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2013年05月19日 世相を斬る あいば達也
安倍晋三の打ち出す、アホノミクスの成長戦略第一弾(4月19日、日本記者クラブ)では“女性の活躍”と銘打った戦略を披露した。安倍晋三は「女性の活躍は成長戦略の中核をなす」と大いに女性を祭り上げた。「女性の中に眠る高い能力を、十二分に開花させていただくことが閉塞感のただよう日本を再び成長軌道に乗せる原動力だと確信しています」とスキルのある女性の職場復帰を望み、その前提として、育休制度の充実見直しに言及した。また、保育の受け皿の充実を目指し、四十万人受け入れ増にも言及した。
この考えそのものに異論はない。しかし、成長戦略を練っている人種の顔ぶれを観察する限り、女性の地位向上を目指す世界的傾向とは異なる、異次元な思惑が潜在的に見え隠れしている。比較的高いスキルを必要とする職業において、働く女性の6割が、第一子出産後に離職し、職場復帰しようとしない現状を踏まえた、貴重な労働力としての位置づけであり、決して女性の尊厳に配慮した次元ではない事を認識しておこう。政府の試算では、20歳代後半から30歳代の女性の就業率を高めれば、GDPを10%以上押し上げることが可能と云う着眼点があることを忘れないでおこう。
このような試算は、ゴールドマン・サックスもしていた。現在の日本女性の就業率は60%前後だが、この就業率を男性同様の80%レベルに押し上げれば、GDPを15%押し上げると発表しているので、経済成長に貢献することは間違いがない。同社は「日本は最も活用されていない資源に手をつける以外に方法はない」と述べているように、成長戦略における女性の活用とは、眠った資源扱いであり、あくまで労働力としての価値である事を、忘れずに認識しておかねばならない。
勿論、我が国の少子高齢化を念頭に入れれば、経済の維持に、女性の社会進出を容易にする、様々なサービスの充実が欠かせないのは事実である。その為に、託児所や保育所の充実は言うまでもない。2055年には、人口が3割減少するわけだから、移民を受け入れない原則で国家を運営するのであれば、70歳以上の働ける、且つ働きたい高齢者雇用。そして、育児や教育に縛られ、勤労意欲があるにも関わらず働けない女性に、職場を提供することは、戦略以前の問題である。
つまり、そのような社会環境にしていかないと、社会が回らなくなるわけで、特に恩着せがましく言われなくても、そのように自然になって行くのだ。まぁ政府が音頭をとることで、そのピッチが速まる程度のことはあるだろう。ここで注意しておくべきことがある。その一つが、女性の職場復帰が正社員として行われるか、限定社員のような待遇なのか、契約社員の扱いなのかも、実は非常に重要だ。限定社員とか、契約社員である場合、生活のコアを変えてまで復職する意欲を削ぐわけで、その女性の職場復帰が、家庭経済において安定的地位を約束されない限り、あらゆる政策は効果を持たないだろう。
経営者連中が考えている、女性の職場復帰や女性の管理職目標5割とか、役員待遇2割とか、そう云う話の中には、賃金が低く抑えられるのではないかと云う、思惑が含まれる。また、同一労働同一賃金の論法を根拠に、男性社員の賃金引き下げにも有効かもと云う思惑が含まれている。なぜ筆者が、アホノミクスの成長戦略・女性の活躍にケチをつけるかと云うと、この女性の活用と女性の結婚・出産・育児を、社会的規範の中に押し込めようとする、恣意を感じるからである。「女性手帳」等と云う、個人の自由を国家が制御する魂胆をみせる噴飯もの手帳を押しつけるとか、やはり発想が国家管理社会を目指している。
また、介護と云うフィールドにおいても、“在宅介護”なるシステムが、我が物顔にのさばっている。核家族社会は国策で生まれた家族形態だ。その結果、老老介護とか、行き場を失う要介護老人が現れ、社会問題化している。国策で奨励し、高度経済成長を続けたわけだから、そのツケを、再び国民に押し付けると云う“在宅介護システム”言語道断だ。特に、この“在宅介護”で、問題は起きないとしても、その介護で力を頼られるのが女性と云う悪しき伝統文化は、いまだ根強い。
アホノミクスの言うところの「女性の活躍」とは、上手いこと女性の労働力を活用しよう。しかし、子供は、若くて元気なうちに生んで貰わないと困る。そして、出来たら、在宅介護で、最後のご奉公をして貰えば、それが最高だ。筆者の目から見ると、アホノミクスの「女性の活躍」が、一連の政策を関連付けてみた場合の感想である。女性の尊厳どころか、侮蔑と酷使の連鎖ではないか。橋下徹の慰安婦問題における最低発言を、たしなめる資格があるかどうか、甚だ疑問だ。少なくとも、アホノミクスの女性活用を考えた連中は、橋下徹と、結果的に同根である。おそらく、声高々に叫ぶ自民党系の女性議員の多くは、根源的意味さえ理解していない。視野狭窄と言っていい。まぁ、マスメディアの連中も、識者と呼ばれる奴らも、似たりよったりだが…。
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