http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/511.html
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「生活の党」にはまったく期待していないが、小沢氏の面白いインタビューが投稿されているので、それに反応し、久々に小沢氏について書いてみたい。
※ 対象記事
「小沢一郎独占インタビュー 私が憲法改正に反対する理由 (週刊朝日)」
http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/505.html
週刊朝日のインタビュー記事のなかでもっとも注意を引いたのは、円安で儲けるのは「消費税も払わない輸出大企業だけ」という部分である。
「「戦後レジームからの脱却」を叫ぶ安倍氏こそ、日本を「戦後レジーム」に縛りつけたままにしている張本人」( http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/475.html )で、安倍氏をジャパンハンドラーの操り人形=鵜と書いたが、対米自立派と目されている小沢氏も、違った役回りの操り人形=鵜だと考えている。
(安倍氏を支持する人たちも、小沢氏を支持する人たちも、「戦後レジーム」に嵌った人たちという意味で同じだと考えている。別に、安倍氏や小沢氏が属する政党の候補者に投票することを悪いと言っているワケではなく、安倍氏や小沢氏がそのような存在だと理解しないまま熱狂的に支持している人たちへの違和感を示しているだけである。維新の会・自民党から共産党まですべてが「戦後レジーム」に寄り添った政治勢力であり、何らかのアセット性を内に秘めているのだから、小沢氏がそうであっても“無問題”と言える)
それを示唆する直近の例が、昨年夏から秋にかけて、同志50人以上が民主党から離党する状況をつくり、民主党を超える大敗北で小沢氏を慕う大勢の政治家を国政の舞台から放逐する結果をもたらしたことである。
これは、別に後講釈ではなく、渦中にも次のような投稿を行った。また、小沢氏を毛嫌いしているからこのようなことを言っているわけでもない。昨年末の総選挙では2票のうち1票を「生活の党」に投じている。
※ 関連投稿
「民主党主流派と自民党が揃って“大連立”に進む絶好機として仕掛けている小沢派大量離党を小沢支持者までが望む“異常事態”」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/898.html
「[政局の流れを読む]新党結成に向かう可能性もある小沢Gの“蹶起”は奏功するのか?:答えはNoである。」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/776.html
「[政局を読む]小沢支持者が政局に煽られて反小沢勢力のサポートをするという倒錯:自身が進めた政治改革の捕囚となった小沢氏」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/828.html
● 橋下氏への評価
インタビューのなかで、小沢氏は、橋下徹氏について、「統治の機構を変えるんだと、僕が20年前から言っていたのと同じ言葉を使ってしゃべり始めたんだね。官僚支配から政治主導に統治の機構を根本的に変える、という掛け声だった」ので期待していたというのが本音なら、ものごとを判断する力がないということになる。
● 憲法第九十六条先行改正問題
憲法第九十六条の先行改正問題は、先般投稿したように、保守主義(硬性憲法)を尊ぶのか、革新主義(軟性憲法)を良きものとするのかという違いであり、私は保守主義だが、国民(有権者)の判断に委ねればいいことだと思っている。どうこういっても、憲法第九十六条の改正を発議するためには、現在の憲法第九十六条の規定を充足させなければならない。
● 民主党政権問題
小沢氏は、ある意味力ずくで小選挙区制を持ち込んだことで、現在に至る日本の政治的混迷についてのA級戦犯だと思っている。
小沢氏には、「去年の暮れの総選挙では自民党の得票数は前回と変わらなかったのに、与党で3分の2の議席を取った。小選挙区制だからですが。国民は別に積極的な自民党支持ではないんです。だけど、民主党があまりにも期待はずれだったことと、それに代わる受け皿が結局できないままに選挙に突入しちゃったということでこうなってしまいました」といった評論家的コメントを出して貰いたくない。
後述するが、小沢氏自身も、小選挙区制が続く限り、「前回と変わらなかったのに、与党で3分の2の議席を取った」という事態はこれからも起きると語っている。
「民主党があまりにも期待はずれだったことと、それに代わる受け皿が結局できないままに選挙に突入しちゃった」も、聞きたくないコメントである。
民主党政権の失敗原因を問われた小沢氏は、他人事のように、「やはりまったく経験がなかったこと。だから、よくわからなかったのでしょう、国の仕組みや財政の状況や。だから役人の言うとおり、ウン、ウンという話になっちゃう。自分で何かやろうと思えば責任を取らなければいけないから、言うとおりになっちゃったということです」と答えている。
そして、予想される批判への言い訳として、「じゃあ、お前何してたんだと、こう言われるんですけども。僕は鳩山(由紀夫)さんから、「あなたはもう党務に専念して、政府の政策決定については干渉しないでください」と宣告されたから、まあしょうがない。だから別に逃げるわけでも何でもないけれども、僕は関与できない立場になっちゃって、「はい、党務をやります」ということになったわけです」と逃げている。
しかし、ガソリンの暫定税率撤廃を断念させたのは小沢幹事長である。議院内閣制である限り、形式はともかく、内実として与党と政権を切り分けることはできない。
そんな愚かなことを本気で志向すれば、ただでさえ多勢に無勢なのだから、「役人の言うとおり、ウン、ウンという話になっちゃう」のは当たり前である。
「まったく経験がなかったこと。だから、よくわからなかった」というのなら、なおのこと、党が一丸となって政権を支えなければならない。
民主党時代の小沢氏を悪意で解釈すれば、小沢氏は、自民党が主流ではない政権運営の“不可能性”を世に見せつけるために、民主党の政権運営を失敗させたと言える。
私自身は、野田政権の「消費税増税強行路線」を別にすれば、民主党の政権運営はそれまでの自民党政権と比較して、それほど酷いものとは言えないと判断している。
09年の総選挙で民主党を大勝利に導き、党幹事長として、初期民主党政権にも深く関わっていた小沢氏なら、もっときちんと民主党政権を評価しなければならない。
● 選挙及び政局について
現代政治のA級戦犯である小沢氏は、「僕は3年後には、絶対また政権交代になると思っています。そのために小選挙区制にしたんだから。得票率、得票数が変わらないのに3分の2取れるということは、小選挙区制だからです。4年前はその逆だったんです。今度また3年後に再逆転するということは必ずできる。むしろ容易なことなんです」と咆えている。
そのような変動の可能性は否定しないが、そのような変動を起こす政治構造を好ましくないことだと考えている。
実を言うと、「小沢一郎氏が復活する日:それは日本が大きな災厄に覆われる日」というタイトルで書きかけにしているものがある。
それは、小沢氏が可能性をしているように、次の総選挙で小沢氏がリーダーの政治勢力が多数派を勝ち取る“条件”を説明したものになっている。
「それは日本が大きな災厄に覆われる日」となっているのは、小沢氏の復権を意味するわけではなく、小沢氏が復権するのは、日本が大きな災厄に覆われている条件が必要という意味である。
消費税増税が実施され、TPPが実際に適用され始めるなかで、日本の経済社会(国民生活)は疲弊していく。すなわち、そのような状況に日本が陥ったとき小沢氏の復権があるという見方である。
ジャパンハンドラーは、そういうとき、小沢氏的政治リーダーが不在であるために、共産党的ないし社会党的党派が伸長してしまうことを恐れている。
小沢という政治家は、そのような役回りとして日本政界に埋め込まれている“彼ら”のアセットだろうと考えている。
小沢氏は、インタビューのなかで、「連合は、組合員と意識が乖離してるんじゃないですか。農協もそうです。TPP反対で、これに賛成する人は政治家でも断固落選させると言っていた農業団体が、自民党を応援してるんだもの。そんなばかな話ないでしょう、人をばかにしてる。それと同じで、連合だって消費増税賛成、原発も推進、TPPも賛成でしょう。これ、経団連と同じですよね。勤労者の代表の連合も、経営者と同じ話になっちゃってる。ですから、このような状態が続けばいずれ必ず破綻します。農協も同様です。いつまでも国民をだませるものではありません、私はそう思う」と青臭い書生や夢見がちな女学生のような論評をしている。
自民党の幹事長まで務めた海千山千の小沢氏が、連合や農協の“内実”や“本音”を知らないわけはない。
農協は、TPP反対が国策にはならないことを知りつつ、よりよい経済的条件(補償)を得るため、TPP反対を唱えつつ自民党に票を入れている。農協組織の上層部は、TPPを機に、農協が大がかりな農業経営に打って出ることも狙っているはずだ。
連合も、官公庁職員を除けば、その組織率の低さから経団連加盟のグローバル企業の労働者がほとんどである。そして、グローバル企業の従業員なら、小沢氏自らが言っているように、「消費税も払わない輸出大企業」と一心同体感覚を抱いているわけだから、消費増税にも賛成、原発も推進、TPPにも賛成であってもおかしな話ではない。
小沢氏は、自民党がそういう“おかしさ”を利用しながら政権を握り続けた過去を知っている。
そんなことはないと思うが、小沢氏が本音で語ったように思っているのなら、政治家から引退した方がいいだろう。
● アベノミクスや消費税の内実について
小沢氏は、安倍政権の経済政策について、「アベノミクスって何だっていう話です。具体的には何もやってない。従来の自民党と同じ、公共事業を増やして、日銀が国債をむやみやたらと買い入れるだけの話」と評しているが、その通りである。
小沢氏は、「為替は円が安くなっている。それで誰が儲かってるか。消費税も払わない輸出大企業だけです。円安でガソリンは上がる、漁業、農業の燃費は上がる、飼料は上がる、食料は上がる、化学製品は上がる、みんな値上げになります。円安はちょっと歯止めがきかなくなる可能性があります。そうすると日常の物価上昇がものすごいことになる」と説明している。
アベノミクス的政策の最大の問題点は、物価が本当に上がるのかとか、財政危機が深まるといったことではなく、輸入物価が上昇するなかで賃金が上がらずスタグフレーションに陥ることである。スタグフレーションにまでは至らずとも、企業の収益が悪化し、賃金の下落傾向に拍車がかかることになる。
その意味で、小沢氏がインタビューで語ったことは重要で意味がある。スタグフレーションに陥ると、意図せぬレベルで円安が進行するため、スタグフレーションがさらに悪化するという悪循環に陥る。
ただ、デフレが続く限り、そこまでいかないうちに円安は是正される。変動相場制の外貨国為替レートは、中長期的にはインフレ率(とりわけ輸出物価)の差に規定されるからである。
小沢氏は、昨年可決された消費税増税法案に反対の立場を貫いたが、その渦中でテレビ番組に出演し語ったように、消費税10%増税論者である。
昨年の消費税増税反対は、あくまで時機が悪いという判断なのである。むろん、消費税増税でドツボに嵌った日本の救世主として人気を集めるためには、あのときの消費税増税に強く反対したという実績は必要である。
消費税増税の渦中に、小沢氏は知っているはずだから、グローバル企業が1円も消費税を支払っていないどころか、“輸出戻し税”という不当な利益を得ていることを有権者に訴えれば、政局や選挙の行方を変えられると投稿した。
このインタビュー記事で、小沢氏が、ちゃんと「消費税も払わない輸出大企業」という事実を知っていることが判明した。
そこまで知っている小沢氏は、当然のように、輸出大企業が消費税増税で、負担どころか逆に。“輸出戻し税”でより大きな利益を手にすることも知っているはずである。
小沢氏が、昨年の夏から秋にかけて、「消費税も払わない輸出大企業」や“輸出戻し税”制度で輸出大企業が不当な利益を手に入れている事実も交えて、消費税増税に反対の声を上げていれば、消費税増税法案が潰れた可能性もあっただろう。
“彼ら”のアセットである小沢氏は、消費税増税に反対という政治的ポジションは維持しつつ、消費税増税法案が潰れてしまう言動は避けたのである。
これこそが、小沢氏を“アッセト”=操り人形と判断する大きな理由である。
※ 関連投稿
「“素人”のふりをした嘉田代表に弄ばれた小沢G:さっさと分かれ森ゆうこさんを代表にした新党を立ち上げるしかない」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/799.html
[私の履歴書]森喜朗:小泉首相誕生・郵政解散・小沢大連立構想などの話
http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/146.html
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