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2013年5月19日 神州の泉
前回の続きで、TPPに参加したら日本の食糧事情はどうなるかという限定条件で想像を膨らましてみたい。アメリカ食品産業の実態を暴いた映画、「フード・インク」はTPP参加後の日本の食卓と農業の姿を暗示していて戦慄の走る内容であった。
ごく少数の多国籍企業が食べ物の大規模工業化システムを敷き、その巨大な資本力と政治力で弱小生産者に過酷なノルマを課し、有害なホルモン剤や薬剤を飼料に混ぜ、消費者の安全を脅かしている。
また、安田節子著「自殺する種子」(平凡社新書)には、米国食肉業界にはレンダリング(廃肉処理)という究極のリサイクルシステムがあることが書かれている。例えばチキンでは肉以外の、食用にならない頭や足、ガラ、羽毛などの部位をレンダリング工場で煮溶かし、油と肉骨粉にし、それをまた家畜の餌として与えているという。
簡単に言えば家畜共食いの無限ループであり、この煮溶かしには病死家畜なども混ぜられているようだ。自然を無視した究極のリサイクル・システムである。羊が罹るスクレイピー(海綿状脳症)がある。
病気羊の羊毛などの廃棄物が煮溶かされる際、石油ショックによる原油価格高騰でレンダリングの加熱温度を下げたとき、異常プリオンが不活化されずに肉骨粉となり、生の状態(生きた状態?)で牛が食べた。これが狂牛病の原因ではないかと推測されている。英国で大量発生したBSE牛が世界中に伝播したと見られている、
草食動物が肉食を強いられ、しかもレンダリングで生産された同族の肉骨粉を飼料として与えられている現実は恐怖である。米国では成長を早めたり、乳量を増やすために牛にホルモン剤を投与している。これが牛に負担を与え、乳房炎を引き起こし、そのために今度は抗生物質を投与される。
作物にしても、家畜にしても、生産合理性だけに特化した不自然な工業的生産システムを敷いた結果、出来上がった食べ物は消費者の安全を脅かしている。モンサントが開発した強力な毒性を持つ除草剤は土壌を汚染し地下水に浸透する。
TPPが始動すると日本の農地はグローバル資本に買い占められ、日本人はそこで小作的な労働を強いられ、しかも、遺伝子組み換え作物や共食いリサイクル・システムの飼料で育った肉を食べることになる。まさに映画「フード・インク」の日本適用である。
アグリビジネスを牛耳る多国籍企業は、日本に安全性の低い食料と種子、配合飼料を提供し続けるが、何らかの要因で供給が完全に絶たれる可能性は大いにある。異常気象や戦略物資としての供給量の激減や停止は、日本を悪夢の飢餓列島に追い込む。
決してSF的な推測ではないのだが、日本がTPPに参加した場合、新自由主義による格差構造は支配階級と労働者階級という究極的な二極分化社会を形成するが、その状況でグローバル資本の戦略物資である日本向け食糧が絶たれた場合、日本の全人口は養えなくなる。
これに加え、世界的な異常気象が頻発した場合、外国は日本に提供する余裕がなくなり日本人は餓死して人口が激減する。飲料水も国内作物も汚染され、遺伝子操作されている食物しか口にできなくなったとき、日本人は食糧の奪い合いが起こる。
この時、支配階級は強力な私設軍隊を使って、労働者階級の反乱組織を鎮圧する。そのまま永い時が進んでいくと、支配階級と労働者階級はH.G.ウェルズの小説『タイムマシン』に出てくる80万年後の世界をなぞらえるのではないだろうか。
世界的に有名な著述家であり、社会批評家、SF作家の元祖的存在であるH.G.ウェルズは名作『タイムマシン』を書いた。時間旅行者がタイムマシンで80万年後の世界に行くと、彼が属していた社会の階級制度が恒久的に持続した結果、人類の種族が2種類に分岐した事を知る。
裕福な有閑階級は無能で知性に欠けたエロイへと変化し、抑圧された労働者階級は地下に追いやられたまま恐ろしい進化の道程をたどる。労働者階級は初めエロイに支配されて機械を操作したり、生産労働に従事していたが、次第に地下の暗黒世界に適応し、夜の闇に乗じて地上に出ては、脆弱化したエロイを捕らえて食用にするようになっていた。
つまり労働者階級は地下で進化した結果、類人猿を思わせる獰猛な食人種族モーロック(Morlock)へと変貌したのである。(冒頭の写真)H.G.ウェルズは、明らかに産業革命後の生産至上主義とダーウィンの単線的な進歩史観を皮肉っている。作者は資本主義の純化が恐ろしい事態を引き起こすことを予見していたのではないだろうか。
日本が二極分化のまま“暗黒進化”の階梯に足を掛けると、支配階級はひ弱で頭の悪い人種と化し、虐げられた労働者階級は地下世界に潜り、たくましく獰猛なる食人種モーロックになるのだろうか。
現実的には、進化の階梯に突入する前に餓死するか、悪い食糧で病死するかもしれない。1%の支配階級は外国へ逃避するだろうが、日本人を捨てているので、外国では民族としての自己同一性が消滅するだろう。
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