http://www.asyura2.com/13/senkyo147/msg/880.html
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性奴隷問題を語る時に、最も手っ取り早く読める本に吉見義明『従軍慰安婦』(岩波新書)がある。歴史修正主義者の橋下徹とか石原慎太郎とか河村たかしなどは、多分この最低限の基本作業さえしないで妄言・暴言を繰り返すわけである。これは喫煙家がタバコをすいつづけたいために、都合の良い情報しか飛びつかない心理に似て、初歩の基本書を読んだら自らの思想のよって立つ足元が崩れる恐怖から絶対近づかないという心理のよるものかもしれない。その意味で橋下徹が元「従軍慰安婦」に会えないのは理解できるはずだ。
「あったことをなかった」というのはよく聞く話で、例えば地下鉄サリン事件ではオウム真理教信者は最初は「そんなものはなかった」とか発言していたように記憶している。しかし今ではそんなことを言う元信者はいないだろう。ところが皇軍の戦争犯罪になると、今でも「南京事件はなかった」とかいうヤカラは後を絶たない。もちろん安倍晋三がその種の発言を本音ではしたい気持ちは理解できる。安倍のジジイである岸信介が戦争犯罪人であり、「あったことがなかったこと」になれば自らの気持ちもずいぶん楽になるからだ。これは何も日本だけの話ではなく、ドイツの件でラルフ・ジョルダーノが明解に分類している。以下、ちょっと紹介しよう――
★ラルフ・ジョルダーノ『第二の罪〜ドイツ人であることの重荷』永井清彦・片岡哲史・中島俊哉/訳 白水社――
否定作業は一九四五年とともに始まり、到るところで同じような表現
をとっていた。互いに会ったことも知り合ったこともない何百万人、ドイツ中の人びとが、まるで同じ表現で罪を免れようとしていた。その勢いたるや大変なもので、当時伝染病のように広がっただけでなく、今でもほとんど変わることなく続いている。
私はこれを「集団的情動」と名づけた。(中略)
集団的情動 その1
「殺されたのは600万人ではなかった、そうじゃなくて・・・」
(他国の被害は極小に見積もる。逆に自国の被害は極大に見積もられる)
集団的情動 その2
「しかしわれわれは何も知らなかったのだ!」
(重大事件も起こらなかったことになる)
集団的情動 その3
「強制収容所はドイツ人の発明ではない。かつてブーア人と闘っていた頃のイギリス人が発明したのだ・・・」
(こうして自国の責任が遠のいていく)
集団的情動 その4
「ヒトラーがやったのは悪いことだけじゃない、いいことだってあるんだ、例えばアウトバーンの建設のように・・・」
(良い総統と悪い総統に二分される)
集団的情動 その5
「他の連中だって罪を犯したのだ。我々だけじゃないさ!」
(他国の犯罪が自国の犯罪を相殺する)
集団的情動 その6
「ナチ犯を告訴するのをやめろ、ドイツの裁判所でナチス審理をするのをやめろー 一体誰が金を出しているんだ。」
(ナチ犯の無罪が心の重荷を軽くする)
集団的情動 その7
「ヒトラーの下では秩序、規律があった。夜でも安心して外出できた。それなのに、いまは・・・」
(だが、被害者のことは顧みられない)
集団的情動 その8
「もういい加減に忘れなくてはならない、もういい加減にケリをつけねば・・・」
****
「集団的情動 その6」を詳しく引用すると以下になる――
【集団的情動 その6
「ナチ犯を告訴するのをやめろ、ドイツの裁判所でナチス審理をするのをやめろー 一体誰が金を出しているんだ。」
(ナチ犯の無罪が心の重荷を軽くする)
ここは心の重荷をを下ろしたいという個人的な願いが露骨に姿を見せている。刑法犯が赦免され、司法機関から文書で無罪の証明をされると、かつての同調者、下っ端の党員、「ハイル!」と叫べはしたが、手を血に染めなかった非ナチス党員たちはどんなにかホッとすることだろう。つまり、刑法に触れることはしなかったか、たいして責められる必要のない人びとの良心が休まるように、人殺しを免罪にしようというのだ。
自分の心の重荷を軽くするためにはどうするか、もっぱらこの視点から第三帝国の全殺人行為をみるのが、第二の罪なのだ。】
かように「あったことがなかった」ことになれば安倍晋三の心の重荷はずいぶんと軽くなるわけだ。
さらに、「集団的情動 その5」をみれば、ゴロツキ弁護士橋下徹の戯言――「多かれ少なかれ戦争中は世界各国に慰安婦制度があったのに、日本だけが「性奴隷」を使ったと不当な扱いを受けている」がすぐ想起される。「他の連中だって罪を犯したのだ。我々だけじゃないさ!」というわけで「他国の犯罪が自国の犯罪を相殺する」というわけなのだが、ただ橋下徹は歴史オンチであり、性奴隷問題の初歩も知らないので、 梶村太一郎によれば――「日本軍のように植民地や占領地の若い女性を甘言や拉致で組織的に集め、20万とも推定される膨大な人数の女性たちを拡大する最前線まで性奴隷として強制連行し続けた軍隊は他にはないということです。これが、日本軍による犯罪行為の特殊性なのです。」ということになる。
橋下徹とは所詮テレビが生み出したお笑い馬鹿タレントなのである。すべての発言がテレビ用のお笑い馬鹿タレント発言でしかない。ただし橋下徹はゴロツキ弁護士には必須の詭弁術を駆使できるのでテレビに出てくる馬鹿コメンテーターでは対抗できないわけである。そういえばお笑い馬鹿タレントといえば、原発震災では原発に逃げ込んでいるはずの北野武がテレビにしょっちゅう出ているが、かように日本ではお笑い馬鹿タレントが野放しにされているのだ。
しかしこのていたらくはいったい何なんだ?日本低国民は酒場でくだを巻く酔っ払いの馬鹿ジジイの戯言程度の発言を聞いて、これが民主主義だと錯覚しているのであろうか?日本の巨大都市の三つで歴史修正主義者が戯言をほざき世界から笑われる、抗議をされる。ひょっとして日本低国民の低い民度にふさわしい馬鹿首長で鼻高々なのかもしれない。
追記:もちろん以下で橋下徹発言にまつわる性奴隷問題の全体を把握しておいてほしい。
▼Afternoon Cafe
マスコミは橋下発言の本質的な問題点を明確に報道すべきです
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1387.html
もうすでに過去エントリーでふれているので、橋下氏の慰安婦問題に関するウソについては書かなくてもいいかと思ってたのですが、昨日のフジテレビ「とくダネ!」でもツイッターでもウソを繰り返すし、マスコミはそれについては正面からふれません。
百回繰り返されて本当になってしまうのも困りますから、やっぱりちょっと指摘しておきましょう。
・・・と思ったら、すでにブログ「すくらむ」さんがまとめていて下さいました(^o^)
橋下氏の慰安婦問題でのウソは次の二点です。
1.「強制連行があった」という証拠は無い。
2.多かれ少なかれ戦争中は世界各国に慰安婦制度があったのに、日本だけが「性奴隷」を使ったと不当な扱いを受けている
▼すくらむ
2013-05-19 17:19:52
風俗で性暴力なくせない、性暴力被害者の7割が相談できずPTSDに長期間苦しむ、性的支配の根絶を
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11533602627.html
・・・
さらに、以下は宮地尚子編著『性的支配と歴史』(大月書店)の「第2章 国家と戦時性暴力と男性性――「慰安婦制度」を手がかりに(田中利幸氏執筆)」からの引用です。
戦争期間中の兵士たちの性行動は、なにゆえに、常にと言っていいほど女性に対する激しい暴力行為という形をとるのであろうか。戦闘で兵士たちが生き残れるかどうかは、敵に対する自分たちの攻撃力と防御力が敵のそれらに勝っているかどうかにかかっている。したがって、自分の命を守るために、敵よりも暴力的にならなければならない。しかし、それは敵にとっても同じことである。そのため、暴力がさらに暴力を強めるという悪循環が起き、その結果、相互に急速に残虐性を強化させていく。一旦戦闘が開始されると、兵士たちはこうした心理的悪循環にまたたく間に落ち込んでいき、自分自身を残虐化することによって人間性を失い、そのため敵兵を非人間化する。自己自身の残虐化と敵兵の非人間化は第三者、例えば非戦闘員である民間人、とくに敵国市民の非人間化へと拡張されていく。このような精神的に極めて荒廃した状況の中で、兵士たちは死の恐怖からの逃避と自己生命の再確認のために性交渉を強く求める。兵士は女性を非人間化し暴力で犯してでもこうした欲望を満たそうとする。戦闘で自己を残虐化し他者を非人間化することに慣れた兵士にとって、女性、とりわけ敵国市民の女性を非人間化し強姦することは心理的にきわめて容易なことである。性交渉の相手と密接な肉体接触を通して喜びを分かち合い、人間性を相互に再確認しあうべき手段であるセックスが、ここでは暴力的な非人間化のための手段へと完全に逆転し堕落してしまっている。(103〜104ページ)
戦時であろうと平時であろうと、強姦の主要な動機の一つに「他者の征服/支配」が挙げられるが、心理学者のニコラス・グロスはこれを「支配欲強姦 power rape 」と呼んでいる。この支配欲強姦の動機は、ある強姦者の下記のような告白で明らかになる。
「俺が犯した強姦では性的な側面は重要ではなかった。誰かを全く助けのない無力な状況に追い込むことが目的だった。相手を縛り上げ、サルぐつわをはめ、締め上げるというように、相手が嫌がることを俺がやる。それはまさに俺自身が、自分が嫌がることを社会でやらされてきたと感じたからだ。俺は、本当に、どうしようもなく無力だと感じたからだ」
戦闘に参加する兵士たちが特に強く感じるのは、数分先の自分の命がどうなるかわからない、自分で自分の命と運命をコントロールできないという非常に不安な「自己無力感」である。多くの兵士がそのため「支配力」を渇望し、そうした無力感を克服しようと攻撃的な行動に依拠するようになる。それゆえ性行動が彼らの武器となり、その結果として女性の性が破壊される。しかし、そうした形での女性の支配と性的搾取は、精神的に荒廃し衰弱しきった兵士には、ごく瞬間的な解放しかもたらさない。したがって、兵士は自己欺瞞的で一時的な「支配欲強姦」を繰り返し犯し続けなければならないという状況に陥る。日本軍兵士が、激しい戦闘から帰還した時、「慰安婦」や監禁強姦の対象となった女性たちにとりわけ暴力的であったという多くの証言は、まさにこうした兵士の精神状態を如実に表している。兵士たちは、自分が自分の運命の支配者であるということを感じるために、自由を束縛され奴隷化された女性をベッドの上で征服、支配したのであった。(105〜106ページ)
・・・
▼2011年11月2日水曜日49:暴かれた中曽根康弘氏の65年後の「人生の嘘」:生きているうちに「慰安婦」を何人、どのようにして集めたのか答えよ。/訂正と追加あり
http://tkajimura.blogspot.de/2011/11/blog-post.html
▼橋下市長に反論! 吉見義明さん語る〜「強制連行」はあった
吉見義明さん、橋下市長の発言に「事実無根」と抗議
http://www.ianfu-kansai-net.org/2012-10-23.html
▼2011年10月28日(金)「しんぶん赤旗」
「土人女を集め慰安所開設」
中曽根元首相関与示す資料
高知の団体発表
(写真)中曽根氏が慰安所建設に積極的に動いたと発表する「草の家」の岡村館長(右端)ら=27日、高知市
中曽根康弘元首相が、戦時中に慰安所設置に積極的に関わっていた資料が防衛省の公開している文書の中から見つかったと、高知市の平和団体が27日、高知市内で発表しました。
明らかにしたのは、高知県内の戦争遺跡の調査や保存に取り組んでいる民間団体「平和資料館・草の家」の岡村正弘館長や馴田正満研究員(63)ら。
今回見つけたのは「海軍航空基地第2設営班資料」。当時の第2施設隊(矢部部隊)工営長の宮地米三氏(海軍技師)の自筆を含めた資料をもとに1962年に防衛省(当時庁)がまとめたものです(26ページ)。第2設営班の主計長が中曽根氏です。
資料には班の編成や装備、活動内容とともにバリクパパン(インドネシア・ボルネオ島)で飛行場整備が終わり、「氣荒くなり日本人同志けんか等起る」「主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設氣持の緩和に非常に効果ありたり」(原文のママ)と書いています。バリクパパン上陸前の地図と上陸後、民家を接収し垣やトイレをつくり慰安所にした地図もあります。
中曽根氏は『終りなき海軍』の本で「私は苦心して、慰安所をつくってやった」と書くなど慰安所建設は認めていました。しかし、外国特派員協会の記者会見でも「慰安所は軍人らが碁を打つなど休息所の目的で設置した」と、いわゆる「慰安婦」を置く慰安所設置は否定していました。
研究員は資料で(1)中曽根氏が慰安所建設に積極的にかかわった(2)インドネシア人女性を集めて慰安所をつくった(3)42年3月11日に海軍基地内に慰安所が開設されたなど具体的な記述がある(4)慰安所内の配置図が明らかになった―と説明。「防衛省の所蔵文書で確証は高い。中曽根氏が慰安所設置に能動的に動いたことが分かる。中曽根氏自ら真実を明らかにするとともに、政府はさらなる調査をすべきだ」とのべました。
▲正義の戦争でも良い人から死んでいく
「正義の戦争などない」という馬鹿げた言説を得意げに言う人間もいる。
しかし・・・
皇軍が中国を侵略しなければ戦争は起こらない。米兵がベトナム国土に侵攻せねば戦争は起こらない。米軍が大嘘をこいてイラクを侵略しなければ戦争は起こらない。侵略された側が抵抗の戦いを始めれば、それは正義の戦争なのである。他国を戦場にしないため、自国を戦場ににしないために、私たちには多分やるべき事が多すぎるほどあるのだが・・・。
・・・
アメリカはベトナムに負けたのか?ベトナムの小説家バオ・ニンは「惨勝」と表現した。ベトナムが負ければどうなっていたのだろう?例えば現在のハイチのようになったかもしれない。アリステッド大統領は米兵に拉致されて出国したという。まったくハイチの中南米の最貧国から脱却は難しい。テロ国家アメリカの近くに位置したばかりに・・・。
チョムスキーもウィリアム・ブルムも言うのだが、アメリカは目的を達成したのだから勝った。目的?ベトナムは戦争の傷跡の修復に50年以上を要し、第三世界の見本となるべき革命的実験は放棄させられた。チリの選挙で選ばれた社会主義政権、あんなことが起こるなんて・・・、あれこそはテロ国家アメリカにとって絶対あってはならないこと。それならばやることはきまっている。つぶせ!
・・・
ベトナム「惨勝」のベトナム戦争で想起してほしい。アメリカ人の女性がベトナム兵に強かん・輪かんされることは絶対起こり得ない。戦場になるということは、すべてのものが破壊されるということ。戦場になれば、女は幼女から老女まで強かんされるだろう。
よって侵略強盗強かん軍においては絶対起こらないことが正義の戦いでは起きる。・・・
以下『戦争の悲しみ』バオ・ニン著/井川一久訳(めくるまーる)より―─
([*]は筆者:注釈)
[* 傷病兵15人と搬送班員とキエンの部下達は、ホア(女性ガイド)道案内で米軍の攻撃から逃走していた]
キエンは
「俺たち、迷ってるんじゃないか」と女性ガイドのホアに言った。
ホアは「大丈夫です」と自信たっぷりに答えた。
(中略)
「君はこんな泥臭い湖へ俺たちを連れてきたんぜ。立派なガイドさんだね」
「あたし、間違ったみたい」と、ホアは自分を怨むような口調でつぶやいた。
「間違いじゃすまんよ。こりゃ相当な罪だぜ。君なんかアメリカ兵に撃たれちまえ。何発ぶち込まれたって文句は言えないかもな」
ホアの両目は涙に濡れ、唇は震えていた。
[*キエン(手榴弾のみ)とホア(拳銃のみ)は、傷病兵と搬送班員を残し、逃走の道を捜している最中に米海兵隊パトロール隊4人と軍用犬シェパードと遭遇。
彼ら(傷病兵など)はまもなくパトロール隊に見つかるだろう。
ホアはキエンと離れて・・・]
ホアは跳びかかろうとする犬の体に弾丸を2発続けざまに送り込んだ。弾丸はそれで尽きた。犬が倒れると、彼女はいったん右腕を下ろし、拳銃を米兵たちの方へ下手投げで放り出した。
米兵たちはなぜかホアを撃たなかった。相手は拳銃一挺しか持たぬ若い女性で、しかも彼女は犬だけ狙っていた。だから撃つ必要がなかった。いや、この美しい獲物を撃たずに生きたまま捕まえたかった、というのがおそらく事態の真相だろう。
一人のパトロール隊員がホアに襲いかかった。ホアは身をひるがえし、道から全速力で遠ざかろうとした。米兵たちはいっせいに追いかけた。
(中略)
ホア。哀れな娘。だが天女のように限りなく美しい魂の持ち主。君は多くの他者のために、進んでおのれを犠牲に捧げた。あの捜索犬を殺し、さらに自分の体に米兵たちを誘いよせて、味方の傷病兵15人と搬送班員たちを、また俺と俺の部下たちを救おうとしたのだ。俺は君のその気高いこころざしを無にすることができない。米兵らと闘って死ぬことは許されない。キエンは手榴弾の安全レバーを静かに元に戻した。彼は結局、苦悩に凍りついた目で、なすすべもなく残酷場面を見つづけたのだった。
米兵たちは、後方に立っていた数人を除いて、次々にホアを犯したようだった。彼らはこの日のパトロール活動を集団レイプで終えようとしていた。
・・・
▼明日うらしま
在ベルリンジャーナリスト・梶村太一郎の反核覚え書き
162:橋下市長の「慰安婦必要」発言は強盗の居直り説教に等し/ナチスの強制売春施設研究の紹介
5月16日、文末に関連写真を追加しました。
http://tkajimura.blogspot.jp/2013/05/blog-post_16.html
・・・
さて、本論ですが、橋下市長は「当時は世界中の軍隊が慰安所を利用したのに、日本だけが悪者にされるのはけしからん」とご立腹のご様子です。
第二次世界大戦でドイツも占領地などで現地の売春宿などを軍専用の施設として管理し、利用したことは事実です。
だだしこれらは、橋下氏のどうやら豊富な風俗利用経験からする理解のように「兵士の慰安ため」などではありません。 兵士を性病から隔離し、軍の戦力維持をするのが主な目的です。また特殊ナチスの人種イデオロギーから、ドイツ軍兵士の「劣等民族との性交渉」を防ぐ目的も背景にありました。
それに、日本ではほとんど知られていませんが、ドイツ軍には下級兵士にいたるまで、毎年3週間から4週間の帰郷休暇が与えられていました。敗戦間際まで出来る限りこの制度は実行されていました。日中戦争開戦以来の日本軍兵士には夢のような制度です。だだしこれも、「アーリア優等民族」を維持するための「子づくり休暇」としての制度であったと論じられています。ナチス型「産めよ増やせよ」政策です。そのため、わたしの戦中生まれのドイツ人友人にも「Urlaubskind/休暇の子ども」がかなりいます。
ドイツ軍の管理売春の研究はまだ途上で、全体像は専門家もとらえていないようです。
ただし現時点でも、ひとつだけ確定できることは、日本軍のように植民地や占領地の若い女性を甘言や拉致で組織的に集め、20万とも推定される膨大な人数の女性たちを拡大する最前線まで性奴隷として強制連行し続けた軍隊は他にはないということです。これが、日本軍による犯罪行為の特殊性なのです。
世界中で20世紀の恥ずべき歴史とされるのはそのためです。橋下氏らが我慢できないとする「日本軍だけが悪者にされるの」ことには、このような根拠があるのです。この面では旧日本軍は特段に野蛮な軍隊でした。
ところが、他方でナチスも特殊な強制売春施設を強制収容所内に設けていたことが明らかになっています。これについては若い研究者が10年をかけて追求し、2009年に学位論文ととして出版されたおかげで、全体像を知ることができます。ここで性奴隷とされた女性は、日本軍慰安婦の1000分の1、すなわち200名ほどですが、上記のわたしたちの共著にもあり吉見氏も引用されている、インドネシアのオランダ人抑留所から若い女性を選び出して売春を強制した、スマラン事件やマゲラン事件と手口がよく似ています。
ただし、動機と目的は全く別であり、こちらにはナチスの特有なイデオロギーが背景にあります。したがって、日本軍の慰安所とは「手口」がにているだけで、比較はできないものです。しかし、ナチスのイデオロギー下で実証されている唯一の強制売春性奴隷制度に関する、貴重な研究として、ドイツではかなり評判になったものです。
日本のかつての同盟国の性奴隷犯罪行為のひとつとして、橋下暴言によりこの研究を想起しました。性奴隷制度のひとつの証明された事実であるからです。
わたしは、出版後に、450ページの大著の内容の解説を執筆公表していますので、とりあえず以下、→『インパクション』誌に発表当時そのままを以下に再録しておきます。執筆は2009年12月です。
あらためて、時間を見つけて、本書にある写真なども別に追加する予定ですのでしばらくお待ち下さい。
▼杉浦 ひとみの瞳弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。
橋下発言のどこが悪いのか
2013-05-19 09:49:40
http://blog.goo.ne.jp/okunagairi_2007/e/dde48fa089f640e81e7f322e1c06d8c2
もちろん、橋下擁護の記事ではありません。
あの発言はおかしいと思うけど
どの部分がどうおかしいかを的確に指摘することって結構難しい。
それを明確にしている社説なのでご紹介します。
「社説 橋下氏釈明 認識の根本が誤っている」@琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-206737-storytopic-11.html
2013年5月18日
沖縄の米軍に風俗業の活用を勧める発言の釈明として、橋下徹大阪市長は「国際感覚が足りなかった」と述べた。だが、彼に何より足りなかったのは人権感覚だ。人間認識の根本的な誤りに気付いていないのが問題なのだ。
橋下氏は「米国の風俗文化の認識が足りなかった」と述べた。・・・・
さらに、「風俗」が売春を意味するか否かなど、どうでもいいことに問題をすり替えようとしているが、
★問題は別にある。
「海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロール」するはけ口として、
生身の女性をあてがおうとする発想そのものがおぞましいのだ。
・・・・・
しかも彼は、自らの沖縄への差別的まなざしにも気付いていない。在沖米軍に言うからには、あてがう場所は沖縄が前提だろう。そのような施設を、自らの足元の大阪市にも置けるのか。
橋下氏の持論はそもそもの前提が間違っている。風俗活用発言は米兵の事件抑止が狙いのようだ。
★強姦犯は性衝動に突き動かされて犯罪をするという発想が前提にあり、
風俗の活用がその処方箋になると考えているのは明らかだ。
では彼は、風俗がなければ性暴力が発生するというのか。
典型的な「強姦について話」であり、前世紀の遺物的発想そのものだ。
強姦犯は、衝動どころか用意周到に場所と機会を選んでいる卑劣漢だというのはもはや常識だ。
★橋下氏は、女性をモノ扱いしただけでなく、「強姦神話」を前提にすることで、男性をも愚民視しているのだ。
橋下氏は、発言の背景として「それくらいのことを言わなければいけないくらい、沖縄の状態は鬼気迫るものがあるということ」と述べた。いったい誰が頼んだというのか。沖縄にこと寄せて、さも沖縄の代弁者であるかのように装うのはやめてもらいたい。
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とくに★印の箇所です。
・人をモノとして扱うことは、人間の尊厳性を侵害することなので憲法13条に根底から違反しています。
【13条】
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
・「強姦神話」とは、強姦についての誤った認識をさします。
それが偏見に基づいたもので、女性も男性も誤った認識をされていることになります。
▼橋下氏発言 速やかな撤回、謝罪を
2013年5月16日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-206621-storytopic-11.html
人権感覚を著しく欠いた問題発言なのに、本人はほとんど考えを改めるつもりはないようだ。
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が旧日本軍の従軍慰安婦について「必要なのは誰だって分かる」と発言。米軍普天間基地司令官に「風俗業を活用してほしい」と提案したことも明らかにした。
女性を「モノ」として扱うような発言だ。戦時中に慰安婦として尊厳を奪われた人たちを再び傷つけている。激しい批判が寄せられているのは当然だろう。政党、自治体のトップが性暴力を容認するかのような発言をすることは到底理解できない。
慰安婦問題で橋下氏は戦時中の旧日本軍の関与や強制性を認めた1993年の「河野談話」を批判してきた。だがそもそも米国などの国際世論は性暴力には非常に厳しく、強制性があろうとなかろうと、慰安婦の歴史そのものを非難していることを指摘しておきたい。
発言について橋下氏は問題提起の意図があったと説明したが、結果的に日本に対する評価を大きくおとしめた。海外の厳しい反応の背景には、就任前まで河野談話の修正を主張してきた安倍晋三首相らに対する厳しい視線もある。
橋下氏は普天間の司令官に「海兵隊の猛者の性的エネルギーをきちんとコントロールできない」などと述べたという。米兵の綱紀粛正策や駐留自体を抜本的に見直すことなく、性犯罪抑止を性的サービスに求める発想は不見識極まりない。復帰41年の今日まで続く沖縄戦後史を振り返れば、「売春が存在しても米兵の性暴力は繰り返された。風俗業がなかったからではない」(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の高里鈴代氏)ことが分かる。この重い事実を直視したい。
橋下氏は15日、「(慰安婦を)容認はしていない」などと釈明する一方、「(旧日本軍の慰安婦を)正当化するつもりはないが、当時は世界各国がやっていた」と重ねて持論を展開した。性風俗活用の提案も繰り返したが、その発言には「性犯罪に遭いたくないなら現代版の慰安婦を用意しろということ」(作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏)といった、沖縄への構造的な差別意識が潜んでいまいか。
橋下氏は発言を直ちに撤回し、謝罪すべきだ。多くの怒りを買い、中韓両国はじめ国際的な不信を増幅させるのは愚かなことだ。
▼橋下氏釈明 認識の根本が誤っている
2013年5月18日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-206737-storytopic-11.html
沖縄の米軍に風俗業の活用を勧める発言の釈明として、橋下徹大阪市長は「国際感覚が足りなかった」と述べた。だが、彼に何より足りなかったのは人権感覚だ。人間認識の根本的な誤りに気付いていないのが問題なのだ。
橋下氏は「米国の風俗文化の認識が足りなかった」と述べた。風俗文化の知識の多少が問題だったという認識なのか。あきれてものが言えない。
さらに、「風俗」が売春を意味するか否かなど、どうでもいいことに問題をすり替えようとしているが、問題は別にある。「海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロール」するはけ口として、生身の女性をあてがおうとする発想そのものがおぞましいのだ。
「あてがわれる」立場に自分が置かれたら、と想像してみるがいい。橋下氏は、そんな最低限の想像力も持ち合わせていないのだろうか。その欠如は許し難い。
「慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる」と述べたが、「分かる」はずがない。周りを自分と同じだと思われては迷惑だ。
しかも彼は、自らの沖縄への差別的まなざしにも気付いていない。在沖米軍に言うからには、あてがう場所は沖縄が前提だろう。そのような施設を、自らの足元の大阪市にも置けるのか。
橋下氏の持論はそもそもの前提が間違っている。風俗活用発言は米兵の事件抑止が狙いのようだ。強姦犯は性衝動に突き動かされて犯罪をするという発想が前提にあり、風俗の活用がその処方箋になると考えているのは明らかだ。
では彼は、風俗がなければ性暴力が発生するというのか。典型的な「強姦神話」であり、前世紀の遺物的発想そのものだ。強姦犯は、衝動どころか用意周到に場所と機会を選んでいる卑劣漢だというのはもはや常識だ。そんな常識と正反対のジェンダー意識を持つ人物が21世紀の今、行政のトップ、公党の代表であることが信じ難い。
橋下氏は、女性をモノ扱いしただけでなく、「強姦神話」を前提にすることで、男性をも愚民視しているのだ。
橋下氏は、発言の背景として「それくらいのことを言わなければいけないくらい、沖縄の状態は鬼気迫るものがあるということ」と述べた。いったい誰が頼んだというのか。沖縄にこと寄せて、さも沖縄の代弁者であるかのように装うのはやめてもらいたい。
▼三笠宮崇仁『古代オリエント史と私』学生社より――
「また彼ら(八路軍)の対民衆、ことに婦人にたいする軍紀はおどろ
くほど厳粛でありました。当時、日本軍人で婦女子に暴行する者がいる
ことに頭を悩ましていた某参謀は、「八路軍の兵士は、男性としての機
能が日本人とすこしちがうのではなかろうか」と、まじめに話していま
した。
▼「戦後史の発見」いいだもも、武谷祐三(産報)より
<連続暴行殺人犯・小平義雄>
戦後2年(46年)8月20日、行司・式守伊三郎(本名・緑川義一郎)の三女柳子に対する殺人容疑でつかまった小平義雄は、それまで未解決であった一連の暴行殺人事件をつぎつぎに自供、世間の若い娘たちをふるえあがらせました。事件の模様を大雑把に列挙してみましょう。
1 宮崎光子(21)
戦後元年5月25日ごろ、品川の大井海岸町249号、第一海軍衣糧廠第一寄宿舎で、強姦、身元を知られているため証拠隠滅をはかって絞殺、防空壕に投げ入れる。
2 石井より子(30)
同年6月22日、「米を安く売ってくれる知り合いの農家があるから案内しよう」と、栃木県上都賀郡真名子村の山林につれ込み、強姦、絞殺。
3 中村光子(22)
同年7月12日、「日帰りで食糧の買い出しのできる農家があるから一緒に行かないか」とさそい、栃木県上都賀郡清川村の山林で、強姦、絞殺。
4 紺藤和子(23)
同年7月15日、「一緒に買い出しに行こう」と、北多摩郡清瀬村の雑木林にさそい込み、強姦、絞殺。白骨死体で発見される。
5 松下よしえ(21)
同年9月28日、「米を安く売ってくれる知り合いの農家があるから案内しよう」とだまし、同じ清瀬村の雑木林で絞殺、そののちに姦淫。
6 篠川達江(17)
同年10月31日、渋谷の東横地下室で、強姦、絞殺。
7 馬場寛子(19)
同年12月30日、「米を安く買える農家があるから案内しよう」といって、栃木県上都賀郡西方村の山道で、強姦、絞殺。
8 阿部よし子(15)
戦後2年6月9日ごろ、「パンをやるから一緒においで」とさそい、江戸川区本井町の運送会社廃品自動車置場で絞殺。
9 身元不明の少女(17か18)
戦後2年7月22日ごろ、「東京見物をさせてやる」あるいは「食べ物をあげます」といって、芝公園の西向観音裏山の山道につれていき、絞殺。白骨死体で発見。
10 緑川柳子(17)
戦後2年8月6日、まえもって就職を世話する約束があって、進駐軍の採用試験をうけに行こうとだまし、芝公園の西向観音裏山の山道につれ込んで、強姦、絞殺。身元を知られているため全裸にする。
以上、検事の公訴事実をもとに取りあげた事件を記しましたが、小平自身は、6・8・9の3件は否認しており、実際のところ調書など調べてみると、どうやら確かなのは残りの7件だけのようです。
よくもまあヤッたものです。世間では「鬼」といわれ「色魔」といわれました。
「鬼」の小平は予審調書のなかでつぎのように陳述しています。「上海事変当時、太沾では強姦のちょっとすごいことをやりました。(中略)強盗強姦は日本軍隊のつきものですよ。銃剣で突き刺したり、妊娠している女を銃剣で突き刺して子供を出したりしました。私も5,6人はやっています」ーここに戦後連続暴行殺人事件をおこす原質があります。
▼『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』(吉見義明、川田文子・編著/大月書店1997年)
頁22――
07 強制連行によって慰安婦をあつめたケースはない。
強制連行によって慰安婦を集めたケースはあった。また、強制連行がなかったという人たちは、それを「官憲の奴隷狩りのような連行」というように、意図的に狭く限定しているが、これは問題を矮小化するものだ。さらに、強制連行だけを問題とするのはおかしい。
強制連行
まず、強制連行とは本人の意思に反してつれていくことである。このように広い意味での強制連行には、@前借金でしばってつれていくことや、A看護の仕事だとか、食事をつくる仕事だとか、工場で働くとかいってだましてつれていくことや、B誘拐・拉致なども含まれる。
Aのだましてつれていくケースを強制連行にふくめるのは、慰安所についたとき、むりやり慰安婦にされるからである。最初から暴力的に連行するよりもこのほうがかんたんに移送できた。官憲が直接やっておらず、業者がやった場合でも、元締めとなる業者は軍が選定し、女性たちを集めさせているのだから、当然軍の責任になる。業者がやったこのようなケースがあったことについて、否定する者はいないだろう。
また、総督府が集める人数を上から割り当てていったとしたら、事実上の強制(半強制)になる。このようなケースがあったかどうか、より正確に実証していかなければならないが、次のような例がある。
台北市婦女救援社会福祉事業基金会は、1993年に台湾にいた48名の元慰安婦の調査をしているが、そのうち6名は役所からの割り当てで送り出されたといっている。
堅実な実証史家であった故島田俊彦氏は、1941年7月以降、関東軍特種演習という名目で対ソ進攻作戦のための大動員がおこなわれたが、このとき関東軍は2万人の朝鮮人慰安婦を集めようと計画し、約1万人を集め、ソ「満」国境に配置したと記している(『関東軍』)。1996年12月28日にNHKが放送した番組では、ある関東軍の曹長は、業者につれられた慰安婦を新京(長春のこと。かいらい国家「満州国」の首都)で迎え、各地に配分したと証言している。
これらが事実であるとすれば、総督府の上からの割り当てで、なかば強制的な徴募がおこなわれたことになるであろう。これらの事実の確定のためには、非公開の政府所管資料、とくに旧総督府関係資料や警察資料の公開が必要である。非公開の政府所管資料が公開されれば、末端で官憲や郡・面(内地の町村にあたる)の職員が手をくだすことがあったか、なかったかはっきりする可能性がある。なかったとすれば、結構なことであり、つっこんだ調査をするべきである。
・・・
▼『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』吉見義明、川田文子・編著/大月書店1997年
頁52――
18 戦争にレイプはつきものだ。それを防ぐために、慰安所は役にたった。
1937年12月13日、日本軍は南京を占領した。南京占領にあたっては10数万とも20万ともいわれる中国人が虐殺された。女性の場合は強姦後に殺戮された遺体が少なくなかったといわれる。翌年6月、北支那方面軍参謀長岡部直三郎は「軍人軍隊の対住民行為に関する注意の件通牒」を各部隊に発した。
・・・・・・各所に於ける日本軍人の強姦事件が全般に伝播し実に予想外の深刻なる反日感情を醸成せるに在りという・・・・・・右の如く軍人個人の行為を厳重取締ると共に一面成るべく速に性的慰安の設備を整え設備の無きため不本意乍ら禁を犯す者無からしむるを緊要とす
南京占領後、日本軍の慰安所設置は一挙に拡大するが、その時期にだされたこの通牒は、反日感情抑止のための強姦防止策として、軍が慰安所を必要と考えたことをよく示している。
日本軍侵略地の要所にはほとんど例外なく慰安所が設置されるようになったのだが、では、慰安所は強姦防止策として役に立ったかといえば、そうはいえない。
岡村寧次第11軍司令官は「現在の兵団は、殆どみな慰安婦団を随行し、兵站の一分隊となっている有様である。第6師団の如きは慰安婦団を同行しながら、強姦罪は後を絶たない有様である。」(『岡村寧次大将資料』上巻・戦場回想篇)と、指揮下の部隊の軍規の乱れを日誌に記している。また、国府台陸軍病院付中尉早尾乕雄は「戦場に於ける特殊現象と其対策」という文書で、「軍当局は軍人の性欲は抑えることは不可能だとして支那婦人を強姦せぬようにと慰安所を設けた、然し、強姦は甚だ旺んに行われて支那良民は日本軍人を見れば必ず是を恐れた」と記し、さらに「兵の元気をつくるに却って必要とし見て知らぬ振りに過したのさえあった」と、部隊長が部下の強姦を見過ごしている風潮のあることを報告している。
1995年に中国で出版された『侵華日軍暴行総録』に収められている2272件の日本軍による暴行事件なかに多くの強姦事件がふくまれている(笠原十九司「中国戦線における日本軍の性犯罪」より)。
童女から60歳の老女まで村の女子の大部分を陵辱、3、4時間も輪姦され歩行不能になった者も。女性何人かは恥辱のあまり井戸へ身投げ、首吊り自殺
避難中の婦女子5名を発見、乳児を殺害してから母親を強姦、2名の婦女の乳房十文字に切開、腹部を割く
13歳の少女を輪姦後、眼と局部を切り抜き焼殺
これらの性的残虐行為は、少ない場合でも2人以上の集団でおこなわれた。単独でおこなうと背後から殺害される恐れがあったからである。
陸軍刑法では「略奪の罪」のなかで強姦は「無期又は7年以上の懲役」、42年2月に改定された強姦罪で独立した条文では、強姦は「無期又は1年以上の懲役」、そのさい、相手を傷つけたときは「無期又は3年以上の懲役」、殺してしまった場合には「死刑又は無期又は7年以上の懲役」と定めている。だが、集団でおこなわれる性的残虐行為が、強姦罪で、処罰されることはきわめてまれであった。
フィリピンの「慰安婦」裁判の原告の証言を聞くと、軍施設内でおこなわれた輪姦が継続し、性奴隷状態におかれたことがよくわかる。隊長らの独断で現地女性を拉致し、慰安所同様の施設をつくってしまったのである。どこの駐屯地でも慰安所を設置することがあたり前になっていたからだ。「軍人の性欲は抑えることは不可能だ」として慰安所制度をうちたてた日本軍の性暴力を肯定する体質が、強姦を防止するどころか、むしろ強姦を助長する結果となったのである。 [川田文子]
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