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2013/5/23 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
まるで動くのをやめると、死んでしまう回遊魚のようだ。この1週間、安倍首相はやたら精力的に動き回っている。
横浜市の「待機児童ゼロ達成」がニュースになると、すぐさま現地を訪問。「横浜方式を全国に広めたい」と、成長戦略の中核と位置付けた「子育て支援」をアピールした。先週の土、日も休日返上で九州3県を行脚し、農業組合法人や医療施設を視察した。こちらも、成長戦略に盛り込んだ「農業の6次産業化」と「最先端医療の輸出」のPRである。
その「成長戦略」第2弾を発表した時も、安倍はすこぶるハイテンションだった。ただ絵空事のような数値目標には、さすがの大新聞も「実現性には疑問符」(朝日)、「大胆改革見送り」(日経)と批判的な見出しを並べていた。それでも安倍は「世界に勝つ」と大言壮語し、恥じ入る様子もない。高支持率に浮かれ、正常な判断力を失っているとしか思えない。
驚いたことに、安倍は首相就任以来、東京・富ケ谷の私邸で丸一日を過ごしたことが一度もない。この5カ月の動静をめくっても、歴代首相には必ずあった「来客なく資料整理をして過ごす」という日はゼロだ。
とにかく休日は決まって外出し、夫人とゴルフを楽しんだかと思えば、近所の公園をジョギングしたり、高級ジムで汗をかいたり……と、必ず「元気な姿」をメディアの前にさらしてきた。
「どうやら高い支持率をキープしている首相は、国民から『アベさ〜ん』と声を掛けられるのが、うれしくて仕方がないようなのです。本人が『地獄を見た』と語っているように、政権を放り投げた後の5年間は誰からも相手にされませんでしたからね」(政界関係者)
首相に返り咲いた途端、どこに行ってもチヤホヤされ、「やっぱり自分は人気があるんだ」と、すっかり、のぼせ上がっている。もともと思慮が浅く、単純な男だが、いきなり自信をつけてしまった。
「ただ、最近は明らかに露出過剰気味です。EXILEから南こうせつのライブまで、どこにでも顔を出している。浮かれすぎですよ」(政治評論家・山口朝雄氏)
◆スター気分に浸りきった裸の王様
安倍のパフォーマンス好きを苦々しく思う自民党議員も多い。彼らは「自然体にしてりゃいいのに」と嘆いているが、安倍はどこ吹く風。国民にウケていると勘違いし、この先も参院選対策のつもりで全国を飛び回る気だ。そのたび、心ある国民をシラケさせていることには、気づかないのだろう。皮肉なものだ。
「本来なら国の最高責任者としての『重圧と孤独』に耐えるのが、首相の最大の務めです。時には今後の政権運営について一日中、思索にふける時間だって必要です。なのに、安倍首相は本来の役目から逃げているようにしか見えません。現職の首相が視察すれば、どこへ行っても下にも置かない扱いを受ける。人気者になった気分に浸れるでしょうが、それでは“裸の王様”です。一国の首相なら、耳に痛い批判や敵対者と向き合うのも仕事のうち。安倍首相は自分の置かれた立場をまるで理解していません」(山口朝雄氏=前出)
少なくとも、歴代の首相は自分を律し、浮かれることなく、極力抑えた暮らしを心がけたものだ。例えば池田勇人は首相就任後、ゴルフや夜の料亭通いをピタリとやめた。あの小泉純一郎だって在任中は一度もコースに出なかった。ところが、安倍は就任後4度もゴルフ場に出かけている。周囲が諌めると、安倍は「もう、そんな時代じゃない」と言い放ったという。
狂躁し浮かれる安倍の耳には、もはや誰の苦言も届かない。やはり精神状態には危うさを感じざるを得ないのだ。
◆孤独と重圧に耐え切れぬ致命的なハートの弱さ
国民の多くは、安倍が政権を放り出したブザマな姿を覚えている。あの憔悴しきった表情と、高揚しきっている今の姿は別人のようだ。まさか、持病の潰瘍性大腸炎を和らげるために行っている「ラドン」治療の影響で変貌したわけではあるまい。しかし、あまりに極端な姿を見せつけられると、「この人は大丈夫なのか?」という一抹の不安が常につきまとう。
さすがに5年半前には安倍も「政権を投げ出した」との猛批判に耐え切れず、一度は議員辞職すら考えたそうだ。大学時代に米国留学した際もホームシックになって、毎晩のように実家へコレクトコールで電話したという逸話もある。今の虚勢は見せ掛けだけで、内心は病弱で無力な男なのかも知れない。
そんな安倍の「本性」を知る上で、「生来の腸の弱さ」は避けられないテーマだ。興味深いエピソードも残っている。
安倍の祖父・岸信介家のお手伝いさんで、幼少期の安倍の教育係を務めた久保ウメさんの証言だ。政治評論家の野上忠興氏が今年2月に「サンデー毎日」誌上で発表したルポによると、彼女はこう語ったという。
〈腸が悪いと、どうしても消化も悪くなり、気力も湧かない状態に陥りがちになる。だから私は日ごろから晋ちゃんに、きつく当たったりした。心が折れないようにと思ってのことだった。晋ちゃんも(健康問題で)“心の弱さ”を出したくないから自然と“我を張る”ことで、それをカバーしようとしていたのだと思う〉
恐らく一国のトップになった今も、安倍の深層心理は幼少期から何ひとつ変わっていないのではないか。
◆これ以上の困難が襲えば再びギブアップする
ウメさんから話を聞いた野上忠興氏は「安倍首相の過剰なパフォーマンスは『心の弱さ』の裏返しと理解すべきです」と、こう続けた。
「一国のトップの責任と重圧は相当なもので、かつて福田赳夫元首相は現職時代に『ひとりで広い執務室にいると、今にも天井が落ちてくるような不安にさいなまれる』と語っていました。まして一度失敗している安倍首相に『再々登板』はない。政権運営に失敗すれば即、政治生命を絶たれます。幼少期から病弱な上、ストレスで持病が悪化する首相にとって、この重圧は厳しい。だから、休日も極力、孤独になるのを避ける。パフォーマンスを演じて国民にチヤホヤしてもらいたい。そうすることで、何とか一国のトップとして1週間を乗り切るエネルギーを得ているようにしか思えません」
ここまでくると、哀れな気もするが、現職首相が「政権トップの重圧と孤独」に耐えられないとは……。その時点で安倍は首相失格というしかない。そもそも「総理の器」ではなかったのだ。
「かつての総理大臣はそれなりの人物でした。鍛えられていたし、覚悟もあった。ところが、ボンボン3世の安倍首相には、人としての器の大きさも感じられない。ちょっとしたことでムキになり、ちょっとしたことでハシャいでいる。こういうタイプは暴走しかねない。本当に不安です」(政治評論家・本澤二郎氏)
これ以上、安倍にこの国を任せるのは危険だ。今以上の重圧と困難に襲われれば、再び無責任にギブアップしかねない。一刻も早く退場させなければダメだ。
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