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日本外国特派員協会で開かれた記者会見が終わり、退出する橋下徹・大阪市長=東京都千代田区で2013年5月27日、西本勝撮影
http://mainichi.jp/feature/news/20130531dde012010074000c.html
毎日新聞 2013年05月31日 東京夕刊
橋下徹氏は、政治家として一体何がしたいのだろうか−−。橋下日本維新の会共同代表(大阪市長)による従軍慰安婦に関する発言から騒動が延々続いている。慰安婦発言は依然撤回されないまま、橋下氏は市長選で信を問う作戦までちらつかせた。一連の騒動から見えてくるものは一体何か。
「橋下さんの本気度を示せた。維新にとって間違いなく追い風だ」。維新のある衆院議員はそう息巻いた。
一連の慰安婦発言で支持率が急落し、窮地に追い詰められた維新。30日に大阪市議会で問責決議が可決されそうになると出直し市長選を示唆して先制。お得意のけんか手法で議会を揺さぶり、公明党を離反させて決議を否決に追い込んだ。同日夜、報道陣に平然とした顔で、出直し市長選は「しない」と明言した。
この維新議員は「本気度が低い市議会に対し、橋下さんは、政治家の立場はいつでもすてられる、それほど本気で取り組んでいるという姿勢を見せることができた」と語った。
はたして本当にそうか。
現状を整理しよう。橋下氏は沖縄県の在日米軍司令官に風俗業活用を求めた件については「誤解を招く不適切な発言」として撤回、謝罪した。しかし従軍慰安婦「必要」発言は「『私が』容認していると誤報された」と持論を繰り返し、撤回していない。
そもそも風俗発言は、1日に橋下氏と維新議員ら約30人が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を視察し、ジェームス・フリン司令官から説明を受けた際のものだ。沖縄の政党そうぞう代表の下地幹郎・前衆院議員はその場に同席していた。「橋下氏から、自分は日米同盟を推進する立場だが、事件事故が多すぎると同盟が危うくなる、あなた方の対応はどうかと聞いたのです」。司令官は「ジョギングとフィットネス」と2度答えた。「橋下氏は『あなた方は性的な事件事故を起こしている。だから具体的な対策をどうしているのかと聞いている』と言って、例えばという話で、法にのっとった風俗(活用)という話をしちゃった。司令官は凍り付いた表情だった」
この発言内容は橋下氏自ら13日午後、明らかにした。「彼の認識では、風俗の話よりも自分は綱紀粛正を強く言ったという意識が強いから、軽く(発言内容を)言ってしまったのではないかと思う」と下地氏。一連の問題の背景には、人権感覚を巡る橋下氏と米軍、世論との大きなギャップがある。
橋下氏の苦境が決定的になったのは、24日に予定されていた元従軍慰安婦の女性2人との面談を断られたことだ。
「面談するか、断るか。結論が出たのは前日深夜でした」と話すのは元慰安婦を支援する「日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」の奥田和浩共同代表だ。発言を撤回しない橋下氏と会うのはつらいという元慰安婦2人。一方支援者は、発言撤回を迫るために行きたいと思っていた。
昨夏、元慰安婦は橋下氏から面談を断られ、今年4月に再び面談を申し入れた。大阪市役所担当者に何度問い合わせても「検討中」との返事だったが、橋下氏の発言後「元慰安婦2人と面談する」と一転。批判が高まると、通訳を入れて5人、支援者を含めて10人でもいい、と譲歩してきた。
「しだいに、橋下氏は面談を落としどころにしようと考えた上で慰安婦発言をしたのでは、と疑いを持つようになりました。橋下市長が高齢のおばあちゃん2人の手を取って涙を流し、謝罪する映像が世界に流れたらと思うと我慢ができなくなった」(奥田さん)
政治ショーが得意な橋下氏への不信感が、中止を決断させた。
27日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で海外メディアを前に橋下氏は会見した。
イタリア人記者 「女性の尊厳を尊重するという発言があった。橋下市長は大阪の飛田の組合……売春組織といっていいのか……の顧問弁護士だったと批判されている。売春は違法だが、どう自身を納得させているのか」
橋下氏 「かつて顧問弁護士だったことは事実です。飛田の組合という料理組合の顧問弁護士です。日本において違法なことがあれば、捜査機関が適正に処罰をします。料理組合自体は違法でもありません」
日本人記者 「飛田は、お金を払えば買春できることは大阪のちょっとませた中学生なら誰でも知っています。中学生が聞いていて『橋下さん、ウソついてはるわ』と思うような詭弁(きべん)を弄(ろう)して一人の政治家として恥ずかしいと思いませんか」
橋下氏 「違法なことがあれば捜査機関によって処罰されます。以上です」
失笑がもれたのはその時だ。これまで既成政党や行政などを「本音」で痛烈に批判して人気を集めてきた橋下氏が、「建前」で保身に転じる姿があらわになった。
会見終了後、橋下氏に同行していた中田宏国会議員団政調会長代理は「これからまだまだ尾を引く議論になるだろうと思います。既に参院選への影響は大きく出ている」と険しい表情で語った。起死回生は果たせなかった。
◇問責回避で逆襲するが…
それにしても、疑問が残る。橋下氏はこれまで「ふわっとした民意」を巧みにつかみ、支持を得てきた。しかし、今回、なぜ自身の本音と世論のギャップに気付かなかったのか。
維新の会の馬場伸幸衆院議員は「彼は同和問題、朝鮮人学校の補助金の問題など、タブーに挑戦してきた。その姿勢が高い支持につながった。だが戦争に関する問題は、そもそも戦争を知らない世代が戦時を語るという点で、理解を得るのが難しい。最初にもう少し丁寧に説明すればよかった」と悔やむ。別の維新議員は「自民との対立軸を作りたくても違いをうまく打ち出せていない。足元の大阪市では、大阪都構想の象徴だった府市の水道事業統合案が市議会で否決された。思うように進まない状況に、橋下さんはストレスを抱えているのでは。これまで成功してきた本音をぶちまける戦略だったかもしれないが、勘所を外してしまった」と語る。
橋下発言以降、維新の議員から問題発言が続いた。西村真悟衆院議員は「日本には韓国人の売春婦がうようよいる」などと発言、除名処分に。中山成彬衆院議員はツイッターで元慰安婦との面談中止について「(元慰安婦の)化けの皮が剥がれるところだったのに残念」と述べた。まるで橋下氏の本音が、所属議員らの本音を次々と引き出したかのようだ。
来月予定されている都議選に維新は35人を公認している。25日、都内での維新支持者の決起集会は200席が準備されたが、参加は約40人。公認候補も15人しか出席しなかった。その一人がぼやく。「選挙ポスターを張らせてくれた人が『はがしたい』と言ってきた。橋下さんの発言内容には共感するけれど、都議選への影響は避けられない」。相次ぐ“共感”発言は、党全体が価値観を共有しているかのようにも受け取れる。
脱原発、エネルギー政策を提言してきた大阪府市特別顧問、古賀茂明さんは「これまで論議を呼んだ都構想や教育条例とは次元が異なる」という。「今回は政策ではなく、人としての倫理的な価値観が問われています。一般的には『男の性欲のために風俗を使うのは倫理上善ではない』が、彼の発言などからは『男の性欲はコントロールできない。法律で認められている範囲で性風俗を活用してどこが悪い』という考えが読み取れる。政策は修正できるが、価値観や倫理観は難しい。いくらいい政策を出しても、疑いの目で見られてしまう。だからダメージは非常に大きいと思います」と話す。
また問責決議を巡る騒動について「橋下さんは出直し選挙をして『みそぎが済みました、有権者の審判を仰ぎました』という形を作りたかったのでしょう」と真意をそんたくする。「市長選というものは橋下さんの発言の善悪を問うものではありません。市政の課題を有権者に問うものです。市政を人質にとって自分の政治生命に道を開くようなやり方は、市政の私物化でしかない」と厳しく指摘する。
市議会との政治的な駆け引きがいくら巧みで、一時的に注目されても、信頼回復は別の問題だ。【浦松丈二、江畑佳明】
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◇従軍慰安婦などを巡る橋下氏の発言
・「銃弾が飛び交う中で命をかけて走っていく時に、精神的に高ぶっている猛者集団に休息をさせてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰でも分かる」(13日午前、記者団に→撤回せず)
・「普天間飛行場に行った時、『もっと風俗業を活用してほしい』と言ったら、米海兵隊司令官は『米軍では禁止している』と。そういうものを真正面から活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的なエネルギーはコントロールできない」(13日午後、記者団に→表現の問題として撤回)
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