http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/167.html
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昨年来関連投稿でずっと指摘してきたことだが、消費税増税政策は、財政の健全化や社会保障制度の持続性を目的としたものではない。
消費税の税率をアップする政策はグローバル企業の国際競争力強化が目的であり、消費税の税率が高くなるほど、グローバル企業の国際価格競争力や資本力(その原資となる利益増加)の強化に貢献する。
奇妙な論理に思えるかもしれないが、「消費税(付加価値)増税+法人税減税」の組み合わせが、グローバル企業の競争力を高める政策なのである。
主要メディアは触れていないようだが、4月17日に行われた党首討論の海江田民主党代表とのやり取りのなかで、安倍首相は、「97年の消費税増税も、(アジア通貨危機という問題はあったにしても)、税の増収につながっていない」と説明している。
安倍首相自身が、消費税増税が全体の税収を増大させることにならないことを理解しているのである。
ここに転載する夕刊フジの記事も、「橋本龍太郎首相当時の1997年4月、消費税を3%から5%に引き上げた後、日本経済のデフレ不況が深刻化した。肝心の税収も、法人税や所得税が減ったため、97年の水準を一度も回復していない」と説明している。
さらに、内閣官房参与の浜田宏一氏が、「橋本内閣の例からもわかるように、増税が景気の足を引っ張った例しか歴史上ないので、政府の財政基盤も重要だが、(増税は)1年待つというのが妥当ではないかというのが、私の個人的な意見だ」と述べていることを紹介している。
消費税増税の延期という話が出てくるワケは、想定以上の円高が続いていることにある。90円そこそこでの円安水準を考えていたものが、100円超えの水準で推移している。
円安は、自社ブランドの海外生産品の輸入も大きい電機業界にはそれほど貢献しないが、自動車・造船など輸送機器製造業界や機械製造業界にとって大きな後押しとなる経済条件である。
データを見ている人はわかるように、円安になったからといって輸出数量は増加していないが、円ベースでの手取り増加を通じて利益の増大に大きく貢献している。
消費税(増税)そのものが経済社会の付加価値分配を歪める悪政だが、過剰な円安も、付加価値分配を歪める経済条件である。
安倍政権のブレーンに限らず財務省の官僚も、現在の円安水準に加え、さらに消費税の税率アップまで行えば、あまりにも経済社会を歪め、国内専業企業や多数派の勤労者を傷みつけることになると考えたはずである。
97年の消費税増税で今に続くデフレ状況を生み出したことを“反省”している財務省官僚は、同じ轍を二度と踏みたくないと思っているだろう。
現在の円安水準であれば、グローバル企業の競争力強化は為替レートに委ね、消費税増税は為替レートの潮目が変わったときまで先送りにするという政策は理に叶っている。
理由はともかく、7月の参議院選挙で、安倍自民党が「消費税増税延期」を政策に掲げれば、今でも勝利が確実な状況だが、圧倒的な勝利になるだろう。
自分にものごとを考える力がなかったからと言ってしまえばそれまでだが、消費税増税政策にのめり込んだ野田民主党は、安倍自民党の“すばらしさ”を際立たせる役目を負っただけの存在と言えるだろう。
※ 消費税の論理については末尾に参照投稿リストがあるので参考にしていただきたい。
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消費増税「延期」急浮上! 断行すれば政権危機も…「2、3年上げるべきでない」
2013.05.22
円安株高で景気判断も上向きになるなど順風満帆のアベノミクスだが、大逆風となりかねないのが来年4月に予定されている消費税率の5%から8%への引き上げだ。増税の悪影響で消費や投資が冷え込む恐れがあり、日本経済復活どころか、政権の危機にまで及ぶ事態を予想する向きもある。安倍晋三首相の経済政策の指南役である浜田宏一内閣官房参与ら首相周辺からも増税延期を望む声が上がっている。
消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる法律には「附則」があり、「経済状況を好転させることを条件として実施する」とし、目指す経済状況を「2011年度から20年度までの平均で名目経済成長率3%かつ実質成長率2%程度」、さらに「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」という「景気条項」が盛り込まれている。
その経済状況だが、今年1〜3月期の国内総生産(GDP)は名目が年率換算で1・5%増、実質が3・5%増と、アベノミクスの効果もあって急速に上向いている。
政府は10月にも増税をするかどうか判断する方針だが、8月に公表予定の4〜6月期GDPは高成長が予想され、増税への地ならしは着々と進んでいるようにみえる。
しかし、「いま消費税を増税すると、人々の生活や雇用に大きな影響を与える」と警鐘を鳴らすのは、上武大教授の田中秀臣氏。「消費増税を織り込んで新規採用や新規の設備投資を手控える中小企業もあるなど、すでに悪影響が出ている。経営者は“橋本増税”で景気が悪化したことをよく覚えている」
橋本龍太郎首相当時の1997年4月、消費税を3%から5%に引き上げた後、日本経済のデフレ不況が深刻化した。肝心の税収も、法人税や所得税が減ったため、97年の水準を一度も回復していない。サラリーマンら民間の平均給与も97年の467万円からほぼ右肩下がりとなり、11年には409万円にまで落ち込んでいる。
「アベノミクスが点火したようにみえるが、増税すれば不況脱却と思う間もなく振り出しに戻る。経済政策で高い支持を得ているだけに、増税を断行すれば政権は持たない」と田中氏は語る。
消費税を8%に引き上げるインパクトについて早稲田大教授の原田泰氏は「消費税1%で2・5兆円の増税なので、民間の所得を7・5兆円政府が吸い上げることになるが、その6割、すなわち4・5兆円の景気悪化効果があるだろう。これはGDPを1%程度引き下げることになる」と分析する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の片岡剛士氏は、消費増税は設備投資や個人消費、住宅投資にも悪影響があるとして「少なくとも1年は延期すべきではないか」と提言する。「景気回復で企業業績が好転すれば税収も増えるので、消費税率引き上げを1年ずらしても十分おつりがくる。むしろ、景気が過熱しすぎたら増税するという姿勢で十分だ」という。
前出の田中氏は「2〜3年は上げるべきではない。日銀が2年後をめどにインフレ目標2%を掲げており、その達成を目安にしたうえで、税収や国債の利回りなど財政状況を確認するのが先だ」と訴える。
財政状況については前出の原田氏が「大事なのは、高齢化社会の負担のために現在の財政赤字を減らし、将来のために備えることだ。
しかし、現実には、5年前の08年度では84・7兆円だった歳出は、13年度では92・6兆円と7・9兆円も増えている。これは消費税3%分以上だ。支出に歯止めをかけなければ、いくら消費税を上げてもきりがない」と懸念を示す。
安倍首相の周辺からも増税慎重論が浮上している。エール大名誉教授で安倍首相の経済政策の指南役とされる内閣官房参与の浜田宏一氏は「個人的意見」としたうえで、こう述べる。
「アベノミクスの第1の矢が効いているので、金融緩和さえちゃんとやっていれば、来年税率を上げても、ことによると大丈夫かもしれない。しかし、すでに金融緩和の効果が歳入にも現れつつある。橋本内閣の例からもわかるように、増税が景気の足を引っ張った例しか歴史上ないので、政府の財政基盤も重要だが、(増税は)1年待つというのが妥当ではないかというのが、私の個人的な意見だ」
第1次安倍政権で内閣参事官を務めた嘉悦大教授の高橋洋一氏も20日の夕刊フジのコラムで「今の景気はアベノミクス期待で円安、株高となって、それが予想以上に輸出、消費の実物経済を引き上げている。それが消費税増税になると、期待がしぼむ可能性がある」と危惧する。
麻生太郎財務相は4月19日、G20(20カ国財務相・中央銀行総裁会議)閉幕後の記者会見で、「与野党合意に基づき、経済環境を整備し、予定通り消費税を引き上げる決意がある」と述べた一方、23日の参院予算委員会では「あらゆる景気指標を考え判断するが、延ばさざるを得ないことは十分あり得る」ともしている。
大手メディアを中心に「財政再建へ増税は欠かせない」「増税を延期すると国債価格が暴落する」という財務省寄りの論調が多いが、肝心の景気を腰折れさせては元も子もない。
過去のしがらみにとらわれない決断が奏功しているアベノミクスだが、今後最大の決断を迫られることになりそうだ。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130522/plt1305221810006-n1.htm
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※ 消費税関連投稿リスト
「消費税で錯覚しやすいポイント:「輸出戻し税」が納品企業にまでいかないワケとメーカーが“負担した”消費税の内実」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/138.html
「国家による高度な“振り込め詐欺”=消費税:消費税に対する誤解と錯覚がインチキ税制の跳梁跋扈を許してしまっている。」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/133.html
「自動車購入で負担している消費税が1円たりとも国に納められていない根拠とワケ:消費税は売上ではなく付加価値への課税」
http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/870.html
「アエラの記事を素材に消費税を考える(1):“益税問題“という問題:「消費税納税義務免除事業者」と「簡易課税」の制度」
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/832.html
「アエラの記事を素材に消費税を考える(2):「非課税取引」で財務省が言う「税の性格」とは:病院経営と消費税」
http://www.asyura2.com/12/senkyo133/msg/230.html
「アエラの記事を素材に消費税を考える(3):消費税が派遣労働者を増加させる論理:消費税=“隠れた給与所得税”という怖い話」
http://www.asyura2.com/12/senkyo133/msg/279.html
「「追加金融緩和策」の目的と「消費税増税」の意図そして「国債発行増加」は誰のため?:[その1]「追加金融緩和策」の目的」
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/179.html
「[その2]「財政問題の基本」:日本にとって財政問題とは何なのか」
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/238.html
「[その3]わかると、低迷を続ける日本経済の元凶が何かが透けて見えてくる消費税の内実」
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/246.html
「[その4]消費税論議で駆使される嘘やマヤカシは“消費税特権者”を守護する粉飾:経団連が消費税増税を求める真の理由」
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/300.html
「[その5]消費税に取って代わるべき税制:「小売売上税」への変更で消費税にまつわるデタラメは解消」
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/309.html
「[その5の補足]米国型「売上税」と「消費税」:米国で考えられている「法人付加価値税」(BAT)とは何?」
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/316.html
「A:消費税増税法案をめぐる政局:「小泉改革」を超える“日本破壊政策”が「野田改革」:小沢判決との関連」
http://www.asyura2.com/12/senkyo128/msg/903.html
「B:消費税(付加価値税)と経済成長:デフレ下での消費税増税はその破壊力を生々しく実証する“経済学的社会実験”」
http://www.asyura2.com/12/senkyo128/msg/905.html
「C:消費税増税は「社会保障の維持」とは無関係:竹中平蔵氏「社会保障のためなら高中所得者対象の所得税増税以外にない」」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/194.html
「D:「財政再建」に寄与せず逆に足を引っ張る消費税増税の論理:フロー課税の連関性だけで見えてくる消費税増税の結末」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/198.html
「E:消費税増税の目的は、「社会保障」や「財政再建」ではなく、「国際競争力の回復」である:付加価値税と“国際関係”」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/400.html
「消費税シリーズ番外編:「輸出戻し税」妥当説の妥当性を簡単に説明」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/466.html
「消費税シリーズ番外編:消費税と法人税は基本的に同じ税金:消費税と法人税の転嫁について」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/504.html
「EkRMugNzZkさんへの質問:「消費税還付」は“坊主丸儲け”!?:消費税還付金の会計処理について」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/523.html
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