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〈メディアに嫌われた男の告白〉 小沢一郎(生活の党代表)インタビュー 「マスコミは最大の既得権益者」
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週刊ダイヤモンド 2013年5月25日号 :もうすぐ北風が強くなる
長年にわたってメディアと対峙してきた生活の党代表、小沢一郎氏に今のメディアの問題を聞いた。
(おざわ・いちろう/1942年生まれ。67年に慶應義塾大学経済学部卒業後、69年に27歳で衆議院議員初当選。自民党幹事長、自由党党首、民主党代表など歴任。現職の代議士で最多当選回数。)
──4月21日に参加された若い世代との交流会で、小沢代表はマスコミについて厳しい見方を示していました。
マスコミは最大の既得権益者です。一つは再販制度、そして電波の独占です。
法律で集中排除の規定があるにもかかわらず、大新聞はテレビと密接な関係にある。そういう利権ともいうべき、旧体制を何としても守りたいということ。
だから、それも含めて自由で公正な競争原理を適用すべきと主張する私は、彼らにとっては許せない存在なわけです。
新聞は消費税の問題で軽減税率をずっと唱えてきた。増税には賛成だけど、僕たちだけは嫌よという話。ちょっとどうかしてるんじゃないかという気がします。
──交流会では、官僚とメディアの癒着についても、指摘されていました。
再販制度と電波の独占は、官僚が認めているからそうなっているだけ。それと税。これだって国税庁が他の会社と同じようにビシビシやったら、マスコミなんて現状を維持できないと思います。
──そうでしょうか。
そうです。すべて経費で認めて、大学を出たばかりの若い記者がハイヤーに乗っている。一番の既得権、利権を持っているのは大手の新聞とテレビ局ですよ。
地方紙なんかはそれなりに一生懸命頑張っている。ところが大手の新聞、テレビだけはどっぷり体制の中でぬるま湯に漬かっている。
だからこれらにもメスを入れないといけない。というのが、僕の考えで、だから集中攻撃されている。
一般の人にはまだ理解されていない。
おまえがぶっきらぼうだからそう言われるんじゃないかとか、もうちょっと笑えとかね、そんな類いの話じゃありません。
僕が大手メディアの標的にされているのは、彼らの既得権にメスを入れろと主張しているから。彼らは私を抹殺しようとしている。
──そういった既得権の上に成り立っているメディアは、それが故に世論からの信頼を失っている現状があるのではないでしょうか。
どんどん失っていると思います。だから新聞を読む人が少なくなってきているんじゃないですか。
それはメディアを取り巻く環境が変わってきたというのもあるけれど、それだけじゃない。
一つの紙面として構成された新聞というメディアは、インターネットで事実だけ流すよりも、面白くて見やすい。その意味で存在理由はまだある。
でも新聞を取っている人はどんどん減っている。若い人なんて誰も取らない。
──小沢代表の購読する新聞は。
ありません。もちろん事務所では取っていますが。
──いつごろから見なくなったのでしょうか。
前からほとんど見ない。特に政治記事というのはみんな事実と違う。新聞なんて読まなくても、僕が一番よく知ってるんだよ。
経済記事でさえもそう。
これはね、ウソというよりも、経済は動いているから難しい。経済学者や評論家の言うことなんて当たったことがないでしょう。だから見たって仕方がない。
勉強するための資料としてはいい。判断は自分でしないと。
政治記事は事実関係すら違う。参考資料にもならない。
──政治の誤報というのは、ある時点まではそうだったが、その後の政局で事態が動いてしまうという話をよく聞きます。
それはウソ。彼らのエクスキューズ。言い訳だ。
要するにきちんとした情報収集や裏づけなしに、推測でいい加減に書いている。
──ウソというのは推測が多いということでしょうか。
勝手に自分らの都合で書いていて、ほとんどが真実ではないということ。
──政治報道は見立てがすごく重要になってくるのでは。
それならそう書けばいい。
当社としてはこう思うとか、こうあるべきだとか、日本の場合は新聞もテレビもそういうふうには報道しない。
だから事実でさえもいい加減になってしまう。しっかりした取材をしないんだよ。
──ただ新聞、テレビの記者には番記者制度があって、担当の政治家に密着して、それを基に報道しているわけで、1次情報を取っていると思うのですが。
そういう要素はあるんだけれど、今はほとんどその取材もしない。何も常にくっついて歩かなくてもいいんだけれど、昔に比べ、そういう取材をしていないね。
また勉強をしていないから、つまらない質問しかできない。
政権が安倍さんになって何をしたかというと、何もしていない。米国の言う通りにするだけ。
──アベノミクスについて評価は。
株が高くなって誰が利益を得ているの?
賃金なんて全然上がらない。小泉政権以来、国民所得は10%減っている。これからもっと格差はひどくなると思う。
それでもメディアは何にも言わない。
円安を見なさいよ、ガソリンから漁業、農業の燃料、電力、飼料、みんな上がってきている。
一般国民は目も当てられない。
──その危険な兆候をくみ取ってしっかり報道しているマスメディアはあると思いますか。
ないね。だってしっかりした報道をするということは自己否定につながるから。メディアの既得権を侵す道につながっていく。
彼らは官僚支配の体制が一番いいんです。
これが崩れないように、崩壊しないようにというのが、大手メディアの願いだと思います。
──既存メディアが過度に自らの報道を自主規制することを問題視する声も上がっています。
情報がもらえなくなるから報道しない。これは昔から。だから役人の言う通りに報道する。役人とけんかしたら、情報を遮断されてしまいますから。
検察なんてその典型的な例ですね。僕なんか毎日、犯罪人扱い。1面でどんどん報道された。
それなのに、いざ無罪になっても、悪うございましたどころか、謝罪の言葉は一言もない。
事実や証拠がなくても役人の言う通りに報道しないと出入り禁止にされてしまう。
そもそも、アベノミクスはメディアがはやし立てているだけ。
経済誌もよく考えないといけないが、今度の日銀の国債大量買い入れは、実質的には直接買い入れと同じ。これではツケは必ず庶民にいく。
──国債暴落の可能性が高まっていると。
国債暴落というよりも、インフレになる可能性がある。
スタグフレーション、不景気のインフレになる可能性が非常に高い。
ただ、メディアは特権階級だから、インフレになっても困らないんだよ。
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