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2013/5/25 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
日経平均株価は昨日(24日)もジェットコースターの相場だった。
前日の暴落を受けて、午前中こそ、520円超値上がりしたものの、午後に入ると急落、一時、下げ幅は500円を突破した。結局、終値はたった128円高。暴落相場はてんで回復しなかったわけだが、こうした乱高下を見ると、つくづく、もう株式市場は鉄火場だ。バクチ相場であることが完全露呈なのだが、そんな市場を支えているのが、われらが年金資金であることをご存じか。
厚生年金、国民年金は、給付した分を除いて、余ったマネーは年金積立金管理運用独立法人(GPIF)で運用されている。その額は昨年12月末で約112兆円だ。
これがゴソッと、株式市場などに流れ込んでいるのである。正確に内訳を言うと、国内債券が6割、国内株式は12・5%、外国債券は8・7%、外国株式は11・5%だ。
これを受けて、麻生財務相はこう豪語していたものだ。
「(2012年度の公的年金の運用益は)ン兆円の黒字になる。株がこれだけ上がれば、必ず運用益が出てくる。アベノミクスは株だけではない、一番肝心な社会保障の元も稼ぎ出している」
◆どうしてくれる!無責任な安倍、麻生
〈冗談じゃないよ!〉ではないか。
厚生年金なんて、サラリーマンが頼みもしないのに強制的に召し上げられているものだ。大事な老後の資金である。
それをよりによって、丁半バクチにつぎ込み、しかも、麻生は「どうだ、儲かっているだろ!」と、恩着せがましく言うわけだ。
庶民の金を召し上げ、バクチにつぎ込むなんて、江戸時代のヤクザかマフィアの所業じゃないか。それを悪びれもしない麻生の感覚に呆れるのだ。
問題は年金資金で株を買っていることではない。確かに運用方法はさまざまだろう。しかし、アベノミクスに投資するのは違う。なぜって、市場を賭場にしたからだ。そこに年金資金をぶち込んだ。年金資金がアベノミクスというイリュージョンの演出に使われたのである。
言うまでもないが、イリュージョンには実体がない。つまり、こんなバブルはいつかはじける。それは安倍や麻生が一番、知っていることではないか。
その危険性をひた隠しにし、「儲かっただろ!」と豪語する狂気が問題なのだ。つまりは、国民を騙(だま)すのもいい加減にして欲しい。
バクチは必ず、胴元が勝つ。つまり、虎の子の年金マネーはアッと言う間に目減りしてしまう。それでなくても、社会保障には大きな穴があいているのに、穴がもっと膨らんでしまう。と思っていたら、案の定だ。まず、運用の6割をぶち込んでいる国債市場が壊れた。慌てて、日銀が買い支えようとすると、「待ってました」で株式市場が壊れた。
年金資金は今や風前のともしびなのである。どうしてくれる、麻生、安倍! まったく、ふざけた話だ。
◆アベノミクスでマトモな運用できるわけなし
ビジネス・ブレークスルー大学教授の田代秀敏氏はこう言った。
「年金資金の運用は国債6割、株式2割弱ですから、おそらく、株が下落していなくても、国債価格の下落で、運用益は相殺された可能性があります。そこに株暴落ですから、目も当てられないことになる。しかも、それじゃあ、運用のポートフォリオを見直せるかというと、そう簡単にはできない。そもそも、ポートフォリオの見直しはGPIFの運用委員会が判断しますが、そのメンバーは足代程度の報酬しか得ていない。何億円もの報酬をもらうファンドマネジャーを何人も雇っているならイザ知らず、これじゃあ、まともな運用ができるわけがないのです」
消えた年金問題を追及したジャーナリストの岩瀬達哉氏は「GPIFはムチャクチャをやっていた年金福祉事業団が衣替えしたもの。当時に比べれば、相当、マトモになった」と言う。
とはいえ、その運用方法はホント、お役所仕事そのものだ。
「運用は運用委員会が議論して、5年ごとの中期計画を定め、厚生労働省に申請する。厚生労働大臣が認可して、ポートフォリオが決まります。現在の運用計画は平成22年から始まったもので、次回の見直しは27年になります」(GPIF広報)
5年ごと? その間にアベクロダノミクスで、日本売りが加速化したらどうするのか。
「(市場に急激な変化があった場合は)必要に応じて、運用計画を見直します。東日本大震災や昨年夏の世界同時株安の際にも見直しの検討がされました」(同)
しかし、検討はするものの、実際に運用が見直されたケースは「これまでない」(同)というのである。
◆黒田日銀総裁はもう辞任せよ
これじゃあ、ますます、不安が募るばかりだ。われらが年金マネーをバクチにつぎ込むのはやめて欲しい。それがマトモなサラリーマンの声である。金融アナリストの菊池英博氏もこう言った。
「株式投資を盛んに行う米国の年金運用と違って、日本は地道な運用を目指せばいい。何も鉄火場相場に資金をぶち込むことはありません。まして、アベクロダノミクスは完全に市場からNOを突きつけられたのです。当たり前の話で、そもそも異次元の金融緩和をしたところで、国内に資金需要がないのだから、マネーは米国市場、ヘッジファンドに向かうだけ。オモチャの紙幣みたいなマネーが日本市場を荒らしている。株の今後は未知数として、国債価格は下落し、長期金利は上がっている。この時点でクロダノミクスは失敗なのです。黒田総裁は責任を取って辞任すべきだ。そんな日銀がつくり出した相場に年金資金をぶち込むなんて、あまりにも危険な賭けですよ」
アベノミクスというバクチで、日本経済は完全にヤバイと思ったが、それだけではなかった。自分たちの老後マネーが危ない。
これ以上、マフィアのような連中のバクチ遊びを許すわけにはいかないのだ。
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