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戦場での従軍慰安婦制度を「私が容認している」と誤報された−。日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は27日、日本外国特派員協会(東京)の記者会見で、自身の発言が曲解されてしまったと報道の対応をあらためて非難した。メディア側の誤報は本当なのか。識者とともに検証した。(荒井六貴、上田千秋)
●責任を転嫁、報道の仕方に難癖
「毎日、会見に応じている。その中で私の一つのワードが抜き取られて報じられたのが、今回の騒動のきっかけです」
国内外のメディア約400人が集まるなか、橋下氏は会見の冒頭、立ち上がってそう切りだした。
橋下氏は用意した文書を読み上げ、「私の真意と正反対の意味を持った発言とする報道が世界中を駆け巡った」と批判。
戦場の性の問題は第二次世界大戦などであったとしたうえで、「歴史的文脈において『戦時においては』 『世界各国の軍が』(慰安婦の)女性を必要ではないかと発言したところ、『私が』容認していると誤報された」などと主張した。
騒動の発端は13日、大阪市役所で報道陣に従軍慰安婦問題について話した内容だ=一覧参照。
「当時は世界各国が持っていた。ベトナム戦争でも朝鮮戦争でも制度としてあった」 「軍を維持し、規律を保つために、当時は必要だった」
この発言は大きく報道され、国内外から批判の声が上がった。橋下氏は17日、報道陣に「文脈でしっかり判断しろということだ。朝日新聞なんか最低だ。『当時』という言葉も全部外して。毎日新聞、あのタブロイド紙も最低だ。今回は大誤報をやられた」と述べ、批判の原因は「誤報」によるものだと訴えた。
橋下氏が、どの記事を「誤報」と断じたかは、はっきりしないが、朝日が続報で「慰安婦を『必要だ』と発言した」と掲載したり、毎日が「『慰安婦必要』に波紋」などの見出しで報道したことを受けたとみられる。
「これは誤報でもなんでもない。むしろ書かない方がなれ合いだ」と話すのは、関東学院大の丸山重威元教授(ジャーナリズム論)だ。
「橋下氏が言う誤報は報道の仕方に文句を言っているにすぎない。論点をすり替えるためだ。それは、発言要旨を読めば分かることだ」と断じる。「問題の本質は、兵士に女性をあてがおうという発想であり、メディアは、それをはっきりさせる必要がある」
橋下氏は、記事の書き出しで「当時」を入れずに「必要だった」と簡略化されたことを問題視している。龍谷大の松浦さと子教授(メディア論)は「問題はない」と語る。「政治家の談話は、一部が切り取られて伝えられることを、語り手も読み手も覚悟する必要がある。時間や字数に制約もあり、真意が伝わらなかったとすれば、政治家が十分な表現ができなかったと反省すべきだ」
橋下氏が「慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる」と発言した点についても、「世論を読み違えた。橋下氏の周囲がそういう考えなのだろう。国民にメディア不信もあり、メディアをたたけば、共感してもらえるというのがあったのだろう」とみる。
在日米軍に『進言』した風俗業の活用発言は撤回したが、社会風俗に詳しい「モッツ出版」の高須基仁社長は「メディアに責任を押しつけるのは本音を見透かされ、それを覆い隠そうとしているからだ」と読み解く。
「戦争で慰安婦制度が必要だったと言うならば、そうならないように不戦の誓いを立てるべきだろう。弱い立場の女性や子供を不幸にしないために、戦争をしないという根本の考えが欠如しているのではないか」
●誤った歴史・国際感覚、海外に波紋広がる
橋下氏自身が、誤った歴史認識を持っているとの指摘もある。慰安婦制度については、この日の会見でも「日本以外の国々の兵士による女性の尊厳のじゅうりんについて口を閉ざすのはフェアな態度ではない」と、米英やフランス、ドイツなど各国の軍隊でも、旧日本軍と同じような問題が存在していたと訴えた。
これに対し、神戸女学院大の石川康宏教授(経済学)は「慰安婦制度と個々のレイプを混同しているのではないか。少なくとも第二次大戦で慰安婦制度があったことが確認されているのは、旧日本軍とナチスのドイツ軍しかない」と続ける。
旧日本軍は1930年代初頭以降、進出や侵略したアジア各地に慰安所を設置した。ドイツ軍もアフリカや欧州各地に戦線を拡大する過程で現地の売春施設を軍の管理下に置き、慰安所として利用していたという。
「欧米各国では20世紀前半から、売春はあしき習慣であるとして、社会からなくそうという取り組みが始まっていた。第二次大戦中、どこの国の軍隊でもレイプがあったことは事実だろうが、各国政府が公的にそれを認めることはなかった」
橋下氏といえば、ツイッターで頻繁に自身の思いを発信して世論を味方につけたり、新聞・テレビで大きく扱われるような発言をするなど、メディアの扱いがうまいイメージがある。昨年10月に週刊朝日が、橋下氏の出自について触れる不適切な連載記事を掲載した際には、記者会見やツイッターで同誌を激しく批判。同誌は橋下氏に謝罪し、連載を中止した。
ただ、今回の騒動は当面、尾を引きそうだ。国内に加えて、韓国や中国、米国、欧州各国にまで橋下発言の余波は広がっているからだ。
立命館大の上久保誠人准教授(国際政治経済学)は、「週刊朝日の件が成功体験として頭の中に残っていたのかもしれないが、国際社会ではとても理解されない発言だということが分かっていなかった」と解説する。
上久保氏が問題の根底にあるとみるのは、橋下氏の国際経験のなさだ。「まともに外国人と対話をしたこともないはずで、人権問題に触れることの難しさ、ナイーブさを全く分かっていなかった。国内と同じように自分の主張が伝わると思ったのが大間違いだった」
大阪市長であると同時に、衆院で3番目の勢力を持つ日本維新の会の共同代表でもある橋下氏。7月に迫った参院選への影響は避けられない事態になっている。
上久保氏は「マスコミに責任転嫁しても国民の理解は得られない。収集は難しいだろう」とみて、皮肉交じりにこう唱える。「橋下市長は井の中のかわず。何も知らないのに、浅はかな考えで突っ走っただけだった。一度世界各地を回って大勢の人と会い、外国人がどんな考えを持っているのか知った方がいい」
◆橋下氏が13日に行った旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する発言は次の通り
[午前]
あれだけ銃弾が飛び交う中、精神的に高ぶっている猛者集団に休息を与えようとすると、慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる。
なぜ、日本の従軍慰安婦制度だけが取り上げられるのか。当時は世界各国が持っていた。ベトナム戦争でも朝鮮戦争でも制度としてあった。
韓国とかいろんなところが宣伝し、欧米社会に「日本はレイプ国家だ」とみられている。ただ、暴行、脅迫をして拉致した事実は裏付けられていない。
戦争の悲劇の結果なので、慰安婦になってしまった方には、心情を理解して優しく配慮していくことが必要だ。
[午後]
軍を維持し、規律を保つために、当時は必要だった。国を挙げて暴行、脅迫、拉致をした証拠が出てくれば反省しなければいけないが(2007年に第一次安倍政権が)証拠はないと閣議決定している。
慰安婦制度は、今は認められないが、風俗業は必要だと思う。だから(大型連休初めに)沖縄に行った時(米軍の)司令官に会い「もっと風俗業を利用してほしい」と言った。
そしたら司令官は凍り付いたような苦笑いになって「米軍では禁止だ」と言った。「そういう建前みたいなことを言っているからおかしくなる」と伝えた。「そうしないと海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロールできない」とも伝えた。建前論だと人間社会は回らない。
元慰安婦の方が大阪市役所に来るときに、暴行、脅迫、拉致されたのかお聞かせ願いたい。(強制連行が)あるという話になれば、それを否定している人も文句を言わなくなる。
[デスクメモ]
橋下氏は会見で「誤報」と言ってはばからなかった。権力者が都合悪く報じられて、クロをシロと言いくるめることに社会がマヒしてくると、恐ろしい世の中になる。著しく常識を欠く発言を容認し続けることは表現の自由をも損なう。「誤報」発言と朝日、毎日へのヘイトスピーチも撤回すべきだ。(呂)
2013年5月28日 東京新聞 [こちら特報部]
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013052802000158.html
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