じ込める最後の防壁と言ってきたがそれはすでに壊れている。2年間水を入れ続けてきたのに格納容器の中に水は全然たまらない。みんな漏れている。本当のこと言えば手遅れ」
小出「放射能を閉じ込める防壁はすでに破られ、水をかければかけるだけ放射能は外へ出てきてそれを止めることもできないのが今の状況。小沢さんがまだ民主党におられるとき、野田氏が11年暮れに事故の収束宣言を出したが冗談を言うなと思った。」
小出「収束しているも何も、どうなってるかもわからないでただひたすら水を入れるしかないという事態がいまあって、そのためにたくさんの下請け労働者が被曝しながら今この瞬間も事故に向き合っている。」
小出「ところが自民党は原発を再稼働させあらたな原子炉も作る、原発を輸出する、それがアベノミクスの主要な柱だと言い出す。もうなんという国かと思う。」
小沢「恐ろしい話だ」
小沢「溶け落ちた燃料は規模は小さくても臨界に達しているということか?」
小出「そうではない。原発はウランを核分裂させた熱で発電しているから熱は核分裂で出るだろうと思うだろう。でも熱の原因はもうひとつある。」
小出「一度ウランを燃やすと核分裂生成物という放射性物質が炉心にたまる。放射性物質があればそれで発熱する。100万kWとされる発電所では、電気になる分が100万kWであって、原子炉の中では300万kW分発熱している。」
小出「発熱量のわずか1/3だけが電気になる。それが原発。残りの200万は海に捨ててを海を温めることになるそれでその300万kW分の熱量すべてが核分裂でできているわけではない。7%分21万kW分は放射能そのものが出した熱。」
小出「1kWの電熱器が家庭にあるとするとそれが21万個分。それが止めることができずに発熱を続けている。その熱を冷やせなければ簡単に炉心が溶ける。だから事故が起きたその日に1号機は炉心が溶けた」
小出「1号機の炉心を溶かした熱は、放射能の熱。放射能だから核種によって急激に減少する。核分裂によってできた核分裂生成物の九割は1日経てばなくなる。だがそれ以降は寿命の長いものが残っていてなかなか減ってくれない。1年経つとそのまた1/10ぐらいになる」
小出「1年経てば当初21万kWと言った熱量を発生させた放射能が1/100になる計算。1年後には2100kW相当になる。今では2年経ったからまたその何分の一かに減っている。それでも何千キロワットの発熱がいまどこかで続いている。」
小出「だから、今の発熱は臨界によるものではなく、放射性物質がそこにあるがゆえの発熱。みんな臨界を心配しているし、私も心配ではあるが、多分臨界はないと私は思っている。」
小沢「現在も、将来も?」
小出「確実に断言はできないが、たぶん大丈夫」
小出「たぶんもう臨界はそこで起きないが、放射能がそこにある限り発熱は避けられないのでそれを冷やし続ける必要がある。」
小沢「石棺を何千度にも絶えられるようにすることは可能?」
小出「チェルノブイリでも、炉心が溶けて下に向かって流れた。その間鉄を溶かしコンクリートを溶かして元々100tだったものが増えてどろどろに溶けて行った。ただ発熱量そのものは時間とともに減って行くわけだから、どこかでバランスして溶けずにかたまるというところに至る」
小出「福1でも溶けた炉心がどこかで熱バランスして固まるだろうと思う。そうなれば、石棺を作ることができる。」
小沢「そういう状況になるのが何年後かはわからない?」
小出「今の状況がわからないので、これから1年後2年後にどうなるかもわからない」
小出「事故があって、これまでこういう経過を経てこうなっているということが分かれば先のことは予想できる。しかし、今どうなっているかが分からないのでこの先のことはわからない。」
小沢「そうすると、現状のままほっとくしかないっちゅうことですか。」
小出「今はひたすら水をかけるだけ」
小出「今できることは水をかけること、それと使用済み核燃料プールに沈んでいる燃料を一刻も早く少しでも安全な場所に移すことが緊急課題。東電も当然認識して、一番手の付けやすい、一番こわれる危険度の高い4号機からそれをやろうとしている……はずだ」
小沢「しかし、それをきちっと正しく取り出すことは難しいと…」
小出「とても難しいと思う」
小沢「もし、つかみ出しているときに割れたりしたら?」
小出「使用済み核燃料が噴き出してきて核燃料プールでもなんでも汚れてしまう」
小出「鉛と鋼鉄でできたキャスクに10本20本入れて蓋をしてつり出すということをしないといけないが、1331あるものをキャスクの中に1本1本釣っては降ろしという作業。途中1体でも落として割れてしまうと放射能が噴き出して汚れてしまうので次の作業が当面できなくなる」
小出「割れたときに臨界になるということをご心配かと思うが、たぶんそうはならないと思う。しかし落として割れてしまえば放射能汚染されて作業ができなくなるので4号機だけでも何年かかるかと心配。」
小沢「容器に入れて取り出しても、それをどこに置くかということになる」
小出「東電は4号機の隣にある共用プールにとにかく移そうという計画。でも4号機が終っても1号機から3号機までがある。すると共用燃料プールでは足りなくなる。共用燃料プール自体すでに満杯状態だからそこに入っている燃料をまず別な所に移すという作業がある。それも大変な作業。」
小沢「そうすると、コストもかかるし、あらゆる意味で大変な作業だろうけど…」
小出「順番としては使用済み燃料プールにあるものを出すというのを先ずやらなければならない。」
小沢「ほっとくとどうなる?」
小出「プールの中にほっておいたら?」
小出「4号機は定期検査中で原子炉は止まっていた。炉心にあった燃料棒も全て使用済み燃料プールに入っていた。本来なら事故とは無縁のはずだったのに、なぜか爆発が起きて建て屋が天井まで吹き飛んでしまった」
小沢「水素爆発?」
小出「核爆発だという説もあるが,私は水素爆発だと思っている」
小出「ただ、4号機の場合、水素爆発にしては変わった爆発だったのは、最上階だけでなくその下も、下の下も爆発で壁が吹き飛んでいる。それらの階は使用済み燃料プールが埋め込まれているフロアだが、そこの壁が吹き飛んでいて、使用済み核燃料プールが宙づりのような形でいまそこにある。」
小出「その宙づりのプールに、ふだんなら原子炉の中にあるものからなにから全部そこに入れられていた。さっきから1331体あると言っているが、その中に広島原発が出した放射性核生成物をセシウム137に換算して1万発を越えるものがある。それが宙づりのようになったプールの中に、なんとかある」
小出「その宙づりのプールが大きな余震か何かでひっくり返るともう手の付けようがない。1号機〜3号機から大気中に出た放射性生成物はIAEAに出した報告書では広島原爆の168発分と書いてある。でも4号機の使用済み核燃料プールには1万発分ある。もし崩れ落ちれば手が付けられなくなる」
小出「まずは崩れ落ちる前につかみ出す、少しでも安全な所に移すということはどうしてもやらなければならない」
小沢「1号機〜3号機の分もある…」
小出「1号機や3号機は大変。4号機は汚染も少ないから作業員が上まで行ってプールの中を覗き込むこともできたしこれからの作業もなにがしかできる。1号機や3号機は最上階に行くことすらできない。」
小出「1号機や3号機はプールの中を見ることさえできないから遠隔操作のカメラなどを使ってどんなになってるか…」
小沢「1号機や3号機も、原子炉だけじゃなくてプールにもあるんでしょ?」
小出「あります。だから、それも少しでも安全な場所につかみ出さなければいけないということは確実に分かっているのだが、行くことができないしどうしていいかわからない」
小出「1号機3号機は今がれきを少しでもつかみ出そうと作業をしようとしているのだが、現場に行くことができないので遠隔操作でテレビ画面を見ながら重機を動かしている。遠隔操作だから細かいことはできない。何ヶ月か前、3号機のプールの中から何かを鉄骨をつり上げようとして落としてしまった」
小沢「その中で燃料棒が破損したりしたら、おしまいになっちゃう?」
小出「おしまいというか…、放射能の汚染がさらにひろがるので、」
小沢「処理がますますできなくなる」
小出「そう。」
小沢「なるほど」
小沢「可能性としてそう簡単には核分裂がおきないとすると、巨大な石棺でかこんでしまうのがひとつの方法なのか?」
小出「確実にそうなると私は思う。それしかない。ただ、それを作る前に、いま使用済み核燃料プールの底に壊れずにあるものはつかみ出して安全なところに移動しないといけない」
小出「石棺を作る前の作業としてやる使用済み核燃料プールからの使用済み燃料棒の取り出しにしても、10年ではきかないと思う。」
小沢「石棺を作る作業はそれが終ってからじゃないとできないと……」
小出「できません」
小沢「すると、その前に地震でも来て壊れると大変なことになる?」
小出「4号機は本当に心配。東電も、4号機の使用済み燃料プールが宙づりになっていることは事故直後に気づいて、事故直後の放射能の高いときにあえて補強工事をしている。」
小出「使用済み燃料プールが埋め込まれている階の下の階に行くと燃料プールの底が天井のようにして見える。東電はそれを下の階から鉄柱を立ててコンクリートで固めたと言っているが、下の階も爆発で強度が危うい。」
小出「結局格納容器の土台の出っ張りの分厚いコンクリートで支えることができたにすぎない。使用済み燃料プールの底の半分しか支えられていない状態。東電は補強工事をしたから震度6にに耐えられると言っているが私は信用できない。耐震計算の元になる土台の強度すら計算できない状態で行なった計算」
小出「私は震度6がくれば使用済み核燃料プールが崩れ落ちるのではないかと心配している。今できることは、とにかく大きな余震が来ないでくれと願うことだけ。でも手をこまねいていることはできないから」
小沢「やる意外ない」
小出「一刻も早くやるしかない。」
小沢「今はそれに手が着いていない?」
小出「東京電力はやっている。キャスクは100tある。それをつり上げるための巨大なクレーンを据え付けるため巨大な建て屋を作るという作業を今やっている。それができて作業が開始できるようになるのが今年の暮れだと。たぶんそうだろうと思う」
小出「一日に24時間しかないし、作業員の数も限られている」
小沢「物理的にスピードアップはできないのか」
小出「わからない。東電は今年の暮れじゃないとできないと言っているし、少しでも早めて欲しいとねがっているが、それにしても大変な工事。」
小出「高さが30メートルもあるような建て屋を作ってそこに100tもの重さの者をつり下げられるクレーンを設置しなければならない。その工事は大変な作業を猛烈な被曝環境でやらなければならない。労働者はストップウォッチと被曝計を持って何分間働けるかというような環境で作業している。小出「急いで欲しいと願うし急いですべきだと思うが、急げと言って急げるものでもない」
小沢「そんなことをしているうちに、燃料プールが破損し、燃料棒が破損すれば、今以上に手が付けられない状態に?」
小出「今までは広島原爆168発分出たものが、4号機には1万発分以上ある」
小沢「そのセシウム137は核分裂しなくても出る?」
小出「セシウム137は、半分に減るまで30年かかる。」
小沢「……。」
小出「すでに福1が運転してウランを核分裂させた結果出たもの。」
小沢「あらたな核分裂がなくても、物質そのもののなかにあるものなのか」
小出「そう」
小沢「一万発分が……。」
小沢「石棺ができても冷却はしなければいけないのか」
小出「石棺ができる状態になっていれば、もう水はいらない。外部からは手を加えない状態になる」
小沢「そのまんま、封じ込める」
小出「完璧に封じ込めて、なにがしかある発熱は建て屋そのものの表面から熱を外へすてる、つまり空冷できる。」
小出「石棺の外から水を循環させて冷却するということはたぶんできない。」
小沢「する必要がない?」
小出「する必要がないようにした方が得策。表面積の大きな建て屋を作って…」
小沢「ものすごいでかいものじゃないとダメですね」
小出「今ものすごいでかい原子炉建て屋がある。それを覆うようなでかい建て屋になる」
小出「放射能自体減って行くから、発熱も小さくなる。巨大な建て屋の巨大な表面積を利用して熱を外に捨てて冷却することは可能だろうし、完璧に閉じ込めることができる。その方がいい。 小沢「下まではできないですよね、下までぐるっと」
小出「本当は下までやりたいが、下までやろうとすると大変」
小出「下まで石棺で覆おうとすると、下には汚染水がある。そこでの作業をどうするか」
小沢「土木技術的にはできると聞いたことがある」
小出「私より小沢さんの方が専門家だからよくわかるかもしれない。土木技術上はできるかもしれないが、猛烈な被曝を伴うので現実にできるかどうか疑問」
小出「チェルノブイリのときには60万人とも80万人とも言われる軍人、退役軍人を集めてきて作業に当たった。日本でそんなに大量の労働者が集められるかということ自体不安だし、チェルノブイリのころの新聞を見たら真偽は不明だが、チェルノブイリ行きを拒否した兵士が銃殺されたと。」
小出「ソ連ではそういうことがあったかもしれないが、日本と言う国で原発事故を収束させるだけの作業員をこれから本当に手当できるのか不安だし、海外から労働者を被曝労働に引っ張ってくるということも起るのかなと…」
小沢「事実上無理。」
小出「そうでしょうか」
小沢「国際的には無理。日本人がやる意外にない」
小出「私もそう思うし、そうあるべきだと思うが、これまでの日本政府の動きを見ていると何が起るか不安。」
小沢「放射線の防護服は厚くしてもだめ?」
小出「防護服は、放射性物質を体に付着させたり吸い込んだりしないための防護服。要するに内部被曝を防ごうというもの。γ線による外部被曝を防ぐには鉛のスーツというのはあるがほとんど効果はない。人間が着ることのできる鉛など厚さがたかがしれている」
小出「γ線を防げるような防護服など考えない方がむしろいいと思う。それより、被曝作業の時間を短縮できるような動きやすい防護服の方がはるかに効果がある。γ線は事実上防げない。 小沢「土木技術で石棺が下までできるとしても被曝を防ぐのは非常に難しい」
小出「そうです」
小出「今でも下請け作業員が、それも1次2次の下請けじゃなくて9次10次の下請け構造になっている。東電が払った金のほとんどがピンハネされて、下請け労働者には金が行かないという実体だってある。下請け労働者は生活のために現場に来ている。小出「今の法体系では被曝労働者は100ミリレムを越えると5年間働けなくなる。もし生活のために被曝労働をした下請け労働者が10日働いて100ミリレムをこえてしまうと、その労働者はもう仕事ができなくなる。生活ができなくなる。」
小出「被曝量を超えた下請け労働者は、たぶん簡単に首にされる。そうなると生活に困るから労働者自身が自分の被曝量を値切る、正確に申告しないという状況がすでに生じている。」
小沢「ああ、隠して…」
小出「自分で隠す。」
小出「下請け企業が労働者に隠せと命令して、たとえば線量計に鉛のカバーをつけさせたというようなことももう起っている。作業員がやめさせられると会社として仕事の受注ができなくなるから。しかし、それより深刻なのは労働者が自分から被曝を隠さないと生活ができないということ。」
小出「それにしても大変な被曝作業でどんどん今被曝の量が増えている。作業員も足りなくなるから、これから被曝量隠しもどんどん増えるだろう。小沢さんを始め、政治の現場にいる人がそれを隠すことがないように、またそういう作業を行う労働者の生活をどう守るかを考えていただきたい。」
小沢「被曝労働者が仕事できなくなる年限を補償してやらなければならない」
小出「そうです。もともとは5年間に100ミリレム、100ミリシーベルトだが、もし10日でおわったら、のこりの4年と355日は仕事ができない」
小沢「なるほど」
小沢「最終的には巨大な石棺であそこの放射能を封鎖する以外ないと。ただ、その前提として使用済み核燃料をより安全な所に移し替えなければならないということ?」
小出「そういう順番なので、使用済み核燃料を取り出すのに10年かかると思っているし、それから溶け落ちた炉心をどうするかという検討が始まって、東電や国がいうようにそれをつかみ出すということは不可能だと思うので、全部石棺で固める以外ないと思う。」
小出「その石棺が完成するまで、たぶん私も小沢さんも生きていない、そういう年月がかかる。」
小沢「それでもやらなければならない」
小出「そう」
小沢「何となく、漠然と、大変な危険だと思っていたものが、今日先生のお話を聞いて余計はっきりわかりました。」
小出「ありがとうございます。政治の現場にいる方にちゃんと分かって欲しいと願っているが、安倍さんなんかは全然分かっていないようで、困ったことだと思っています」
小沢「本当に困りましたね。…いやぁ…(ため息) ドイツでの話だが、あれだけの事故を起こした日本人が何考えてるんだと言われる。」
小出「当然そうでしょう」
小沢「よく平気でいるなという感じだった」
小出「当の、事故を起こした国が…」
小沢「それがもう終ったみたいなことを言っている」
小出「事故は収束した。これからまた原子力だ。そうしないと経済が持たないというようなことを平然と言う人たちが国の中枢にいる。」
小沢「恐ろしいことだ」
小出「大変恐ろしいと思う」
小沢「いや、本当にありがとうございました。僕はいま、しがない野党の立場だが、なんとかして日本の将来、人類の将来の問題なので、何とかして先生のお話を参考にして実現できるように死ぬまでがんばって行きたい。よろしくお願いします。」
以上、京大原子炉研究所で行なわれた小出裕章助教と小沢一郎氏の対談 http://bit.ly/18F67x8 のツダリでした。
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2013.05.31 小出さんとの対談終えてインタビュー小沢さん
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