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2013/6/1 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
まったくふざけた話だ。国会議員の仕事をどう考えているのか。
6月26日の会期末までまだ1カ月も残っているというのに、すでに国会は“夏休み”に突入している。「俺もサボるわ」と欠席者が続出し、国会はガラガラなのだ。5月29日の参院本会議は41人が採決を欠席。27日も42人が欠席、24日は37人、22日は40人……と、連日、欠席者が相次いでいる。自民党議員があまりに多くサボったために、参院の法務委員会は定数に満たず、散会になってしまった。
国会にも顔を出さず、議員は何をやっているのか。選挙運動である。
「小選挙区制になってから、肝心の政策を党まかせにし、頭にあるのは選挙のことだけという議員が増えています。地元に張りついたままの議員も少なくない。2カ月後に参院選が迫っているため、ますます国会をそっちのけにして選挙活動にウツツを抜かしているのでしょう。国会がガラ〜ンとしているのは、そのためです」(政治評論家・有馬晴海氏)
しかし、日本の国会議員には世界一高い歳費が支払われているのに、仕事をしないなんて許されるのか。給料だけでも年間2100万円が払われ、使途を問わない1200万円の「文書通信費」も支給されている。ほかに1人当たり4500万円の「政党助成金」、780万円の「立法事務費」が税金から交付されている。
さらに、公設秘書3人分の給与も国費負担だ。豪華な議員宿舎、JRパス、公用車……と、あれやこれや合わせると、1人の国会議員にざっと年間2億円もの税金がつぎ込まれているのだ。
なのに、自民党の若い衆院議員などは、病気を理由に衆院本会議を欠席しながら、地元の愛知県に新幹線で戻り、元気ハツラツ、地元企業をせっせと回っているのだから、国民をナメるにも程がある。働きもしないこんなヤツらに毎年毎年2億円も血税が使われているなんて冗談じゃない。税金返せだ。
◆安倍独裁をカムフラージュする狙い
最悪なのは、選挙のことしか考えていない国会議員を尻目に、安倍首相が立ち上げた「有識者会議」なるものが、次々に重要政策を決定していることだ。
民主主義の日本は、選挙で選ばれた国会議員が国会で議論を重ねてモノを決めていくのが本来の姿のはず。ところが、経済も、教育も、社会保障も、何もかも「有識者会議」が決める異常事態になっている。
たとえば、安倍首相がアベノミクスの“3本目の矢”と位置付ける「成長戦略」も、あの竹中平蔵や楽天の三木谷浩史社長がメンバーを務める「産業競争力会議」が決定する。
「日本の最重要課題」と強調する教育問題は、ウルトラ右翼の八木秀次高崎大教授がメンバーになっている「教育再生実行会議」が、「安倍内閣の一丁目一番地」とうたう規制緩和は、住友商事の岡素之相談役が議長を務める「規制改革会議」が決めるといった具合だ。
もちろん、法律にする時は、国会で採決しなくてはならないが、本会議がガラガラなのを見れば分かるように、多くの国会議員は政策に関心もなく、国会審議は形骸化している。「有識者会議」が決定した内容が、そのまま政策になるシステムである。
しかし、選挙で選ばれたわけでもない民間人が、国民生活に関わる重要政策を次々に決めるなんて、どう考えても異常だ。しかも、国民生活を破壊した竹中平蔵のような男が中身を決めるなんて狂っている。
「一見、有識者会議は、専門家が集まって侃(かん)々(かん)諤(がく)々(がく)議論し、結論を得たかのように見えますが、実際には最初から結論は決まっている。首相がメンバーを選んでいるのだから、当たり前です。安倍政権の有識者会議のメンバーを見ても、首相に近い民間人が圧倒的。要するに有識者会議は、首相のやりたい政策に“大義名分”と“お墨付き”を与えてやる機関なのです。首相にとっては、独裁をカムフラージュする格好の存在になっています」(政治評論家・山口朝雄氏)
国民が選んだ国会議員は、選挙運動以外は何もせず、安倍首相と首相が選んだ一握りのブレーンがすべてを決めるなんて、この国は、本当に民主国家なのか。これじゃ北朝鮮と変わらない。
◆ただの民間人が国民の運命を決める異常
このまま「有識者会議」がすべてを決定する政治をつづけさせたら、国民生活はグチャグチャにされてしまう。すでに「有識者会議」は、とんでもない政策を次々に打ち上げ始めている。さっそく竹中平蔵が幅を利かしている「規制改革会議」は、サラリーマンを簡単に解雇できるようにする「限定正社員制度」や、格差を拡大させる「派遣制度の拡大」を打ち出している。国会議員でもない竹中平蔵に、労働者を苦しめる権利があるのか。
そもそも、世間知らずの学者やカネ儲けしか考えていない財界人に、国民のためになる政策を打ち出せるはずがない。実際、安倍首相が選んだ有識者とやらは、役立たずの無能力者ばかりだ。
南海トラフについて検討していた内閣府の「有識者会議」は、さんざん議論した揚げ句、結論は「地震の予知は困難である」というのだから、国民からしたら「はぁ?」ではないか。「予知は困難」という答えなら、シロウトにだってできる。
少子化問題を考える有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」は、妊娠適齢期などの情報を盛り込んだ「女性手帳」を配ることを決めたが、女子高生にまで「いらないなぁ。手帳で解決する問題じゃないと思う」とバカにされ、配布を撤回する始末だ。
この程度のオツムしかない有識者に国の重大事を決められたら、日本は破滅へ一直線である。
「首相と近い特定の学者や財界人が、経済政策や教育、社会政策を決めるなんて、とても民主主義国家とは呼べない。必ず、癒着が生まれるし、偏った政策になる。このままでは、安倍首相の暴走を許すだけです。おかしいのは、大新聞テレビですよ。メディアだって、国会議員は選挙しか頭になく、有識者会議が政策を決める政治の異様さは分かっているはず。なのに、問題にもしない。日本は何もかも狂い始めています」(政治評論家・本澤二郎氏)
アベノミクスに浮かれている国民は、安倍内閣に70%もの支持率を与えている。しかし、このまま突き進んだら庶民生活がどうなるか。よく考えるべきだ。
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