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【ブリュッセル斎藤義彦】橋下徹・大阪市長が、第二次大戦中の旧日本軍による従軍慰安婦制度が「当時は必要だった」と主張したことに対し、オランダ人元慰安婦への「償い事業」の実施責任者だった2人が駐オランダ日本大使に「誤った危険な発言」とする抗議書簡を送ったことが23日わかった。橋下発言への欧州からの抗議は初めて。元責任者は毎日新聞に「発言は被害者を傷つけるもの」と批判した。
長嶺安政駐オランダ大使に16日付で書簡を送ったのはマルガリータ・ハマー・モノ・ド・フロワドビーユさん(71)ら2人。旧日本軍占領下のインドネシアで慰安婦にされたとして償い事業の対象となったオランダ国籍保有者79人への医療福祉支援事業(1998〜2001年)の実施責任者だった。ハマーさんによると、書簡では橋下発言に「憂慮」を表明。発言は従来の日本政府見解を逸脱した「間違った方向」で、従軍慰安婦の被害国、とりわけアジアにとり「危険なものだ」と非難した。
元慰安婦の大半は死亡しているが、全員と接触して事業を行ったハマーさんは「発言はこれまでの元慰安婦へのおわびを否定するもので、謝罪が謝罪でなくなる。日本の首相のおわびの手紙で救われた元慰安婦を深く傷つけた」と述べた。
ハマーさんは、橋下市長が07年の安倍政権の政府見解を根拠に強制性を否定している点に関し「日本軍政下で収容所に入っていたオランダ人慰安婦への強制は明白。安倍晋三首相の見解が橋下市長の発言の基礎になった」と首相も批判した。
オランダ政府の93年の調査報告は、インドネシアで65人が強制的に慰安婦にさせられたことは「確実」と指摘している。長嶺大使は「コメントは差し控える」としている。
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■ことば
◇インドネシアのオランダ人慰安婦
オランダが植民地支配していたインドネシアを、第二次世界大戦中の1942〜45年に旧日本軍が占領。オランダ政府の調査によると、占領下で欧州系の女性200〜300人が慰安所におり、うち65人が、強制収容所から暴力で連行されるなど「確実に」慰安婦になるよう強制された。軍の呼びかけに「自主的」に応じ慰安婦になった例は除外されたが、「背景に軍の暴力や貧困があり、自主的とは認めづらい」としている。収容所の外にいたインドネシア系オランダ人が軍に連行された例もある。
http://mainichi.jp/select/news/20130524ddm002010113000c.html
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