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2013/5/31 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
安倍首相が「骨太の方針」を復活させる。小泉元首相が竹中平蔵大臣(当時)と一緒に「聖域なき構造改革」を謳(うた)って、官邸主導で経済財政政策の大ワクを決めたアレである。
民主党政権ではやらなかったから4年ぶりの復活になるが、6月中旬のとりまとめを前に今月28日の経済財政諮問会議で示された目次案を見たら、驚くほど中身はスカスカだった。「デフレ脱却の方策」「成長戦略」「財政健全化」の3章立てで、〈グローバル化を活かした成長と豊かな国民生活の実現〉〈持続可能性を重視した中長期投資の推進等〉〈地方分権改革の推進等〉などという項目が並ぶ。
総花的で、抽象的で、目新しさなし。単なる言葉の羅列で、これが骨太とはよく言うよだ。だいたい、自分で「骨太」なんて宣伝しているところが噴飯モノだ。小泉時代もそうだったが、仰々しい言い回しは、中身のなさの裏返しだ。どんな「改革」をやるのかと思ったら、歳出カットで格差を拡大させただけだった。規制緩和で大企業と米国を喜ばせるだけの怪しい中身だったのは記憶に新しいが、今度の「骨太」も同じだ。政府が「骨太」だとか「成長戦略」だとか大げさな言い回しをする時は、必ずマユにツバをつけた方がいいのである。
◆怪しい政策と数値目標のオンパレード
実際、骨太うんぬん以前にアベノミクスはグチャグチャだ。すでに金融緩和という「第1の矢」は長期金利の上昇を招き、「第2の矢」の20兆円の財政出動が国債暴落危機に拍車をかけた。頼みの株価も一気にはじけ、ジェットコースター相場だ。輸入インフレと住宅ローン金利上昇で、庶民にいいことはひとつもない。もちろん、賃金も上がらず、アベクロの景気回復シナリオは完全に狂ったのである。
そこに「第3の矢」を放ったところで、「もう遅いよ」なのだが、案の定、「成長戦略」もドッチラケだ。産業競争力会議の議論を見ていると「法人税減税特区」「解雇ルールの緩和」「派遣の拡大」など、大企業の利益優先=サラリーマンいじめ政策のオンパレードだ。こんなもので経済が成長するのか。企業は儲かっても個人消費はメタメタになる。日本経済は地盤沈下していくだけだ。それなのに、数値目標だけは大げさで、「長期失業者を5年で2割削減」「40代以下の若手農家を10年間で2倍の40万人増」「2030年の健康・医療分野の市場規模を現在の2・5倍の30兆円に拡大」「2020年に世界で30兆円のインフラ受注」などと列挙している。夢物語もいいところだ。
「大企業が喜ぶ政策をすれば経済が活性化するのか。とんでもない話です。それが安倍政権の目指す成長戦略なんです。これは産業競争力会議のメンバーを見ればよく分かる。大企業の経営者が揃って、労働者や地域の代表は誰も入っていない。そうした会議がTPPに代表されるような米国の対日要求を評価し、それこそが日本の成長戦略だと決めつけている。『女性の活用』『インフラ輸出3倍増』といった成長戦略のキーワードも聞こえがいい分、怪しい。空疎な言葉だけが独り歩きし、全体の中身のなさを見えにくくしているのです。いかにも安倍政権がやりそうなインチキPR作戦です」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)
結局、「骨太の方針」にしろ「成長戦略」にしろ、詐欺師の口上みたいなものではないか。
◆「国土強靭化」「攻めの農林水産業」で壮大なバラマキ
これじゃあ、景気回復なんて夢のまた夢だが、許し難いのは、そうやって、イカサマ景気対策で庶民をけむに巻く一方で、自民党政権はしっかり利権を握ろうとしていることだ。つまり、昔の悪政、土建国家に逆戻り。これがあからさまなのである。
安倍が出す「骨太」には〈国土強靭化〉と〈攻めの農林水産業〉の文字が盛り込まれている。国土強靭化は10年で200兆円とかブチ上げていた一大公共事業のことで、攻めの農林水産業とはもちろん補助金の拡大である。TPP反対の農村選出の自民党議員は、すでに「輸出補助金制度を作れ」「土地改良費の全額を国でまかなえ」などと言い出している。これから壮大なバラマキが始まるのだ。
「まだ昔の自民党の公共事業の方がマシでした。インフラ整備が遅れている地方のために、必要な道路や新幹線をつくった。物流網が整備され、それなりに地方の経済活性化につながった。しかし、いまの国土強靭化は何をしたいのか全く分かりません。野党時代の昨年の衆院選前に自民党は『国土強靭化法案』を議員立法で出しました。大げさな文言が並んでいましたが、今年5月に改めて出し直した法案には具体性がない。防災・減災といっても、首都直下地震や南海トラフ地震は『予知不能』。だから対策の作りようがないのです。それなのに10年間に毎年20兆円を使うという。これは現在の公共事業予算5兆円の4倍です。最初にお金ありきで、復興予算が被災地以外に回ったように、使い道に苦労するようなことになりかねません」(法大教授・五十嵐敬喜氏=公共事業)
◆票と献金が見返りのゾンビ政治が復活
自民党が公共事業と農業予算拡大に躍起になるのは、参院選対策もある。4月に自民党本部で開かれた「国土強靭化」のPR本の出版記念会にはゼネコンなど業界関係者約700人が詰め掛け、旗振り役の二階俊博総務会長代行は「バラマキ批判にはめげない」とコーフンしていた。1人区で全勝を狙う自民党にとって、全国の農業票が重要なのは言うまでもない。だからバラマキなのだが、そうやって参院選で自民党が大勝すれば、ゼネコンや農協など業界団体は「もっと予算をよこせ」と言い出す。「俺たちが勝たせてやった」というワケだ。間違いなくバラマキは加速する。業界団体に予算を付け、見返りとして票と献金をもらう古い自民党の政治スタイルがゾンビのようによみがえるのだ。
その時の、バラマキの原資は、もちろん増税だ。
「労働者は賃金が上がらないばかりか、消費税がアップし、社会保障は削られる。大企業や金持ち、業界団体の繁栄が第一の安倍政治では、国民生活はますます苦しく、貧しくなるばかりです」(立正大教授・金子勝氏=憲法)
政治家や官僚が税金を浪費した結果、国家財政が破綻し、国民を困窮に陥れたのがギリシャだった。国債マーケットがこれだけ不安定化しているのに、バラマキを続ける安倍政権を見ていると、この国も同じ道をたどるのは確実だ。
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