http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/601.html
Tweet |
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/0ce1b415a449eab463cb3f18efd6e866
2013年05月31日 世相を斬る あいば達也
昨日の痛快ニュースは、何と言っても「日経平均737円安」である(笑)。盤石な底値14000円をあっさり割り込んだ。アナリストたちは、調整局面を突破した後、再騰などとお茶を濁しているが、内心ビクビクものである。安倍晋三も、黒田も、浜田も、甘利もビクビクである(笑)。菅官房長官は「株価は調整がないとオカシイ」等と発言しているが、その通り“下方調整”しているのだ。
橋下徹も、大阪が戦場となると嫌に頭が冴えるようだ。議会の問責決議案成立の危機に際し、松井の口から“出直し市長選”を臭わすことで、公明党に堪らず白旗を挙げさせた辺りは、どっこい橋下は生きていると云う風情だ。記者の「出直し市長選という言葉を出したのは、勝算があってのことだったのか」との質問に「ぼくは、一言も公には言ってません」としらばっくれる。やはり、大阪には独特の文化が息づいている証拠なのだろう。しかし、中央に出てくると、嫌に橋下がくすんで見えるのは、どういうわけだろう。まぁいずれにせよ、一矢報いたわけだが、大勢に影響なしと言える。今夜は、面白いインタビューを見つけたので、皆様とシェア―しようと以下に紹介しておく。
≪ 『第四権力 スキャンダラス・テレビジョン』著者・高杉良氏インタビュー
「日本のテレビの劣化は、日本全体の劣化をそのまま反映しているので す」
■独身テレビマンと美貌の元女子アナのコンビ
---この作品の舞台は、1980年代に画期的なニュース番組「ニュースショー」を成功させて急成長した「テレビ東日」というテレビ局。親会社「東日新聞社」からの天下りではない初めてのプロパー社長の座を巡る暗闘、そして、組織内のさまざまな問題が描かれていきます。高杉さんはなぜ今回、テレビ局を小説 の舞台に選んだのですか?
一昨年の秋、佐高信さん(評論家)と週刊現代編集長と3人で食事をしたんです。そのとき、佐高さんが突然、「高杉さん、テレビを舞台にした小説を書いたらどう?」と言い出して、ずいぶん盛り上がったんですね。
編集長からは「テレビがテーマなら、うちの連載小説にぴったりですね」と言ってもらい、佐高さんからはさらに「内情を暴くのがタブーとされているテレビ業界だから、これは面白くなる。高杉さんしか書けないよ」などと煽られた。僕も気持ち良く酔っぱらっていたこともあり、「よし、やろう」となったわけです(笑)。
そうやって週刊現代で連載が始まり、毎週、10ヵ月ほど書き続けました。それをまとめて大幅な加筆修正を行い、一冊の小説にしました。
最初、僕がテレビ局の内情を書くと聞いて、付き合いのある新聞社の人たちがギョッとしたような表情をしていたのをよく覚えています。系列の局の内情を書かれると思ったのかもしれません。もちろん、巨大な影響力を持つメディアの話ですから、僕も書きながら緊張感がありました。
---高杉さんには大手新聞社を舞台にした長編小説がありますが、テレビメディアについては、どんな印象を持っていたのですか。
「テレビ番組は全体的に劣化しているなぁ」と思っていました。世代的な感覚もあるかもしれませんが、僕にとって、見たいと思う番組がほとんどないんで す。ニュースは見ていますが、あとはBSで古い映画を見たりしているくらい。
実際、どこの局も、似たようなタレントが出る、似たようなバラエティ番組ばかりやっているでしょう。「こんなつまらない番組が溢れているようでは、日本の民度はどんどん下がっていくのではないか」という心配がありました。その昔、大宅壮一がのたまった「一億総白痴化」は核心を衝いていたのかもしれませんよ。
テレビばかり、それも中身のない番組ばかり見ていて、民度が上がるはずもありませんから。そういう意味で、テレビの世界を描いた本書を読んで、活字の物語の面白さに気づいてくれたら、ちょっと皮肉な感じもしますけど、著者としては本当に嬉しいです。
しかも、取材していくうちに、テレビ業界の人たちはかなり活字の世界にコンプレックスがある、ということにも気づきました。これは面白い発見でした。
---主人公の藤井靖夫は東日テレビの経営企画部に所属し、45歳、独身。その藤井と連携して動く広報局長の堤杏子は、かつて美人女子アナウンサーとして活躍し、今も美貌は衰えていない。この2人の人物造形が魅力的ですね。
まず、読む人に、テレビ局とはこういうところだ、ということを知ってほしかったんですね。抱えている問題も併せて。
となると、現場を知っていて、今は管理部門に移っているテレビマンを物語の軸に据えるのが、一番わかりやすくなると思いました。それで、藤井を主人公にしたんです。あとは、テレビといえば、やっぱりスターはアナウンサーですから、人気の女子アナ出身で知性的な杏子を登場させ、藤井とコンビを組ませることにしました。
企業小説にもエンターテインメントの側面が求められますから、面白くなければいけない。しかも、出版社系の週刊誌の連載だったので、少し柔らかく書いた方がいいという思いもありました。
それで、色っぽい場面もそれなりに書いたんですが、「高杉さんの作品の中で、今回の『第四権力』はいちばん濡れ場が多いんじゃないか」なんて声が聞こえてきたりもしまして、実は書籍にするとき、そういうシーンを一つ減らしたんです(笑)。
■言葉遣いが乱暴で、ゴマすりが横行する世界
---本の帯には「テレビ局は醜聞まみれ」と大きな文字が躍り、「不倫」「セクハラ・パワハラ」「下請けイジメ」「不正な報酬」「黒い交際」「品性下劣」・・・など強烈な言葉が並んでいます。
書くに当たって、テレビ局の内部事情を徹底的に取材しました。僕は。「起こりそうにない話」は書きたくないんです。小説にはリアリティが大切ですから。だから、かなりの数のテレビ関係者から膨大な話を聞きました。
でも最初は、そう簡単には喋ってくれないだろうと思っていたんです。組織内の権力闘争や汚い部分についても聞かれるとなれば、当然、口は堅くなるだろう、と。
ところが、テレビ関係者というのは本当によく喋りますね。皆さん、いろいろなことを、それはもう詳しく細かく教えてくれました(笑)。すでに辞めている人たちも、現役の人たちも。
僕にも、長年培った取材のテクニックがあります。「こんなことも知らないんですか」なんてちょっと挑発して、カッカさせて喋らせたり、お酒を勧めたり・・・。そんな風にしていくと、みんな、舌が滑らかになる。
僕の方も、きわどい話になると、相手の目の前でメモを取ったりはしません。警戒されて黙られては元も子もありませんから。そういうときは、相槌を打ちながら必死で記憶し、あとで思い出してノートに書くんです。
タブーだと考えていたことが、意外とテレビ界の人にとってはタブーでないことがわかったり、「うちのトップはひどいものです。ぜひ書いてください」と訴えてくる人がいたりと、取材は非常に興味深いものになりました。「こんなに腐敗したままでいいのか」「自浄作用のない組織でいいのか」という思いがテレビ関係者にもあったということでしょう。
でも、他の業界の人たちと比べて、彼らは概して脇が甘い。その方が、僕にとっては都合がいいんですけど(笑)。
ただ、聞いたけれどもあえて書かなかった大きな話もあります。同じスキャンダルにしても、作者の僕が陰々滅々としたり、読者もつらくなったりするようなことは書きたくないんです。テレビの良い部分の話も盛り込みたい、という気持ちがありましたから。
---取材を進めていて、改めてテレビの世界についての発見はありましたか。
他の一般的な企業と比べると、印象はやはり違いますね。端的に言うと、まずテレビの世界の言葉遣いは乱暴です。
例えば、社内で上司と会話するとき、「俺」という一人称を使ったりする。実際、テレビドラマで、若手社員が上司に向かって「俺がやります」なんて言ってる場面がありますけど、あれはドラマを作る側がいつも「俺」を使っているからでしょう。でも、普通、会社組織の中で、そんな言葉遣いは決してしませんよね。
言葉遣いだけでなく、テレビの世界は何事にも非常にラフというか、きちんとしていないですね。組織としても遅れています。 テレビ業界は世の中の最先端にいるようなイメージがありますが、実は他の業界より旧態依然たる仕組みが多く残っている。だからセクハラやパワハラ、下請けいじめ、黒い交際などがはびこるのでしょう。その辺は、本書では抑えて書きましたが、実態はもっとひどいものです。
---派手な印象のあるテレビの世界ですが、実際には経営的に厳しくなっていて、リストラも行われていると報じられています。
「テレビ局員の給料は高すぎるんじゃないか」という声は前から聞いていましたが、これも想像以上でした。でも、中には、大胆に給与カットに取り組んでいる局もあります。これが予想した以上のスケールの削減で、きちんとした経営者がいればこんなこともできるのか、と思いました。
一方で、ピンチに追い込まれているのに、改革にほとんど手をつけていないテレビ局もある。本業は赤字なのに、です。経営者に問題があると批判されてもやむを得ないでしょう。そんなトップが居座っていると、一般社員のモチベーションが下がってしまいます。
あと、経営者の"長期独裁政権"が多いせいもあるのでしょうが、他の業界の会社と比べて、テレビ局では"ゴマすり"がものすごく横行しているという印象を持ちました。
■キー局の合併を含めた業界大再編もある
---テレビの視聴率至上主義についても批判的に触れていますね。
テレビ局が視聴率に一喜一憂する様子は、本当に凄まじいです。取材のとき、「小説の書き出しは、社長が部長に『昨日の視聴率はどうだったんだ?』 と尋ねるシーンから始めた方がいいよ」とアドバイスしてくれた人もいたくらいで・・・。巨大な業界全体が、本当に視聴率の数字一つに振り回されているかのようです。
何かの社会的な問題提起をするなど、良質の番組を作れば、少しくらい視聴率は低くても世間では評価されると思うんですけどね。なのに、どうしてあんなに、似たようなバラエティ番組ばかりになってしまうのか。やはり、視聴率を取るためにはなりふり構わない、社会的な意義やオリジナリティなど二の次、 という業界の体質なんでしょう。
その陰で、犠牲になっているのが番組を作っている制作会社です。今回、制作会社の人たちにもすいぶん取材しましたが、彼らは気の毒ですよ。給料は安いし、その中でテレビ局に酷使され、虐げられている。「なるべく低予算で、なるべく高視聴率を取れる番組を作れ」という局の方針があるからです。
でも、テレビ局はいい気になってはいけない。制作会社が潰れてしまったら、誰が番組を作るのか。制作会社の人たちを、これ以上、ブラック企業的に酷使してはならないと思います。
---本書には「キー局同士の合併もありうる」といった大胆な予想も出てきて、驚かされました。
これも、取材していく中で複数の関係者から聞いた話です。ここまで大胆なことを、僕自身が思いつけるはずがない(笑)。 もともと以前から、「テレビ局の数が多すぎるのではないか」といった問題意識は業界にあったようです。「経営状態がいい局と、良質な番組作りがうまい局が一緒になったらどうか」なんて話も出て、かなり突き詰めた議論になったこともあると聞きました。いずれテレビ業界に大々的な再編成があっても、僕は驚きません。
---テレビ業界にいる人は、わずか10万人だけなんですね。それが数千万人単位の視聴者に影響を与えている、という指摘にも考えさせられました。
恐ろしい話です。日本の政治も社会も、たった10万人に振り回されているわけですから・・・。そんな巨大な影響力を持っているからこそ、番組の質を向上させることをもっと真剣に考えてもらわなければならない、と僕は思います。
本書では、視聴率至上主義も含めて、テレビの世界の人たちに「現状のままでいいんですか?」という問題提起もしたつもりです。テレビ業界の良識的な人たちに届いてほしいと思います。もちろん、一般読者に対し、「テレビというのは、本当はこんな姿なんですよ。知っていましたか? これでいいと思いますか?」と問いかける意図もありました。
本当は、テレビに問題があるといっても、テレビだけに責任があるわけではありません。質の低い番組でも高い視聴率が取れるのは、その番組を多くの日本人が見ているからでしょう。日本のテレビの劣化は、日本全体の劣化をそのまま反映しているのです。そのことに、国民はもっと危機感を持たなければならないと思います。
テレビだけでなく、メディア全体の検証力がどんどん落ちています。書名にもしましたが、立法、行政、司法に続く「第四権力」でありながら、力が衰えているんです。これは、日本にとって憂うべきことです。
新聞記事にしても、聞きっ放しで事実関係の確認もせずに書いているようなものが増えていますね。それで、あとでクレームが来て、バレてしまう。
しかも日本のメディアは、自らの間違いを訂正するのを本当に嫌がります。でも、ミスなんて誰にでもあるんだから、間違えたと思えばさっさと訂正すればいいのに、それもしない。何を考えているんでしょうね。
---70歳を過ぎても、高杉さんの創作意欲は一向に衰えません。その旺盛なパワーは、どこから生まれてくるのですか。
まぁ、74歳になって、こんなに人と会って取材して書くという"力仕事"をやっているのは、僕くらいかもしれません(笑)。
好奇心が強いんです。ニュースを見たり、人の話を聞いたりするたびに、「これは何なんだろう?」「ちょっとおかしくないか?」といった具合に、いろんなことが気になるんですよ。それで調べていくと、さまざまなことがわかってくる。
まぁ、普通はもうあまり書かなくてもいい年代なんでしょうけど、まだまだ書きたいことはたくさんあります。僕に枯れてほしいと思っている人もいるかもしれませんが、まだ枯れそうにありませんね(笑)。取材・文/上阪徹 ≫(現代ビジネス:メディアと教養・この著者に聞け)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK148掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。