http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/558.html
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産経新聞は“右”から、朝日新聞や天木氏は“左”から、教科書記述問題についてあれこれ論じているが、あまりに表面的な考察で驚く。
表面的な見方があまりにはびこっているので、最近、次のような身も蓋もない日本政治にまつわる「陰謀論」を投稿した。
「「戦後レジームからの脱却」を叫ぶ安倍氏こそ、日本を「戦後レジーム」に縛りつけたままにしている張本人」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/475.html
「小沢一郎氏は、安倍晋三氏とは別の役回りを演じ続ける“彼ら”のアセット」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/511.html
そのようなことを投稿した直後に、「この期に及んでも教科書検定で圧力をかけていた安倍自民党政権 (天木直人のブログ)」( http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/549.html )というまた新しい表面的な見方が発信された。
教科書検定に関する自民党の動きを報じた朝日新聞の記事をベースにした天木氏の批評である。
この問題は、安倍首相が、教科書の記述について、保守愛国から自虐史観に転向した事実を抑えておかなければ何も見えてこない。
朝日の記事で取り上げられている教科書検定の見直しを検討している自民党の部会のメンバーには真顔で自虐史観を脱したいと思っている人もいると推測しているが、その人は気づいてもいないだろうがたぶん支持しているはずの安倍氏とは政策が合わないのである。
自民党の部会は、セレモニーという側面もあるから、保守ないし愛国右派的な気分を抱く有権者へのアピールを行ったと考えることもでき、問題にすべきは、政府(安倍内閣)の教科書記述政策の実際である。
※ 参照投稿
「強まる自虐史観 集団自決「軍強制」、慰安婦「連行」 高校教科書検定:保守愛国から自虐史観に転向した安倍首相」
http://www.asyura2.com/13/senkyo145/msg/687.html
この投稿で、「強まる自虐史観」と産経新聞が嘆く“自虐史観”への舵取りは、安倍政権自身によって推進されていることを説明した。
「安倍首相が稀代のインチキ政治家であるのは、国内向けに保守愛国主義を気取りながら、陰でこそこそと外国に謝罪したり、今回の教科書検定のように、実際の政策は真逆であったりという醜態やデタラメを見せていることでわかる」とも書いた。
この投稿に対し、ある人から、「安倍内閣は、2012年12月26日に発足した。今日までで僅かに3ヶ月」、「つまり、「強まる自虐史観 集団自決「軍強制」、慰安婦「連行」 高校教科書検定」は、民主党政府の醜悪な遺産であることは、背景に何があるのか、少しでも考えることができるひとならわかるはずだ」という批判的なコメントを貰った。
この方は、教科書検定の仕組みをご存じないようなので、それが誤った見方であることをフォローアップ投稿で説明した。
詳細は、「コメント欄08.のTttb56fcFIさんへ:文科相の任命権者=内閣総理大臣は、望むなら、「自虐史観」表現を抑制できる存」( http://www.asyura2.com/13/senkyo145/msg/705.html )を参照していただきたい。
そのなかで、「教科書記述のベースは文科省が定めた学習指導要領、教科用図書検定基準などであり、検定も、まず、教科用図書検定調査審議会の委員によって行われますが、最終的な判断を行うのは、あくまでも文科省なのです。教科書検定は、文科省が、審議会の提言に沿って、ふさわしくない文言について再度検討するように出版社に伝えるもの」と説明した。
そして、「このような教科書検定の仕組みから、内閣総理大臣は、学習指導要領や教科用図書検定基準から逸脱するレベルで影響力を行使することはできませんが、“教科書の微妙な表現”についてなら、任命した文科相を通じて十分大きな影響力を行使できる」とも説明した。
末尾に添付したが、安倍氏が“反”自虐史観の立場であれば、教科書検定の制度に抵触することなく、「強まる自虐史観 集団自決「軍強制」、慰安婦「連行」」とならない表現にもっていけることを例証した。
口先だけの言動に惑わされるのでなく、安倍氏が、愛国者を装った奇妙でデタラメなリベラル派であることはしっかりおさえておいたほうがいい。
朝日新聞は、左(リベラル)から安倍氏を支えているメディアである。どういう意味かと言えば、保守ないし愛国的な人は、朝日新聞から非難されている政治家などを“味方”と錯覚するからである。
産経新聞もあり、朝日新聞もあり、自民党も共産党もいることで、日本の「戦後レジーム」はしっかり維持されているのである。
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【引用A】
「 平成18年度の検定では文科省が「日本軍が強いた」などと軍命令が読み取れる記述に初めて検定意見を付け、軍強制の記述がいったん削除・訂正されたが、沖縄県側が抗議の県民大会を開くなど強く反発。このため、文科省は訂正申請に応じ直接的な軍命令でなく住民が心理的に追い込まれたとの文意が含まれれば軍強制の記述を容認した。」
【コメントA】
この部分は、「沖縄県側が抗議の県民大会を開くなど強く反発」するような事態があれば、文科省の判断で教科書の表現を変えられる証しです。
【引用B】
「記事本文の続き 具体的には「強制的な状況」「強制集団死」といった記述が認められたが、今回の「強いられた」「命令」などは、直接的な軍命令とも受け取れる。文科省は集団自決へのとらえ方は前回と変わっていないとした上で「直接的な軍命令を表現したものではないと判断した」と説明している。」
【コメントB】
ものは言い様の好例で、「強いられた」・「命令」など、旧日本軍の直接的命令と受け取れる表現であっても、「集団自決へのとらえ方は前回と変わっていないとした上で「直接的な軍命令を表現したものではないと判断」と説明するだけで逃れることができるのです。
逆に、文科省(究極的には首相の指揮管理下)が、「強いられた」・「命令」といった表現を、軍強制の記述を削除・訂正するよう求めた前回の検定意見に照らして訂正させることも、これまた可能なのです。
【引用C】
「 日本による朝鮮半島統治時代の慰安婦については、日本史教科書9冊のうち8冊、政治・経済では7冊のうち6冊が記述した。
日本政府は19年3月に「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す資料はない」とする答弁書を閣議決定しているが、清水書院の日本史Aは、「日本軍に連行され、『軍』慰安婦にされる者もいた」と記述。現行版の「慰安婦として連行される者もいた」との表現から強めたが、これも検定意見は付かなかった。
文科省は「明確に強制連行されたとは受け取れない記述なので許容された」と説明している。」
【コメントC】
まず、前回の投稿で説明したように、07年(平成19年)の「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す資料はない」とする答弁書の該当部分は、そのすぐあとに開かれた参議院予算委員会で、安倍首相(当時)自らが否定しています。
ここではその問題は脇に置き、文科省の「明確に強制連行されたとは受け取れない記述なので許容された」という説明も、現行版の「慰安婦として連行される者もいた」との表現を「日本軍に連行され、『軍』慰安婦にされる者もいた」という記述に変えたことをもって、“強制連行されたと受け取れる記述なので修正を求めた”と説明しても、なんら不自然ではないでしょう。
ここまで読めば、Tttb56fcFIさんにも、「「強まる自虐史観 集団自決「軍強制」、慰安婦「連行」 高校教科書検定」は、民主党政府の醜悪な遺産である」とは言い切れないことはご理解いただけると思います。
なお、教科書検定は4年サイクルを基本として行われていますので、産経新聞や「反自虐史観派」が問題視している高校歴史教科書の次なる検定は、4年後ということになります。
昨年末の総選挙運動期間に、慰安婦問題に関する1993年の「河野官房長官談話」を見直すと声高に叫んだ安倍氏が“本気”で“信念を貫く人”なら、在任中のおそらく一度しかないであろう高等学校の歴史教科書検定という機会をムダにはしなかったはずです。
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